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52話 災害級討伐

「これはまた・・・」


「うわぁ・・・・・・」


あの騒動の後、騒ぎを起こしたクラン全部が開拓本部にこっぴどく怒られ、罰金及び、自分達に対する慰謝料を支払わせられたらしい。いや、別に要らなかったのだが、まあ、あんな幼女に詰め寄るシーンを少ないとはいえ住民に目撃されたのだ、まあ、そういう意味でのお金だろう。

先程も言った通り、クラン全部という事で塵も積もればなんとやらで、なんと、金貨400枚を超える慰謝料が手に入ったのだ。まあ、通販資金が増えたとでも思っておこう。勿論だが、当該の事件に関与したクランは監視対象に入った。なんか色々言い訳を言ってたが、当たり前なんだよなあ。

で、スカウトマン騒動に関する心配も無くなったという事で、地図作成を再開したのだが、目の前のあまりに非常識な光景に絶句中という事である。どういう事かと言うと・・・


「火山が()()()()溶岩フィールドって一体・・・」


そう、火山が無いのにゲームみたいな溶岩フィールドが、普通に森の奥にあったのだ。森抜けたら溶岩地帯がありましたとか、絶句する以外何すればいいんだ、コレ?


「ファンタジー世界かよ・・・・・・ファンタジー世界だったわ」


思わず、自分でボケとツッコミをやってしまった。いや、でも、誰だってするわ、こんな光景。


「レインさん、コレ、なんか覚えあります?」


「おそらくですが、神話・・・・・・いえ、()()()のモンスターが住み着いています」


「レイン姉、やっぱり、これアレだよね?カミヤ、この光景を宝珠に撮って、フィールドには踏み込まずに退却しましょう」


レインさんとリィルさんが冷や汗を流しつつそう言うからにはヤバいクラスのモンスターだろう。無論、このまま探索して遭遇しても負ける心配は無いが、その場合、とんでもないモンスターによる島への被害がバカにならない。丁度森と溶岩の境目でしっかりと光景を宝珠に映し、退却するのだった。




「よりによって、アレですか・・・・・・」


あれから港に戻って、大急ぎで大声を上げながら、組合に向かった。その情報のお陰で、スカウトマンやクランは大騒ぎであるが、知った事ではない。そして、現在、組合の長である男性竜人のフェイルさんが、シェルター内部の応接間で頭を抱えている。


「私が見た事あるギルドマスター書庫にも残っていた資料の情報とも一致するので間違いないかと」


「災害級・・・・・・()()()()()()()()()()()()


レインさんの言葉にフェイルさんが言葉を発し頭をまた抱える。災害級は伝説や神話級より、人類にとっては厄介なモンスターを指す。中でも、この厨二病っぽい名前のバニシングドラゴンは特級にヤバいらしい。と言うのも・・・


「特徴としては身体には文字通りの溶岩が所々流れ、知能が高く、狂暴と言うより、臆病。しかも、出現時に自分に合う溶岩フィールドを形成。去った後のフィールドは不毛の地と化す。溶岩こそ消えますが木は枯れ、水源も枯れ、大地は砂漠状と化す・・・でしたっけ?」


「ええ。唯一、フィールドを前の状態に戻す方法は()()()()()()()他なりません。討伐出来ずに逃げられれば、不毛の地のままという事です」


戻りがてらにレインさんから聞いた、件のドラゴンの特徴である。このドラゴン、厄介なのは臆病であり、討伐出来ずに逃げられれば、その地はもはや不毛の地が続く。ドラゴン自体は魔法の武器などが効く為、()()()()()()()()()()()()()()らしいが、ここで特徴の臆病が効いてくる。

不利を悟る、あまりに強い相手からは逃げる。これだけで不毛の地が増え、件のドラゴンは更に討伐しにくくなる。故に災害級と言う階級が付いたのだ。勿論、これ以外にも居るが、こいつは上位どころか、3本指に入るらしい。


「正直な話、SランクからAランククランが1~2隊居て、攻撃すれば倒せる。ただ・・・」


フェイルさんが言うにはこの大陸から見れば、強さ自体は大した事は無い。だが、そう・・・


「厄介なのはフィールド。そして、臆病な性格」


「然り」


フェイルさんも件のドラゴンを知っているレインさんとリィルさんも苦虫を噛み潰したような顔をする。そらそうだ、溶岩地帯で焦らず、疲れず、長時間戦い続けれる人間は存在しない。亜人も暑さに耐性あれど、件のドラゴンのブレスや溶岩に落とされれば、ただでは済まない。

