38話 商業都市の出発と学術都市の到着
25000PV超えました、ありがとうございます。今年最後の投下です。どうぞ!
「お世話になりました」
「いいえ、こちらこそ、本当にお世話になりました」
あれから、3月に入り、春の様相を見せた今日。いよいよ、旅立ちの日が来た。ドラムさんに見送られ、いよいよ、最難関?とも言える学術都市に行く事にした。夜の成果は、うん、セーフでした、うん・・・
まあ、学術都市自体は必ず行かねばならない訳ではないが、色んな資料があるっていうし、行った方が良いんだよなあ・・・多分。
「本当に、リトルグランに関してお役に立てれば良かったんですが・・・」
ドラムさんの言う通り、商業都市では残念ながら、リトルグランでのコネは見つけられなかった。いや、正確には商人達にコネはあるが、自分達に紹介出来る強力なコネが無かったというべきか。
向こうに船持ち商人も居る事は居るが、船に入れてくれとは言えない商売ばかりだったからなあ。そら、商売の種に、何の貸し借りもない人間入れるのは難しいよねってなるよな。
「まあ、しかたありませんよ。流石にタダで乗せてくれってのは駄目でしょうしね」
レインさんの言う通りである。となると、そういうコネの面では同乗出来そうなコネが多いであろう学術都市、もしくはリトルグランで探そうとなった訳である。
「ディートは私もレイン姉もあまり用が無い都市ですからね、コネは新しく作るしかありませんね」
リィルさんの言う通り、コネがゼロのまま向かうのは珍しい。とは言え、普通はこうだからな、頑張ろう。
「では、こちらを。皆さんには本当にお世話になったので、向こうの配送ギルドへの紹介状をしたためておきました」
「ありがとうございます、助かります!」
ドラムさんが出してくれた紹介状をシェルターの窓から受け取る。一応、ザナからの届け物もあるが、これは助かる。
「では、御武運を」
「はい、ドラムさんもお元気で!」
そうして、自分達は次の都市である学術都市ディートを目指すのだった。
「あの・・・・・・」
その道中で自分、リンさん、オウカさんは多分同じ心境で、こちらの世界の人間であるレインさんとリィルさんも困惑している。
「その、なんていうか・・・」
『ええ』
全員の心が今一致した。
『通りかかる人少なっ!!!』
いや、正確には商人、おそらく食料系を運んでいる人や消耗品を運んでいる人は居るのだが、そのなんていうか、観光目的っぽい馬車が非常に少なく、道がこうスッカスカと言えば良いのか、本当に広く感じる。
「じょ、情報が気楽に聞けない・・・」
商人さんはこう、さっさと行ってさっさと戻りたいっていう気がヒシヒシ伝わるし、学術都市の学生や関係者の馬車もシパーッ!という感じで速いので止めるのも憚られる。
「噂に聞いてはいましたが、凄いですね・・・」
レインさんの言葉に頷くしかない自分と女性陣。こうなると、向こうまで情報は得られそう無いな・・・
「・・・・・・・・・」
で、現在、学術都市の検問な訳でが、自分も受付さんもでかい汗マークが流れてるだろう。あのね・・・こう、衛兵に守られてて、門から少し行ったとこまで送ってもらってるんだけど・・・
周りの視線が怖い。男も女も老人も息が荒いし、好奇心の視線だらけだ。今、飛び掛かられてないのは衛兵が居るからであっても奇跡じゃないかな?
「あの、身分は保証されたと思うので、失礼します」
「アッ、ハイ。どうぞ、学術都市をお楽しみください」
と、衛兵も流石に常時とは言えないので、衛兵が離れ、都市に一歩踏み込むと同時に脱兎の如く駆け出す。後ろから多種多様な人が走ってきてるのが見えるので曲がり角でマントを発動し、更にその状態でシェルターに入る。
更に窓から通販で買った駄菓子屋でよく見た煙玉を何個か投擲し、煙が晴れない内に車形態になったシェルターで配送ギルドまで一直線向かう。
「なんでじゃああああああああい!」
そうシェルター内で絶叫しながら、事前渡された学術都市マップを頼りに配送ギルドに駆け込み、いや、滑り込むのだった。怖ェえよ、自称学術都市一般人の集団。
「あ~、その、なんていうか、お疲れさまでした」
ディートの配送ギルドマスターであるエルフの男性のラークさんの労いが沁みるわ、ホント。
「どうもです。まあ、なんとなく覚悟はしてたんですけど、ダンジョン以上の恐怖感じるとは思いませんでした・・・」
「まあ、こちらの紹介状から見ても珍しすぎるスキルですからねえ・・・・・・」
「受付空いてなかったら、身の危険すら感じましたよ」
流石にギルドハウスでまで、そういう、なんていうかマッドサイエンティスト気質で突入はされなかったものの、今か今かと入り口で待ち構えてる、都市的には一般人が居るのは怖い、うん。
ギルドの警備員も流石に犯罪してない連中を散らす事は出来ず、手の出しようもないと来た。別の意味で怖い都市だな、ここ?!ついでに万が一も考えて、ラークさんをシェルターに招き入れている。多分、普通の結界張ってても、ここの都市の特色もあるから、ねえ?
「流石に王剣証を持ってる所持者の持ち物を分解しようとする奴は居ないかな? 多分?」
この都市でおそらく長いであろう、ラークさんでもこの有様である。断言して欲しいが、実物見た以上は断言出来ない理由も分かるのが酷い。
しかも、害意がある訳では無い知的好奇心からだから余計にタチ悪い。
「こうなると、別の意味で宿やギルド敷地内の裏庭も危険・・・・・・かな?」
「ですね。なので、私の権限で、この個室での逗留を許可します」
ああ、それは助かる。要するにギルドが守ってますよというアピールだ。ついでに言うと、個室は余程の事が無ければ入れないし、受付裏の階段を通らないと行けない為、ここに潜入=国家権力への喧嘩売りだ。
これで、ギルド内での移動は何とかなる・・・・・・と思う。断言できないのが悲しいとこだ。
「このぐらいしか出来なくてすまないね」
あ~、はい。胃が痛いでしょうけど、ぜひ頑張っていただきたい、うん。
少し、早いですが商業都市から、学術都市は一気に到着。勿論、都市の間で採集などしてはいますが、人居ないですからね。早々イベント等ありませんよ。これが今年最後の投稿です。メリークリスマス&来年度も安全シェルターをよろしくお願いします。
現ステータス
NAME
シロウ・カミヤ
SKILL
安全シェルター LV 5
健康的な体 LV MAX
投石 LV 1
鑑定 LV MAX
鍛冶 LV 5