34話 商業都市への到着と事件
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「こりゃまた、王都とは別の意味で凄いな」
毎度の事ながら、シェルターを肩ポーチに入れ、更に盗まれぬようにマントを被り、門での受付を済ませる。
そうして、まずは配送ギルドに向かってるわけだが、うん。素人と思ってるんだろうけど、隠す気あるかね、チミ達?門から尾行する気配がいくつも分かる。魔法使わんでも分かる。視線集中させすぎぃ!なので・・・
「本当に役に立つ瞬間が来るとはなあ」
そうして、自分は全ての人間を撒き、配送ギルドに辿り着いた。まあ、もう分るよね?そう、例の姿隠しのマントである。うん、取っておくもんだね。
「ご無事でしたか」
配送ギルドに入ると、すぐにマスター室に通された。ここのギルドマスターは若いヒューマンのように見えるが、肌が鱗の部分があるハーフドラゴニュートの男性であった。
「ええ、偶然とはいえ、良いアイテムがあったので、ところで、アレ等は?」
「噂を聞いた商人達に雇われた者や商人でしょう」
ああ、やっぱり。自分は勿論、肩ポーチにも視線集中してたもんな。はあ、ここでも色々トラブルある予感するなあ。
「今、各方面に貴殿が王剣証を所持している事を通知はしてはいるが・・・」
「商業の街ですからねえ」
うん、分かる。分かるぞ。これぞ商機!とか思ってる奴らがわんさか居るという事が!
「ランベルはある意味で王都とは違う価値観がありますからね。大半は落ち着くとは思いますが・・・」
万が一も考え、通されたマスター室内で発動したシェルターの応接間で一応の依頼である手紙を受け取りつつ、渋面を作るギルドマスターのドラムさん。まあ、苦労してんだろうな。配送と商売は表裏一体レベルで色々あるだろうし。
「一部は非合法な手段をとる恐れがある?」
こくりと彼が頷く。まあ、あからさまにはしないだろうが、外にはしばらくは出れんな。
「商業都市は商人ギルドと商業ギルドによって大きくなった都市なのですが、特に、商業ギルドの影響が大きく、また、今回のような事も・・・」
「揉み消してしまう?」
「その通りです。一応都市にある各ギルドも奮闘しておりますが・・・」
「商業都市を握るギルドに対しては大きく出れない。なるほど、報告が中々上がらないはずです。こうしてシェルターで面会していなければ、ギルド室は盗聴された可能性もあるでしょう」
はぁとレインさんが溜息を吐く。そりゃ、思わぬ所で商業都市における悪行を知ってしまったからな。無理もない。金があれば何でも出来る、高位魔法使いだって雇えるだろうしね。
下手をすると、結界の魔道具などをメンテする魔法使いも買収されてるかもしれない。スパイもそれ以上のスパイにより諜報失敗しているかもしれない。そりゃ、簡単に王都に報告上がらないわな。
「となると、ギルド敷地内も危険だな。宿も危険とみた」
「ですね。都市の外までは追いかけてこないとは思いますが・・・」
ふむ。確かに、このシェルターなら都市の外でも過ごせる。しかし、アレだね、自分も男だ。逃げ回るだけは性に合わない。アイデアはある。いくつか確認せねばいけないことがあるので、ドラムさんと向かい合う。
「いくつか聞きたいんですが、まずはこの都市に居る領主・兵士は懐柔されてますか?」
「いいえ。領主も頑張っておられますし、兵士は主に王都からの派遣なので、懐柔を受けた場合は極刑ですからね」
ふむふむ。懸念が一つ消えた。次に行こう。
「奴等の今までの方法は傭兵による拉致、金による懐柔・脅迫ですね?」
「ええ。しかし、証拠がありませんので、どうにも出来ないのです」
よし、行ける。というか、また面白大賞みたいな映像取れそうなんで、宝珠買っておこう。
「ドラムさん。解決の為にいくつかお願いしたいことがあるんですが?」
「拝聴しましょう」
「う~ん、大漁ですね」
リィルさんが笑いをこらえつつ言う。他の3人はすでに大爆笑中である。
「いやあ、なんて言うか、ここまで上手くいくとはね」
あれから、自分達がした事はまず、シェルターでの散策のために、この車形態を周知すること。これはドラムさんを介して、領主様からあらゆる所に伝えてもらった。これで街の中ではシェルターで行動出来る為、自分や4人の女性が拉致される事はなくなる。
次に、自由市で受付近くの場所で車形態のまま商売をする。そして、それ以外の時は配送ギルド敷地内でシェルターを置き、引き籠る。これだけである。
「しかし、オウカさんの品を売るだけで釣れるものですね」
「そりゃ、真似出来ない代物だからね、だからこそ、策に嵌ったとも言えますけど」