しかも、知性ある生物の集中力を暑さと言うモノは削る。しかも、並の武器だとドラゴンの身体に流れる溶岩で下手すれば溶けると来た。故に放置するか、フィールド内を移動するドラゴンを偶然の遭遇の元、逃亡も許さずに倒すしかないのだが・・・今回は前者は選べない。なぜなら微妙に未開拓領域に居座っているからだ。


「居座ってる場所が場所で討伐するしかないのですが・・・」


レインさんが難しい顔をする。バニシングドラゴンに関しては討伐例が無い訳ではない。その方法が先程言った、油断してフィールド内を移動している時の偶然の遭遇をした時に逃がさず討伐する事ではあるのだが、この偶然が大変難しい。

なにせ、ドラゴンが気紛れに動く事、不意の遭遇である事、臆病なドラゴンが油断する人数と強さ(上位の場合はその気を隠しておくのが絶対条件)である事。本当に討伐例はこれらが重なりようやくである。更に間が悪いのは・・・


「この大陸、猛者だらけなんですよね・・・」


その言葉にフェイルさんが更に頭を抱える。開拓大陸の情報通り、狂暴なモンスターと戦い明け暮れてる開拓者達が弱い訳なく、かと言って、ドラゴンが油断するような者と言うと、商人とかだが、勿論、戦いの心得がある訳がない。と言うか、権限使って向かわせたら、ただの鬼畜である。しかも、皮肉な事にその冒険者同士が牽制しあってる間に居ついた上に発覚が今の今までに遅れてたっていうね。


「更には、溶岩龍自体が戦い難い事この上なしと来ていますからね」


このドラゴン、フィールドを変えるのは勿論だが、体内や体外に溶岩が流れるという事はブレスもお察しである。しかも、アースドラゴンみたく翼退化してるのかと思ったら普通に飛べるらしい。更に言えば、溶岩のエネルギーをブースターにするのか、巨体でありながらその飛行速度はワイバーン並に早いらしい。

更に、臆病な為か、有利取れるならブレスや鉤爪による攻撃を、強力な攻撃されそうな時はアホみたいな機動力で回避、撤退を。う~ん、厄介と言う言葉を極めたクソボスであるとしか言いようがない。


「が、それなら、自分が討伐までの道のりを示す事が出来るかもしれませんね」


「なんと?!」


このクソボスはその特性と性格の故に、討伐すると言うなら、自分が手伝うならば難しくはない。まあ、かなり、強引な手段且つ、多少時間とお金がかかるのではあるが、その提案をフェイルさんにすると、フェイルさんも納得し、早速外に出て、物資や人員を準備をしてくれる事になった。




「さて、仕上がったか」


「かなり作りましたね」


うんうんと自分も女性陣も頷く。そんな自分達の視線の先は極限にまで薄く焼いた陶器の瓶である。中には白い粉ととある粉を混ぜ合わせた物が入っている。とある粉は2種類あって、それが50個入りの2箱分づつ。

それ程は要らないとは思うが、保険は必要だろう。加えて、打ち上げ花火がいくつか。これで準備は整った。


『こちらも準備整いました』


「ありがとうございます」


例の森と溶岩フィールドの境目、そこにフェイルさんと、高ランクの方々に待機してもらい、いよいよ、討伐決行である。


「では、行きますか」


自分は操縦席に、女性陣は箱を持って中身が割れない様にしながら庭に移動する。


「後は上手い事見つかればいいだけだな」


まあ、その辺あまり心配はしていない。何故なら・・・



『ゴァアアアアアアア!!!』


「会敵はえーよ」


思わずツッコミ入れてしまうほど、こちらも予想の範囲内だが、まさか入って5分もしない内に向こうから来る、普通?としか言いようがない。どういう事か?臆病であるという事が大きい。

臆病であるという事は慎重であり、自分がより優位に立てる相手ならば、マウントを取りに来るという事である。まあ、そういう事も相まって、どう見ても栄養としては足りないが自分より遥かに小さい手乗りサイズの幼女(外見)がテリトリーに入って来たらどうなるか?まあ、その結果である。いや、策としてはフェイルさん達と近いほど良いけどね、うん。


