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35話 お米と新ポーション(封印)

「マジか」


「女神様から日本とそう変わらないとは聞いてはいましたけど・・・」


「いざ、見るとびっくりするな」


順に、自分、リンさん、オウカさんだ。と言うのも、目の前にある仕入れた物には驚きしかない。



異世界の稲穂:一定の基準を満たした水田でその実を開く。等級:C



要するにお米の元のアレである。説明が相変わらずアレだが、レインさんに聞いた所、日本の水田ほど几帳面にやる必要はないが、それでも、一定の基準と言うのが難しいらしく、本当に一部でしか購入はされない代物らしい。

ちなみに、1束で10本入りで鉄20と中々のお値段でもある。ただ、米自体も人気あるらしく、うまく育てれば金貨が見えるので、結構挑戦する農家は多いらしい。勿論、当たりを引けるのはしっかり管理出来る農家に限るが付くが。


「しかし、水田か、かなり難しいのな」


通販で買った農業についての本を皆で見ながら、一先ずの感想を言う。いや、これ知ったら、農家さんにはマジで感謝しかないよな。


「水田の作り方はかなり特殊ですからね。ただ、シェルター内の農地って、農業神様の加護を得てるんですよね?」


「うん、そうなんだけどね?実は・・・」


自分は向こうの狭間の世界と呼べばいいのか、神様達と相談していた時を思い出し、農業を司る神様との会話を語る。


『農業に関してだがなあ、農作業用ドローンが少なくとも2機以上になるまでは米は止めとけ。もしくはそんなに数作るな』


『と言うと?』


『俺の加護を受けた農地は虫の被害や塩害、水害、日照りとかの心配はねえし、放置しても育ちはする。だが、米は別だ』


『まあ、水田ですしね』


『そっちは問題ねえ。稲さえあれば、水田の項目が出て、使える状態の水田が出てくる』


『ん?では、問題ないのでは?』


『そこだ。問題がなさすぎるんだよ』


『はい?』


『稲があれば出来る。しかし、害がなさすぎるのが問題だ』


『あ・・・』


『気づいたみたいだな。つまりだ・・・』


と、ここまでが回想で、つまりどういうことかと言うと・・・


「つまり、災害や病気に強い品種が全く作れないので、1日中体制で監視が必要ですっていうね」


『ああ~』


要するに、お米は作れるけど、次の稲を作るための種子が無事作れるのか?とか、外で植えるのとこれは同じか?等の問題が出てくるのだ。

更に言えば、安全に作れる故に見守り続けなければ、いつ収穫時かも分かり難いという事もある。


「水清ければ魚住まずですか」


「そういう事。とはいえ、うちで一度育てておくのも悪くないかもね」


リンさんの言う通り、綺麗な所が全てが良いとも限らない一例だが、この一束分を育てるぐらいは良いだろう。ステータス画面を開き、農場に水田を狭い範囲で作り、それを植える苗をドローンに渡す。


「うん。これでOK。後はコレだな」


冷蔵庫からラベルを張ったポーションを取り出す。そう、この世界に来た頃に作ったアレである。


「うん、両方同時に腐ったか」


「長持ちは確定ですね。普通のポーションは1週間でギリギリですから」


レインさんが言うには、ダンジョンに潜る時はポーション用のマジックバッグは必須と中衛に持ち主を置いて必ず守らねばならないらしい。その為、ダンジョン探索を主とするクランは少ないとの事だ。とは言えなあ・・・


「流石に市場には回せないな」


リィルさんの言う通り、こいつには大問題がある。まあ、異世界の飲み物と合わせました~!なんて言える訳がないからね、仕方ないね。


「ですが、あると便利ですね。この世界でも炭酸水はありますが、安定してあのように甘い炭酸水が作れるかというと・・・」


そう、レインさんの言うようにアルコール、すなわちワインやビールがある。つまりこちらの世界でも炭酸系の飲み物はある。だが、炭酸水になると話が別だ。

確かに炭酸水なのだが、甘くはない。どちらかというとお酒やジュースを割る為の炭酸水だ。王都を結構探したが、甘い系は絶無と言うほど無かった。


「あ、でも、あの方法なら作れるんじゃないでしょうか?」


そうして悩んでいると、リンさんがポンと手を叩く。おぉ、我等が料理知識チート。どうするんだろう?


「名づけるとしたら、リンゴで炭酸水です♪」


はい、可愛い。って、あ、そうか、その方法があったか!



あれから1週間と少し、机の上には密閉容器にリンゴと水が入っている。それを少し振るとシュワワワワと泡が立ち、他の3人がおぉ!となる。


「お見事です。リンさん。流石は料理人です」


「カミヤさんもこの方法知ってたんですね。私はおばあちゃんに教えて貰ったんですけど」


「自分もだね。昔の人は本当に知識が凄いよな」


コレは正確には炭酸水ではなく、リンゴのサイダーと名付けるべきではあるが、甘いという条件を満たし、この世界でも作れるならコレしかないだろう。

2~3日冷蔵庫で冷やすのは魔法の道具で代用できるし、後は常温の所で保存し、時々振れば完成する。密閉容器についても、構造さえ分かればそれほど難しくはないだろう。


「で、これを、新ポーション作成の工程で混ぜ合わせれば・・・・・・」



ポーション:飲み用。苦み、のど越しを改善し、甘くした炭酸ポーション。風邪レベルの病気も瞬時に完治し、怪我の治癒スピードを2倍以上に上げる。ただし、多少むせやすい。等級:A



「は?」


『は?』


ファッ?!下級ポーションであるとはいえ、Aランクポーション出来ちゃったよ?!なんで?!あっ!


「そうか、リンさんの料理レベル!」


『あっ!』


異世界の炭酸水相手とは言え、リンさんの料理レベルはガンガン上がり、MAXに近い。もはや、地球産の炭酸水など手作り且つ作り方がアレでも相手にすらならないだろう。

そこに元々の等級がBの炭酸ポーションだったなら、そらAランクのポーション完成するよなと言うお話である。オウフ。


「で、これは・・・・・・?」


『封印ですね』


デスヨネー。そりゃ、満場一致でそうなりますよね。価値とかそういうの以前に市場に出したら大混乱だよ、こんなの。

お米は何の害も無いと本当に弱い品種になったりしますからね。一応は農業神の加護有りますけど、お米はそれぐらい難しいもんです。そして、ポーションは勿論、封印。いずれかは活躍の場がある!・・・・・・といいなあ


現ステータス


NAME


シロウ・カミヤ



SKILL


安全シェルター LV 5


健康的な体 LV MAX


投石 LV 1


鑑定 LV MAX


鍛冶 LV 5

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