53.5話 ドラゴン素材の新アイテム(ただし、使えない)
「ふむ、これでひとまず完成・・・かな?」
という事で、街で買った土地に戻り、キャンプを張り、シェルター内部で久々に鍛冶に精を出している。
「これはまた、変わった特性ですね?」
今回の相方はメイさん。他のメンバーもそれぞれ自分の趣味や仕事を行っている。本当に久々かもしれん。
メイさんにお願いしたのは補助魔法だ。筋力が要る所やスピードがちょいちょい要るのが鍛冶である。今まではレインさんにお願いしていたが、たまにレインさんが自由行動をという事で新たに魔法専門であるメイさんにお願いした次第という訳だ。
「黒曜石は黒曜石でもドラゴンの身体から出来た黒曜石の所為かね、コレ?」
「でしょうね」
とりあえず、出来上がったのはインゴッドなのだが、コレがまた面白い特性をしていた。
溶岩龍の黒曜石インゴッド(成功):一見は普通の黒曜石から出来た物、しかし、コレを使った武器・防具は物に当たると炎を発する 品質:A
ランクが高いのは勿論だが、危ない特性持ってるな、コレ。机の角に当たる等では発しないようだが、つまり、コレ・・・
「武器はともかく、防具は盾なら何とかなるだろうが、鎧は無理だな」
「ですねえ。大火傷しますよ」
いや、まあ、自爆覚悟のリアクティブアーマー的な使い方は出来るだろうが、そんなもん作って責任問われたくはない。いや、使う奴居るか?って言われると、まあ、炎関係を無効化する種族やまあ、そういう性癖持ってる奴が居ればワンチャン?
「順当に考えると、剣だよなあ、コレ」
「もしくはハンマーですかね?」
まあ、そう言うのはあるらしい。ただし・・・
「ゲームで言うとこ、クリティカルすると、溶岩並みの熱さになって、使い手が大火傷する事例が後絶たなくて、呪いの武器扱いらしい・・・いや、駄目武器じゃねーか」
「あれ?カミヤさん、それなら・・・」
「うん?」
メイさんの提案を聞いて、その案は目から鱗だったね。ああ、なるほどってなったもん。さっそく作ってみる事にした。
「で、仕上がったのがコレと、久々の旦那様の革命の作品ですね」
わはは、否定出来ねえ。仕上がった物を見ればまあ、そうなるよね?ってなる物が出来てしまったんだから、仕方ないね。
黒溶玉:溶岩流の黒曜石で出来た玉。相手に当たると、熱を放ち攻撃する 品質:B
要するに、ファイアーボールの投石バージョンとでも言おうか。握ったぐらいでは熱を発せず、相手に当たって初めて熱を発するのである。勿論、当たりが良ければ溶岩クラスの熱さが襲い掛かる物騒なおまけ付きである。
革命と言えば革命なのだが、まあ、溶岩龍自体が稀少なので、剣やハンマーなどぐらいしか使い道が無かったから、こういう手合いのアイテムに素材を使う事が出来なかったからとも言えるだろう。
「投擲アイテムですか」
「ギルドに卸すつもりはないですけどね」
リィルさんの言葉に返答する。流石にもう絶滅したモンスター素材がレシピです!なんて言えないわな。下手すれば、溶岩龍を復活させようなんて馬鹿が出かねない。あくまで、自分達の防衛用に作ったのだ。しかも・・・
「まあ、聞いた感じすっごく効率悪いしね、麻袋にパンパンだった黒曜石から10個作ったら半分ぐらい消えてたもんね」
オウカさんの言う通り、インゴッドひとつで黒曜石がかなり必要になる。これはヒビが入っている為と思われるが、相応の数を使う。一応は1個のインゴッドから5個出来るので50個出来ている。逆に言えば、この50個の後、材料を考えると、追加は50個しか作れないという事だ。
ついでに言うと、溶岩龍自体が絶滅確定の為、合計100個で弾切れという事である。使い所を考えずに投げまくれば、あっという間だろう。
「でもまあ、ようやく鍛えれそうですね、投石」
「まあね」
リンさんの言う通り、これはそう言う目的で作ったという訳だ。訳なのだが・・・
「今の現状では使えませんね」
「デスヨネ~」
メイさんの言う通り、当たれば炎を出し、クリティカルすれば溶岩を出す攻撃アイテムが伐採もされてない地帯で使えばどうなるかなんて、うん、分かり切った事である。かと言って、伐採された、つまり、開けた場所で使えばどうなるかなんて、言うまでない。
スカウトマンが例の騒動で落ち着き始めたのに、また!は勘弁願いたい。ついでに言うと、素材が素材だけに大騒動になりそうである。つまり・・・
「投石レベル上げはダンジョンか、新大陸に行くまでお預けですね」
オウマイガーーーーーーッ!
まあ、投石レベル上げれるアイテム完成しましたが、そら、うん、森が広がってる場所では使えませんよね、うん・・・・・・
現ステータス
NAME
シロウ・カミヤ
SKILL
安全シェルター LV 7
健康的な体 LV MAX
投石 LV 1
鑑定 LV MAX
鍛冶 LV 5