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74話 鋼の有効活用 後編

『いやあ、助かったよ!』


「役に立ちました?」


『勿論だよ!もっと予算があればあるだけ買わせて欲しいぐらいさ!』


さて、あれから少し経ち、ハンバーガーセットの販売がある程度落ち着いた日に自分はとある物を販売した購入者と会っている。


『いやあ、良いね、あのトラバサミ!あの憎き猛獣系魔物も痛みでジタバタしている間に一網打尽!』


そう売ったのはあの鋼のトラバサミ。そして、買ったのは郊外にあるハーブ園の持ち主である人間男性のエルトさんだ。少し前にも言った通り、この世界には魔物もいる、勿論、その魔物の中に草などを好物とする猛獣系もいる。で、勿論だが、街にも防衛の為の部隊は居るが、全て撃退、迎撃出来る訳ではない。で、勿論だが四足歩行の魔物は素早い。戦車でも銃でも中々仕留めきれない。ならばどうするかと言えば罠なのだが、銅は勿論使えない、鉄もそれなりは使えるが、他のくくり罠などとの併用が必要だ。対し、鋼のトラバサミはしっかりと食い込み離さない事で、痛みで悶絶している間に仕留める隙も出来ると言う訳だ。


「流石に鉄20はお安くないですからねえ。しかも、ほぼ使い捨てに近い。使えても2回の連続使用が限度ですし」


『いやいや、今までの損害に傭兵代とか考えると遥かにお安いから』


現代のように監視カメラに警備員が居る訳ではないこの世界で農業や牧畜をやるにはどうするか?まず柵や壁で覆ってしまう。コレである程度は大丈夫と思うだろうけど、相手は魔物である。当然破壊される事もあるし、作業中とかだと危険なので腕利きの冒険者や傭兵を警備の為に雇う訳だが、当然お高い。

なんでって、雇い続けると言う事は相応のお金を出さねばならず、1年中人間が同じ強さを保てるか?と言われるとノーである。一応、一般市民でも武器は買えるが、出来る事は槍などで突いたりするしかない。だが、それはあくまで動けない状態ならばの話だ。そして、当然だが、作物は荒らされれば損害が出る。


『1つで魔物1体を確実レベルで仕留めれるか、足を動けなくさせるなら、3つで鉄20は充分すぎるぐらい安いね、むしろ、この価格で良いのかい?』


「まあ、お試し版と言うのもありますし、改善の余地も出てますから、サービス価格とでも思っていただければ」


実際、今回のは営業と言うか、ハーブ園に行き、お試しとして売りに行ったのだ。つまり、販売はしていない。需要がある場所でまず3セット、つまり9つ売ったわけだ。鉄貨の儲けはあるが、それ以上に問題点も出てきている。


『改善の余地?』


「です。と言うか、薄々感じておられるのでは?」


『ふむ、確かに自分も薄々感じているが、そこを改善すると?』


「ですが、確かに問題でもありますね」


自分とエルトさんの会話にシェルター内部で同席しているレインさんが話しかけてくる。その問題と言うのが・・・


「「『刃が食い込みすぎる』」」


は?と思うだろう。だが、これは非常に問題なのだ。鋭すぎれば獣型の細い足を千切ってしまうだろう。地球の生物ならそれで動けなくなる。しかし、相手は魔物である。再生するかもしれないし、足1つ失ったぐらいでは何ともないかもしれない。食い込みすぎず、それでいて、ダメージの痛みを持続させ、逃げれない状態にする。これがこのトラバサミの難しい所である。


「理想は浅くもなく深くもなく食い込み続ける事なんだけど・・・」


『我々もトラバサミの構造は知っているから勢い自体弱める方法は分かるが、挟む勢いを弱めると逃げられるんだよねえ』


この辺がかかった瞬間棒立ち状態の動物とは違う所とも言えるだろう。少しでも遅くなると、離脱出来てしまう魔物もいるらしい。異世界、コワイ。


「併用の推奨で販売ですかね?」


『それを抜きにしても私はもう3セットは購入しても良いと思っている。かかりさえすれば、被害をなくせるのは間違いないからね』


いや、待てよ?それなら・・・


「こういうのはどうでしょう?」


自分の話した提案にエルトさんは乗ってくれるのだった。



「おおう、予想以上な・・・」


鉄貨の山である。勿論、あのトラバサミの成果ではあるが、ここまで売れるとは・・・


「それ程にまで被害が大きかったんでしょうね」


「メンテナンスセットを一緒に売ると言うのは正解だね。後の調整はお任せと言う訳か」


リィルさんの言う通り、農家などでは魔物に限らず、害獣の被害なども大変なようである。で、刃が食い込みすぎる件に関してはメンテナンスセット、つまり、工具を売る事にした。ぶっちゃけてしまえば、後は購入者に任せてしまうと言う事である。


「農家といえど、鉄のトラバサミ使ってるならプロですからね。カミヤさんの判断は良い方かと」


メイさんの言う通り、猟師に近いんだろうな、こっちの農家と言うか、農民と言う職業。なんでって、魔物対策しなきゃいかんし、普通に他の害獣も居るので強くならざるを得ないし、罠に関しても扱いなれないと余計な人件費とかかるだろうしね。


「そういえば、このお金、どうするんですか?」


ユウナさんが置かれたお金を指し示す。まあ、普段は後は貯金箱に入れておくだけなのだが、自分はとある物が気になり、それを購入しようかなと思って出してあるのだ。


「ん、ちょっと買ってみたいモノがあってね。え~と、あったあった」


「何を購入するんですか?」


ユキさんがそう言うと全員が覗いてきたので通販ページを見せる。同時に地球組にああ~と納得されるのだった。

売り込み営業は大事、古事記にも書いてある。鋼の活用はまあ、こんなもんかな?と。鎧もそれなりに硬くはあるんですがね、売れるか?って言われると、ねえ?


現ステータス


NAME


シロウ・カミヤ



SKILL


安全シェルター LV 8


健康的な体 LV MAX


投石 LV 1


鑑定 LV MAX


鍛冶 LV 7

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