48話 次の目的地は?
「開拓大陸ですか?都市では無く?」
『ええ。おそらく、普通の大陸に行くよりは良いかと』
あれから数日、今回はライさんの所にお邪魔している。船の旅でどこに行くかの相談である。実はノープランで適当な大陸をと思ったのだが、こうも色々起きていると、普通の大陸は・・・となったから、冒険者支援協会の会長と言う知恵を借りに相談に来たという訳だ。
「開拓と言うと文字通りで?」
『字に書いての如くですね。この惑星と言えば良いですかね、惑星の中で一際大きな大陸であり、開拓が他大陸は90%以上開拓出来てるのに対し、こちらはまだ30%にも満たないらしいです』
「へ?転生者が居てもですか?」
『ええ、おそらく、私より先に居た転生者が行っていてもです』
「多様な意味で?」
こくりと頷くライさん。ふむ。開拓に適したスキルを持っていた転生者が居ても開拓出来ない所がある、あるいは、そこに隠匿した拠点を持っているという所だろうか?後、考えられるのはまあ、お察しかなって事情だろう、悪い意味で。
「ただ、逆に言えば、お薦めされる理由も自然と分かりますね」
「て言うと?」
レインさんの言葉に振り向いて理由を聞く。
「旦那様のシェルターは普通の大陸ならば、非常に目立ちますが、開拓大陸なら、到着時こそ珍しがられますが、その後はほぼ珍しがられません」
『ですな。何故なら、開拓しておるからです』
ん?と思ったが、少し考えると納得した。
「そうか。開拓が進んでないから・・・・・・ですね?」
『その通りです。その為、カミヤさんのシェルター程の強度があるかは不明ですが、シェルター、と言うより、拠点構築の能力は珍しい物では無いようです』
あ~、そら重要だわ。と言うか、持ってない奴が行くな!まであるよね。なんでって?モンスター出る世界である。普通の街に普通の宿屋!なんて未開の、しかも開拓している最中の大陸に簡単に置ける訳が無い。
30%の開拓率と言ってはいるが、地球のように機械や重機がある訳ではないからあくまで目安でしかない上に開拓してる最中に凶悪な生物の襲撃があるような大陸で街や村をいくつも作るなんて不可能に近いだろう。となると、拠点構築能力は必須だ。
何より、予想される大陸内部は安全地帯が無い場所、しかも、未開の地でどんなモンスターが居るのか分からん場所でその能力持たずに来るなら、自殺しに来たの?まであるだろう。誰だって、そう言う、自分だってそう言う。
『それに、私共としてはカミヤさんに期待したいんですよ。深海ダンジョンのマップ作製や鯨への対応への冷静さ。これなら、今も遅々として進まない大陸の調査に光明を差してくれるのではないか?とね』
「ははは・・・・・・」
改めて、貿易都市でもやらかしたなあと思い至る。ライさんによると、深海ダンジョンが改めて稼ぎ場と言う噂に加え、1階層マップの完成により、更に効率が良くなるため、ギルドはマップで潤い、探索者は魚肉の儲けで潤う。しかも、魔法関係のギルドも呼吸魔法の関係で潤っているらしい。
更に鯨への対応策も発表された為、2階層のマップも鯨が居る場所以外は埋まりつつあり、更に3階層への道も見つかったらしく、貿易都市が今後更に潤う事は間違いないらしい。ワオ。おかしい、爆笑してる神様チームの幻影が見えるぞ?
「開拓大陸の情報はありますか?」
『勿論です。ただ、どれも信憑性が高いとは言い切れませんが・・・』
と言う訳で聞いた感じ。なんていうか、まさしく未開拓大陸と言う感じだ。その関連で情報を聞いたら、勿論だが、冒険者支援商会や他の国々も新たな大陸の開拓は急務だが、遅々として進まないのは理由がある。その理由が今日までの開拓を阻んでいると言ってもいいという事が分かった。
うん、これ、めんどくさい案件になりそうだというのは確からしい、うん。
「なるほどなって感じだったね」
「ですね。開拓大陸の成果が中々伝わってこないとはそういう事だったのですね」
あれから情報をいくつか聞いた後で、明日の船に乗る為にライさんと別れ、ギルドの個室に帰ってきて、シェルター内で皆と話し合う。
「まず、その1。絶対的な安全が無い」
当たり前すぎる事だが、未開拓大陸のモンスターは勿論、凶悪であり、どのような習性を持っているか、いまだに詳細不明なモンスターの方が圧倒的に多い。この為、ぶっちゃけて言えば、安全が保障されているのはある意味で前線基地とも言える港周辺のみである。開拓者はそこから出れば、基本的に野営である。
「一応は結界石がある砦がいくつかあるようですが・・・」
そう、開拓中という事もあり、いくつか拓いた場所に砦はあるようなのだが、安全とは言い難いらしい。正直、砦自体も各国どころか各大陸からの支援、ギルドからの支援、協会からの支援である人材でようやく維持出来ている程度だと言う。
だが、結界石があるから絶対的に安心・安全と言えるか?と言われるとノーだろう。ぶっちゃけ、最前線だろうしね。最前線のモンスターが結界石で簡単に阻めるほど弱い訳がない。
「んで、その2。人材が無い。と言うか、強い人材は砦に回してるから、開拓班として整地する人、整地する人を護衛する人の割り当てが少ない」
「地球なら人材が少なくても、機械や重機などがありますけど、ここにはありませんからね」
メイさんの言う通り、現代の地球の開拓知識はほぼ役に立たないだろう。魔法が代わりになるかもしれないが、そうする場合は1日に使える魔力は限りがあるし、魔法が使える人材は体力的にも精神的にもかなり消耗するだろう。下手すりゃ、発狂して大損害なんかも充分にあり得る。
重機に関しては、転生者の特典スキルにしても、判明した時点で命の危険がある開拓大陸行きは・・・ねえ?むしろ、国家が全力で囲い込みをするだろう。
「モンスター素材やまだ見ぬ資源は美味しいが、危険の所為で遅々として進んでない感じだなあ、コレ」
『ですね』
逆に言えば、危険を回避出来るような移動拠点があれば、探索は可能という事だ。ライさんが期待するのはそこであろう。となると・・・
「ダンジョン探索の屋外版だね、コレ。他の大陸も紹介されてはいるけど・・・」
「旦那様のシェルターの仕様を考えると、断然こちら、開拓大陸が一番に見えますね」
まあ、そうなる。誰だってトラブルが無いならそっちを選ぶというお話ですよ。と言うより、シェルターが目立たないのは実に良し。
「じゃあ、準備を終え次第、開拓大陸に出発という事で」
『異議なし!』
という事で、次に向かうのは開拓大陸になったという事だ。さて、どんなトラブルが待ってるかなあ・・・いやね、絶対ある奴でしょ、コレ?
次の目的地は未開拓大陸!イメージとしては某上にマが付くサンドボックスゲームみたいな大陸ですね。そんなところだと、カミヤの能力はあまり珍しくはない・・・と思う、タブンネ(棒
現ステータス
NAME
シロウ・カミヤ
SKILL
安全シェルター LV 6
健康的な体 LV MAX
投石 LV 1
鑑定 LV MAX
鍛冶 LV 5