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50話 あれ?ボクやっちゃいました?の実例

「コレは酷い」


『同意』


あれから、まずは地図作りで1週間が経過して、地図作りは順調そのものなのだが、だが・・・


「いやあ、もう、なんて言うかこの世界での概念が覆りそうだよ」


そう、なんていうか、順調すぎるのだ。魔物は本当に出てこないというか、出てきた瞬間に狩人、もとい開拓者が殺到する。同時に魔物もそれを理解しているのか、大型種以外は本当に大人しい。視線は感じるけどね。


「で、その大型種が今まさにヒャッハーに囲まれて解体されている・・・と」


『あははは・・・』


今回は空を飛ぶ、鱗が緑だからグリーンドラゴン?が倒されていた。自分達のシェルターの小人形態を狙って来たんだろうが空からの奇襲が運の尽きであったと言えるだろう。


「空飛んで来たら、獲物見つけた開拓冒険者達の魔法の餌食ですよってねえ」


「ですねえ。私もスタンピード以外であれだけの魔法弾がドラゴンに殺到するのは初めて見ます」


「しかも、アレ、多分素材に傷つけないようにあくまでハンマーみたいな鈍器的役割になるように出力調整してましたね、全部」


自分の言葉に対するレインさんとメイさんの言葉から分かる通り、こう、普通は強敵のドラゴンすら御覧の有様である。ファンタジー小説よりも怖いのは人間の物欲だと思いました、うん。


「で、リィルさん、どうです?」


「順調すぎて怖いぐらいね。ここまでで大体、今ある開拓地図とほぼ変わりない範囲の確認が終わったわ」


本当に順調すぎる。普通はこういう時の慢心が一番怖いのだが・・・この開拓地図が正確過ぎて、自分達が作成してる地図との確認作業も速いっていうね。こうなると、ぶっちゃけ、ツッコミ入れたいのが・・・


「なんで、開拓進んでないのか・・・コレガワカラナイ」


『 そ れ 』


まあ、大体の察しは付く。ここまで正確な地図だと、知られてない範囲の地図は貴重。そうなるとどこもかしこも牽制し合う。どこそこの情報が高く売れるとか、こう、なんだ、転売屋が最も高く売れる瞬間を待ってる感じか、コレは・・・それがずっと続いてる感じなのかもしれない。

開拓本部も権限を使えば、地図の徴収ぐらいは出来るだろうが、そうなると開拓者が離れるのは確定な為、強引な手段は出ずに待ちの姿勢なのだろう


「こうなると怖いのが、人間による妨害だなあ」


「ですね。おそらく、今も周りから視線を感じますしね、解体を見守っている護衛とかから」


自分達の会話は外には聞こえない様になっているが、当然、小人形態で解体を見守っているシェルターに視線は集中している。まあ、動く拠点で1週間も外で見かけたから、そういう事だと分かってる開拓者兼冒険者は多いだろう。

コレ、外から見れば何してんだこいつら?案件ではあるが、監視してる当事者からすればそいつらに何言ってんだ?案件なのだろう。そら、開拓が転生者とか居ても遅々として進まんわな。よしっ!一石投じてやろうじゃないか!


「ん、良し。帰って、開拓本部にこの地図売りましょう。きっと、面白い事になりますよ」


「え?この先の地図作らないんですか?人居ない所を選べば可能なのでは?」


「いえ、リン。旦那様の一手は妙手です。何、提出した後ですぐわかりますよ、フフッ、悪いお方」


はは、流石にレインさんは分かったようで、次いで、リィルさんも理解したのかクスクス笑っている。


「まあ、すぐに結果が出るさ。すぐにね」


そうして、自分達は来た道を戻り、港で開拓本部に地図を提出すると、金貨なんと100枚を貰った。勿論、理解が追い付かなかった3人にも説明したのは言うまでない。




「うっわ、()()


はい、こちら、アレから数日、今日は休暇という事で適当に港を見回ってる際に、開拓本部前を見たオウカさんの歯に衣も着せすらしない一声でございます。


「いやあ、凄いな、コレ。人の波って有るんだな」


自分がやった事は単純で、且つ、読みも当たっただけである。現在の開拓地図で分かる所までの地図の詳細を完成させた。これだけである。たったこれだけ?と思うかもしれない。だが、()()()()()()()()()。これだけで開拓していた集団に衝撃が走る。


「なるほど、金貨100枚で買うはずですよね。だって聞けば年単位で更新が無かったんですから」


そう、メイさんの言う通り、あの日、こちらの意図を読んだ開拓本部は金貨100枚で最新の情報が載った地図を買った。ついでに、自分達にはこれまでなかった太いコネが出来た。さあ、そんな情報が駆け巡るとどうなる?


「そうなると、今まで隠しに隠してた情報も、もしかしたら売られているかもしれない。そら、焦るし、地図を買いに殺到するし、隠してた情報も売りに来るよなという話ですね」


自分の言葉にうんうんと皆が頷く。そう、要はだ。勝手に開拓チームが焦って売りに来てるシーンを見ているのだ。そら、オウカさんに限らず、まず第一声はそうなるよなという話である。


「結果、売りに来られた情報で開拓本部はウハウハ。地図を更新出来てホクホクからの、更新した地図の販売で文字通り、本部は笑いが止まらんだろうな、コレ」


「旦那様の言う通りですね。金貨100ぐらいは損失ですらないでしょうね。過去最高の儲けが出ているのではないでしょうか?」


そう、焦って売りに来た奴から情報を得て、報酬を支払い、地図を更新し、その地図をまた売り、更に焦った違うメンバーからの情報のエンドレスである。ちなみに、自分達は普通に探索出来るので地図は買わずにいる。というか、沈静するのを待つ意味でもしばらくは休暇という事で港で落ち着いているのだ。


「あれ?もしかして、これでグングン開拓進んじゃうって事はやらかした?」


『何を今更?』


オウフ・・・・・・

未開拓地では情報勝負!そら、自分達が知る秘密を最も高く売る瞬間を狙いますよねと言うお話です。ですが、カミヤ君のやらかしは開拓本部としては良いやらかしなのでオッケーでしょう、多分。



現ステータス


NAME


シロウ・カミヤ



SKILL


安全シェルター LV 7


健康的な体 LV MAX


投石 LV 1


鑑定 LV MAX


鍛冶 LV 5

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