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47話 探索の意外な終了理由とシェルターの思わぬ天敵

35000PVありがとうございます!

「早い」


「早いですね」


「早いな」


「まあ、こうなりますよね」


順に自分、リンさん、オウカさん、メイさんである。何がって、アレから3日。要は、魚肉のアレに関して発表があってから3日である。3日である、大事な事なので2度言う。何が起きてるかと言うと・・・


「人増えましたねえ。少し前の光景と同じとは思えません」


「まあ、金になる。ランクが一定あれば黒字出せるとなれば、ね」


順にリィルさん、レインさんのお言葉である。そう、アレから、探索者が一気に増えたのだ。と言うか、大盛況である。所謂、ダンジョン需要フィーバーとでも名付けるべきかってぐらい冒険者が殺到しているのだ。

現在の光景はとても厄介なダンジョンとして敬遠されていたダンジョンと同じ光景には見えない。自分達はマップ、他は魚肉目当てなので、魔物も出ずと言うか、魔物は次々討伐されているので、探索だけが目的の自分達にとっては現在は超が付くぐらい快適である。


「宝箱も興味なさそうですしねえ」


「ですね」


ここの受注資格が例外、つまり自分達を除いて、Bランクからが条件なのだが、流石は冒険者、稼ぎ時と言うのを分かっている。どこにこれだけ居たのかってぐらいのクラン、ソロの探索者が入ってきているのだ。

お陰で地図の作製も捗るんだけどね。モンスターがサーチアンドデストロイじゃなく、探索者によるサーチアンドデストロイ状態である。地図作るだけの自分達にとって魔物が出ない状態と言うのは本当に有り難い。


「ん、あ、これは・・・」


「延長戦、ですねえ」


まあ、そんなこんなで探索者が減ってきた奥の方、階段を見つけてしまった訳である。なお、ここ以外は探索済みである。


「一先ず、1階層の地図は完成してしまったし、納品が先か、それとも探索するか・・・」


と、まあ、今後の事を考えていると・・・


『階段発見!行くぞ!』


『応!』


まあ、ランクが高いクランであろう者達が突撃の数秒後に悲鳴が聞こえてきたので、うん、まあ、入口まで戻る事にした。君達の犠牲は無駄にしないぞ。


「レインさん、報告と船の派遣をお願いしてください」


「はい」


こうして、まあ、1カ月予定の調査は半月程度で終了したという訳だ。2階層以降は正直な話、ギルドとしても今は要らないだろう。と言うか、自分達の探索依頼は早いがここで終了と言える。

というか、ここで終わりにせねば、冒険者達との思わぬトラブルも発生しかねないという事で、他の皆と意見が一致したのだ。しばらく後に来たギルドが派遣してくれた船に乗り、自分達は久々の地上に戻るのだった。




「「わあお・・・」」


「どうしたんですか、メイさん、旦那様?」


とりあえず、マップをギルドマスターに提出し、報酬を貰った後は船の準備が整い次第の出発まで悠々自適・・・の筈だったのだが、今見てる情報、2階層のモンスター情報に固まってしまったのだ。

話しかけてきたレインさんに資料を渡す。そこに書かれていたのは・・・


「ええと、巨大空間に巨大なモンスターの出現ですか、コレが?」


「ええ、下に命からがら生き残った探索者が描いた絵があるじゃないですか、オウカさん、リンさん、2人ならこれ分かると思いますよ」


そう言われると二人は資料を覗き込み、ああ・・・と言う感じで納得したような顔をする。


「天敵ですね」


「天敵だね。2階層はパスして正解だったね」


うんうんと納得して頂ける。うん、こいつと水中でお相手は自分も勘弁願いたい。シェルター自体は無事ではあるだろうが、ぶっちゃけ、無事である以外に対策が無いに等しい。


「リン、どういう事?コレ、鯨よね?」


「旦那様、天敵とは?」


リィルさんとレインさんが聞いてくる。うん、普通は鯨ってのは海上に居れば、狩れる。実際に日本でもそうして狩っていたからね。ところが、水中では話は変わる。


「私達の世界にも居るんですけど、()()()()()()()()()()()んですよ」


「だね。ところがこいつは海中になると話は変わる。まず、こいつの捕食行動は吸い込みなんだよね」


あっと言う顔を2人がする。うん、吸い込まれないようにシェルターを重くするという手段はある。あるが、鯨の吸い込み捕食は半端ないのでかなりの重量が必要になるだろう。

更に、こいつはモンスター扱いである。攻撃行動が捕食の場合、いつまで続くか分からないし、それで重量上げて、ダンジョンの壁にめり込むとか、あんまり想像したくない。下手すればダンジョンの壁に取り込まれるとか絶対嫌である。


