72話 スキルについての考察
「 」
あ、いや、開幕失礼。言葉を失うってあるんだな。町の入り口までは普通だった。うん、ミニカーが手の平幼女になったのは絶句されたけど・・・
「ある意味、ファンタジー光景」
うん、右見ても左見ても看板見ても戦車!っていうか、戦車愛同好会って何?!ギルド名、ギルド名なの?!後、戦車饅頭って何?!ツッコミ?ツッコミ待ちなの?!
「お、おかしい。少なくとも最後に訪れた時はここまでじゃなかったのに?!」
ユウナさんが頭を抱えているが、自分はどういう事か?と言うより、何が起きたかを察した。
「自分はなんとなく分かったけどね」
と言うと、全員がこちらを見る。うん、まあ、聞きたくもなるわな。が、その前に・・・
「まずは落ち着いて話せる場所に行きますか」
ウィンドウ操作でまずは注目受けまくっているシェルターを手近な木の洞に入るように操作するのだった。まあ、小人みたいなのがてくてく歩いてたら、そら気になるよね、しかも猫耳フード幼女なら、なおさら注目するよね。
「さて、まあ、事の仔細を話してから移動するとして、何故、こうなったか?単純に考えればいい。好奇心だ・・・・・・ただし、転生者のね」
『あっ!』
そう、割と転生者は忘れがちだが、自分は説明をした事があるのですぐにこの結論に至ったのだ。そう、覚えているだろうか?転生者のスキルは・・・
「この世界でも転生者はスキルを覚えられる。これが鍵だ」
そう、つまり、ユウナさんの作成スキルが盗まれたとかではない。それだけは断言出来る。では、なぜ、ユウナさんと同じようなスキルがこの町で見られるのか?簡単だ、女神様との会話を思い出してほしい。
「完全に盲点でした。スキルを作り、神様達と長時間話したカミヤさんだからこそ気づいたのかもしれませんね。つまり、この世界の転生者は・・・・・・条件さえ揃えば・・・」
そう、メイさんの予想通りだ。ここまで言えば、他のメンバーも分かるだろう。
「スキルは例外を除いて、スキルは組み合わせ次第で・・・・・・この世界でも作れる。いや、スキル同士が組み合わさって新たなスキルになると言う方が正しいかな?」
自分の考え的には戦車カスタムのスキル持ちがそのスキルを得るようになったのは車両作成の応用で戦車のパーツバラシをして解体と設計スキルを取得、そこからパーツを組む事で戦車作成を取得。そこからカスタムするスキルを作り上げた。こんな所だろうか?
「でも、それって危険じゃありませんか?」
そう、リンさんの言う通り、そういうスキルを作った奴が暴走すれば危険はある。しかし・・・自分はその危険性はないと確信している。何故か?
「おそらく、いや、確信レベルなんだが、神様がさせない、やらせないだろう」
「と言いますと?」
レインさんに言われて、先を話す事にする。完全に自分の予測であると言う事をまず前提とするが、おそらくは合っているはずだ。
「うん、まあ、ぶっちゃけるけど、多分、カスタム戦車、スキル封印の魔法かアイテムで解体可能です」
『ファッ?!』
そう、神様の物理的な罰もあるだろうが、それは最終手段で、現地の人間にも暴走する転生者のスキルを抑える術がある。一見、作られた物には効かないように見えるだろう。が、しかし、スキルの事を思い出してもらいたい。
「はい、ここでみんなに問い。スキルとは?」
『・・・・・・あっ!』
そう、スキルというものは、あの転生の場での出来事、そしてその特性を考えれば解る。いや、理解出来てしまう。
「スキルとは神から与えられるモノ」
「その視点はなかったですね。そうか、だからこそ・・・」
ユウナさんが納得いったという顔をしている。なんだろ?とりあえず、更に先を促してみる。
「転生の場での出来事、レインさんやリィルさんにもお話しましたよね?」
二人が頷くのを見て、ユウナさんが続ける。あ、なんか、分かってきたかも。
「あの場で私達はチートスキルの一覧を渡されたんです。中には悪用すれば危険な物も大量にありました。近代兵器マニアとも言える私から見てもです」
そう。ユウナさんのスキルに代表されるように持ち出していいのかな?的なスキルがいくつもあった。でも、神様達は希望すれば渡した。何故か?
「しかし、取得する事は止められなかった。いや、止める事すらしなかった。何故か?」
ユウナさんの言葉に対する解答は単純である。止める必要がない。これに尽きる。神々が見ているのもあるが、どうとでもなると言う事だ。
「ただ、多分、自分のシェルターはスキル封印のアイテムや魔法での解体でも、神々による天罰でも破壊不可能だと思う。後、多分、このスキルは作れない」
「あれ?このシェルターもスキルですよね?」
そう、リンさんの言う通りなのだが・・・・・・
「見せた事がある説明文を思い出してみてくれ」
『あ!』
そう、思い出してほしい。シェルターの説明文にある【このシェルターはあらゆる理であっても壊されない】これだ。ここは神様からの天罰も含めるらしい。それ故に、確定でスキル封印も自分がこの中に居る限りは効かないし、スキル封印が外に居る時に発動しても、自分はシェルターを出す事が出来る。スキル封印って、要するにスキルの破壊に近いからだと思われる。
「まず、神様の天罰は効かないし、羨ましがった転生者がスキルを作るにしても、どうやって作る?」
『・・・・・・あっ!』
そう、まず、スキル作成の場合はこの安全シェルター、どう作る?という話になるのである。何故か?
「作りようがありませんね。レインさん、リィルさん、どうですか?」
「お手上げですね」
「同じく」
メイさんの言葉に返答したレインさん、リィルさんの返事が全てだ。どう組み合わせてスキルを作るか?である。例えば、この世界にはシェルター能力持ち、すなわち、シェルターを作成するスキルはある。しかし、ここに安全シェルターの説明のあらゆる理であっても壊されないというのはスキルをどう組み合わせるのか?ここで詰む。加えて、自分が考えた御褒美や機能をどう乗せるの?と言うお話である。シェルター変形機能や通販とかその辺どうやればいいの?ってなるよな。
「例え、このシェルターに似た装甲面が作れたとしても、それは紛い物だ」
そう。そして、よく思い返してほしい。スキルを組み合わせて、スキルを完成させる。つまり、安全シェルターを真似るなら、シェルタースキル+防御系スキル全種と言った所だろう。根気があればやれるかもしれない。しかし、それはスキルを重ねたスキルである。つまり、この世の理で破壊されない安全シェルターではなく、普通のシェルターより硬いだけのシェルターであると言う事だ。
「そう、だけど逆に言えば例外スキル以外は作れると言う事」
あ~・・・・・・という空気が流れる。そりゃそうだ。分かりやすく言えば、オリジナルスキル作成を気付いてる奴は作り放題って事だからね。ただし、世界丸見えが出来る神様と住んでる国の監視付きだが。
「とりあえず、各都市の滞在はそれぞれ2週間。滞在中に何事もなければ大体これぐらいの観光感覚の気分で行こうと思う。良いかな?」
勿論、全員から同意を貰ったのは言うまでない。
今回のお話にも神様の企みが少しだけ関係します。そして、これから先の展開の伏線でもあります。まあ、スキルについてはこんなもんだとふわっとした説明と言うお話。
現ステータス
NAME
シロウ・カミヤ
SKILL
安全シェルター LV 8
健康的な体 LV MAX
投石 LV 1
鑑定 LV MAX
鍛冶 LV 7