「よし、第1弾、投擲開始!」


自分がそう言うと、女性陣は1つ目の箱から出した瓶を構える。同時に自分はシェルターを動かし、ドラゴンの側面を取るように動く。パリンと言う音と共にドラゴンに当たった瓶が割れ、中の粉がドラゴンに張り付いていく。しかし、ダメージなんか無いとでも言うようにドラゴンは咆哮を挙げてシェルターを追いかける。よし、よし。

引き続き慌ててるように逃げてみせながらドラゴンの周りをぐるぐる回り、次々と女性陣は瓶を当てていく。白い粉に塗れていくが、ドラゴンの鱗からすれば、ダメージは無いに等しい。小さい者の無駄な抵抗とみているのだろう、ドラゴンはゆっくりと追いかけるように追い詰めてくる。


「よし、続いて、メイさんが吹雪の魔法!その後、第2弾投擲開始!」


外の状況を見て、メイさんにお願いしておいた魔法で攻撃。吹雪が溶岩に負けず吹き荒れ、収まると同時に第2弾である本命の粉を投擲する。


『グルルル?』


流石におかしいと思い始めたのか、飛ぼうとするドラゴンだが・・・


『グル?!』


「飛べないよな、だって、1弾目のの粉には鉄の粉がたっぷり入ってるんだ。重いよな?」


そう、白い粉は小麦粉、こちらはあくまで目くらましの為、そして1弾目の黒い粉は鉄を粉にしたものである。奴の身体はマグマが巡っている。それ故に付着後に鉄の粉が付けば鱗や体に冷やした分だけ鉄が張り付く。ひとつひとつは軽くてもどんどん当てれば重くなる。特に翼の付け根は致命的であるが、これもダメージがない事に慢心し、回避と言う手段を選ばなかったせいである。

そして、次に今当てている2弾目は・・・鍛冶技能で粉にした、磁石の粉入りである。まあ、後は分かるよね?


「レインさん、合図!」


「はい!」


レインさんが花火を打ち上げると、フェイルさん達が森から飛び出し、矢や槍を撃ちだす。しかし、ドラゴンは意地でも回避しようと飛ぶが・・・


『ゴァアアアアアアア?!』


悉くが刺さる。そら、磁石がくっついてればそっちに金属は誘導されるわな。まず、今回の作戦は2段階ある。1段階目が鉄を奴の身体に張り付かせる事。2段階目は磁石の粉を奴の体中に振りかけるようにまぶす事。

特に女性陣には粉を当てる部分を、フェイルさんには集中的に攻撃するのをお願いしたのは翼の付け根だ。とにかく飛んでの回避が最も厄介なので、そこを狙うのは当たり前である。ニトロジェット機も翼が無ければ宝の持ち腐れだからね。勿論、一部は他の場所に付いた方に誘導はされるが・・・


『ギュアアアアアア?!』


勿論だが、ドラゴン側にもここから形勢を逆転する方法がある。ブレスだ。溶岩のブレスは被害が甚大になるし、自分の身体に付いた鉄の粉などを自分に浴びせれば溶かす事も出来る。しかし、自分はそれは絶対無いと思っていた。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それがお前さんの欠点だよ」


そう、話や伝承を聞いて、必ず作戦が成功すると確信したのは伝承からだ。討伐例は不意の遭遇、その臆病さ故に本当に格上とは戦わない体質。それ故に、このドラゴンはドラゴンとして、つまり強者としての条件を果たせていなかったのである。

すなわち、()()()()()()()()()()()()()()()()。だから、不意の遭遇では簡単に討伐されたのである。簡単ではないが、龍の武器と言える空を飛ぶという事を封じてしまえば、そこからどうすれば良いか分からず討伐されるという事だ。


「痛みを知らない。それ故に、そこだけはお前さんのランクはFだ」


高ランククランの剣士が首を落とすのを見て、溶岩龍の討伐は終わった。という訳である。

災害級を討伐!と言っても倒しやすくしただけで、実際に倒したのはフェイルさんが集めた開拓者になりまけどね。勿論、このまま素材を採集してハッピーエンド!とはいきません。次回に続くですよ



現ステータス


NAME


シロウ・カミヤ



SKILL


安全シェルター LV 7


健康的な体 LV MAX


投石 LV 1


鑑定 LV MAX


鍛冶 LV 5

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