「その2。こいつに有効な攻撃手段が正直に言うと、このダンジョンに限るけど無い」


『ああ』


自分の言葉に女性陣全員も納得する。ゲームとかなら、サイズ差なんて気にしないだろうが、残念ながらここはリアルである。水棲系に効く雷魔法が何人分必要とかではなく、魔法使いが連隊レベル並の人数が必要になるだろう。しかも、雷は水に伝わるから、完全に相打ち前提である。

他属性の魔法は言うまで無いし、うちのシェルター使用の場合、レインさんとリィルさんとメイさんに交代で攻撃してもらうという手段はあるが時間がどれだけかかるか分からんし、討伐の為の魔法での近辺の被害とか考えたくもない。


()()()()()()っていうけど、本当だよねえ」


『 そ れ 』


オウカさんの言葉に全員が頷く。でかさは強さ。しかも、水棲系生物なので水中内での速さもある。しかも、その速さからの体当たりするだけで、タンカーが複数死ぬか盾と腕を壊される。いや、下手すると、タンカーも止めれずにパーティ全部巻き込んで死ぬ。

更に注目するべきはそのでかさに依存するタフネス。転生チートを持つ魔力での攻撃もかなり込めないと駄目だし、即死するとは限らない。タフ!の一言に尽きるだろう。むしろ、力尽きる前の鯨の大暴れで大技を放った後の反動で動けない転生者が死亡!も十分あり得る。


「そして、ボス部屋での発見では無いので、再度出現する可能性。しかも、進んだ先に追加の可能性」


『おぉ、もう』


そう、こいつはボスではない。ダンジョン的には雑魚である。それがまずい。1体倒すのに疲弊してる所に進んだ所でもう1体追加よ~なんて事になったら、文字通りに目も当てられない。更に・・・


「極めつけはコレだな。地球の鯨には無い角」


鯨ではあるが、ダンジョンに居る以上はモンスターである。地球に居る鯨と同じではない。その一端が巨大な角である。一応、シェルターはこの世界の理では壊れないが、こんなの真っ向から受けようとは思わない。

で、この角で貫かれたら、まあ、即死だよね、どう考えても。人間大なら掠るだけでミンチだろう。ついでに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ってのも十分にあり得る。うん、えぐいし、戦いたくない。まさにこのシェルター、いや、人間の天敵である。


「多分、受け止めるなら伝説級の鉱石で尚且つ、この角を折る程硬い金属が必要ですね」


「あります?」


「一応は、オリハルコンが候補に挙がりますが・・・」


レインさんの言葉に自分が質問し、ファンタジー好きには垂涎のオリハルコンが話題に出るが・・・


「質量って残酷ですよね」


『そうね』


自分の言葉に女性陣が頷く。まあ、どれだけ良い装備があっても、うん。角は止めれても突進止めれないよね、人間だと。しかも、踏ん張りがきかない海中で角は耐えれても、質量の差と水流で流されて壁に激突して、ミンチと、ひっでえモンスターだな、こいつ。

じゃあ、角を受け止めれるほど重く巨大な盾を作るか?と言われるとどうぶん回すんだそんなもんって話である。やはり、でかさは強さで最終結論である。更に言えば、止めた所で鯨からすれば、だから?である、酷い。


