外伝3 地方料理店 店主ニック
あれから半年は経過しただろうか?彼、カミヤ君がこの都市を去ってから、自分の意識はかなり改革されたと思う。いや、自分に限らず、ランジェやこの都市に住んでいる者のほとんどが意識を改革されたと言ってもいい。いや、一新されたと言っても言い過ぎではないだろう。
「よし、粉はしっかり振るったな?揚げ物は粉を叩き落とすのを忘れるなよ。あ、こら、そこ!灰汁が出てるぞ、しっかり取るんだ!」
料理に関してはかなり改革された。例えば、今までの冒険者チームの料理担当と言うのは、手早く作る為と手間を無くすために、しなければいけない工程を省いていたが、手間を掛ければ美味くなると言う可能性、いや、もう、広がってるから可能性じゃないな。確定した事で、手間をかけた料理で依頼やダンジョンに挑む冒険者達の食環境はかなり改善されている。現役時代に彼が来ていれば・・・チクショウ・・・・・・
「よし、開店するぞ!ウェイターは交代で、外にごみ落ちてたら拾っていくように!」
更に改善されたのが街の環境だ。彼曰く、ごみが落ちてたり埃があったりすると、人間は嫌悪感を示したり、その腐臭等により体調崩れが起きたりするそうだ。今までも気を付けていたが、今はこれまで以上に清潔を保つようになっている。街ではごみ箱が増え、ごみの選別なども行われるようになった。更に言えば、街の衛視によるごみ拾いなども定期的に行われるようになり、引っ越ししてくる人が多くなったので、街は拡大作業中である。
「よし、メニューを確認。今日も日替わりのメインは変わってるからな。ウェイターはしっかり確認、料理手順もマニュアルを見て思い出すように!」
更に変わったのが、こういう指示を出すと言う事だ。今までどんな職業でも指示は大雑把。よく言えば大らかすぎる指示だった。細かい指示と言うのは基本騎士団などの軍と言うカテゴリーでしかなかったことだ。料理人に限らず、鍛冶師や裁縫師などの生産職と呼ばれる者達もこの影響を受け、細かい指示や教練を行う事で長らく問題になっていた後継者問題などが解決し始めたらしい。
「いやあ、彼のお陰だな・・・・・・いや、待てよ?」
いや、待て、それではまるで・・・・・・
「ニック!大変よ!」
「いや、ランジェ、今開店寸前で、僕はちょっとした思考を・・・」
「そんな事どうでもいいわ!カミヤさんが、また、料理に関係する事で革命を起こしたわよ!」
「詳しく聞こう!バックヤードでね!副店長、少しの間店を任せた!」
あれ?自分は何を考えようとしていたんだっけか?ま、いいか。それよりも彼の革命的な情報が先だね、急げ!
と言う訳で、地方都市のニックさんのお話でした。ちなみに、これまた、女神様の企みが沢山フラグとして隠されたお話です。そろそろ、分かる人多くなりそうですね。フラグ回収の日をお楽しみに!