「ただ、まあ、メリットがない事もないっていうか、多分ですけど、この鯨モンスターが居る事でスタンピートが楽になっている可能性がある」


「と言うと、もしや?」


なんとなく察したであろうレインさんの言葉に頷きつつ、説明を続ける。


「エリカさんの説明に違和感があったと思わないか?スタンピートがそんな簡単に魔法使いを小隊程度を配置したぐらいで終わるような騒動だったと思う?」


「思いませんね。地方都市であるザナは元より、王都ですらどこかで起きるだけで大騒動になる事件です」


「では、鯨が居るであろう2階層以降の敵はどこに消えたか?簡単だ。鯨が複数いる前提だが・・・・・・うん」


「ま、まさか・・・・・・」


うん、地球では食材にもなるし、そういう方面では良く知ってるであろうリンさんがうわあと言う顔をしている。うん、あくまで自分の予想ではあるがほぼ間違いないだろう。


「コレに食われた。まず、間違いないだろうね」


鯨の絵をトンと叩く。こいつの出現は通路とかではなく超巨大な空間、大部屋と言えば良いのか、そこに出現する。つまり・・・


「探索者達が見たのは部屋ではなく・・・」


『縄張り!』


ビンゴ。つまり、入ってきたのは魔物だろうと人間だろうと、鯨にとっては等しく餌。スタンピート時のモンスターなんぞ、向こうから来てくれる大量の餌なのだろう。

更に、2階層以降があればだが、人間にとっては強敵系のモンスターも等しく食っていると思われる。ワオ、ユーはとっても腹ペコなんだね!


「倒してしまうと溢れてくる?」


「は無いと思います。ボスでは無いですから、期間を置いてダンジョンが再配置させるかと。後、先程も言ったように一匹であるとは限りませんしね」


リィルさんの言葉にこう返す。ある意味、構造的と言うか、配置的欠陥と言うべきか・・・・・・これが幸いしてるから、国家もギルドも文句すら言えないだろう。


「とすると、倒すとしたら?」


「ん~、凄く現実的じゃないけど、吸い込まれに身を任せて、歯にすり潰されない事を祈り、内部で溶かされない内に心臓、もしくは脳にたどり着いてダイレクトアタック、ぐらい?」


「シェルターなら安全にやれそうですけど・・・」


「絶対やりたくないですね。それにこのシェルターありきの戦術なんて後が続きませんよ」


『ですよね』


オウカさんの質問に答える。この内部から倒す方法にもやはり欠点があって、死ぬ前に暴れだしたら、ダンジョン内部で大地震&海流の大逆流とか起こるんじゃないかな?ってのがある。まあ、無視が一番だと思う。

その地震と海流の被害とか馬鹿にならないだろうし、つまりこいつは倒せるけど倒すのが多様な意味で厳しい敵という事だ。その分、素材は凄そうだけどねえ。労力と手間。自分達が去った後も考えるとパスだ。


「後は、う~ん?めっちゃ非現実的ですけど、鯨と同等の大きさのゴーレムを大量生産かな?無理だろうけど」


要するに男の浪漫の巨大自律型ロボットである。まあ、これまた問題大ありで・・・


「まず、最大の欠点として、そもそも、ダンジョンに入れられない」


『デスヨネー』


「マジックバッグなりで内部に素材を持ち込むってのも手だけど・・・その場合、どこに素材を置くの?って話になる」


『ああ』


うん、海流が引き続き邪魔になる訳である。勿論だが、シェルター内でやろうとしても、そんなゴーレムを中ならともかく外に出せる門と言うか出口がありません。無理だな!

つまり、現状、どうあっても、この鯨は無視するしかない。と言うか、倒す必要がない。しかし、ダンジョンの道程のショートカットを行うには倒すしかない。なんていやらしい配置だ。


「ぶっちゃけた話、どんな手段用いてもショートカットは無理と言う話です」


勿論だが、この後、エリカさんに伝え、最終的にどうするかは探索者次第となった。まあ、転生者辺りが無茶するかもだが、完全に自己責任である。故に、地球における損害賠償その他の講義を開催するように言っておいた。まあ、念の為、ね?

後日、早速役に立ったらしいと聞いたのは言うまでない。おぉ、もう・・・・・・

正直、鯨のモンスターってリアル海中ダンジョンで一番出会いたくないモンスターですよね。更に、思わぬ無敵シェルターの天敵でもありましたと言うお話。進んでいたらヤバかったかもしれないですね。


現ステータス


NAME


シロウ・カミヤ



SKILL


安全シェルター LV 6


健康的な体 LV MAX


投石 LV 1


鑑定 LV MAX


鍛冶 LV 5

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