そう、リンさんが言うように市で売ったのは例のフィギュアだ。時間はかかるから、今回は馬のフィギュアを量産する。とはいっても、1日1個限定だ。だが、それだけでも、商人はフィッシュ!出来る。また、偽造は許されない。なぜなら、王都、しかも王城に同じフィギュアを買った人間が居るからだ。買った人は勿論、お察しの通りあの近衛騎士団長である。
「じゃあ、どうするか?金での勧誘、外に出た関係者を誘拐は不可能となれば、シェルターごとの拉致しかない」
で、勿論だが、出来るわけがない。戦士にバフかけても持ち上げられないようにする事が出来るしね。で、更にここからがドラムさんに頼んだ点、見回りの強化・増加である。主にギルド敷地内の裏道が見える、すなわち、シェルターを置いてる裏庭が見える所。
「うっくくく!!!も、持ち上げれない、傭兵が次々逮捕・・・・・・ぶほっ!」
ついに爆笑になったオウカさんの言う通り、まず、市場では下手な事が出来ない。また市場とギルドは近い為、拉致するチャンスは深夜のギルド敷地内の裏庭という事になる。
そして、勿論、そんな事は分かりきってるんだから、やってくる商業ギルドに雇われた傭兵や冒険者達。そして、見回り兵がシェルターを持っていこうとして、あまりの重さに動けない雇われ者を次々御用。
「そうして、次々逮捕される傭兵や冒険者。そうなると・・・」
「傭兵も雇われようと思わないし、盗賊ギルドは王剣証持ちと事を構えたくない。雇える人間は徐々に減る。釈放しようにも保釈金は馬鹿にならないし、同じ人間は使えない」
レインさんの言う通り、人材は徐々に減っていくが、自分のとこの人間は使えない。なぜなら、うちがやりました!と声高に宣言するようなものであるからだ。
「では、最後の手段は?」
「お金ですね」
オウカさんの言う通り、お金で懐柔しようとしたのだろう、市の帰りにそういう声がかかってきた。勿論、無視した。ついでに、日中もやって来たが、自分達が商売するのは市の受付近くなので通報されてた。勿論、自分達の狙い通りである。そうすると、次は商業ギルドに呼び出され、同じ話をされる。それを、宝珠で録画しておき、断る。
目論見通りである。むろん、逆上して襲い掛かってきたが、無視というか、じっと待つだけでいい。物理的な攻撃してくる奴はシェルターに当てるだけで勝手に骨折れるし、遠距離武器や魔法は通じないので、攻撃の余波で屋敷内が壊れるので、いずれやらなくなる。
「そして、無視し続ければ、分かりやすい呼び出しからの暴力による脅迫も無視し続ける。当然、街中では魔法は禁止だし、武器による暴力は禁じられているから」
「まさか、敵も攻撃中に優雅にご飯食べてたなんて思わないだろうね」
リィルさんの言葉への返答にブッと全員で笑う。攻撃は受け続ければいい。そうすれば、不審な光や騒動・騒音が大きくなる毎に見回り兵の介入理由になる。
そうして、商業ギルドにとある善意ある市民の通報を元に兵士が突入。兵士が見たシーンは噂の王剣証持ちのシェルターに危害を加えるシーンである。そこからは逮捕、逮捕の嵐である。保釈金を払い、出れたとしても、また同じ事をすれば、分かるね?である。何せ、王剣証持ちを襲った上に、その映像は勿論、顔もばっちり撮れてるからね。更にここから・・・
「まあ、あんな事があったし、マシになるだろう」
「まさかの・・・とは言えませんね。あり得た事件でしたし」
レインさんも苦笑するその事件とは。王の来訪というか、王本人による裁判である。従来はその都市の裁判長・裁判員が行うのだが、ただ一つだけ例外がある。
王が来訪した場合は裁判を行う場合、王による裁判を行うという事である。
「すっげえガチギレだったらしいですね」
「それはねえ。王剣証を持った人間を囲い込む手段に権力・暴力を使おうとしましたからね。発覚すれば、実質、王をぶん殴った上で脅迫したようなものですからね」
実際聞くと、そりゃ仕方ないわってなるよな。そういえば、コレの説明に疑った者はギルドマスターすら逮捕って言われてたからなあ。
ちなみに、裁判は裁判所で行われる為、人伝手に聞いた話ではあるのだが、勿論、判決は極刑。商業ギルドは国預かりとなり、新しいギルドマスターの選別も始まっているらしい。ちなみに、明るみに出た悪事は10や20では利かないほどで、中には禁止されている取引等もあり、それの隠匿にも関わっていたとあっては王様の怒りは更にドン!であったそうだ。
「商業ギルドマスターの実刑に至っては王自らが剣を振って斬首したらしいからね、怒りの程が知れるよ」
そら甘い蜜吸ってた権化が断罪!されない訳無いよなあ。ま、とりあえず、これで心配は減った訳だ。
「んじゃ、まあ、保証された安全の元に資金稼ぎさせてもらおうかな。後、街の散策」
『賛成!』
シェルター内を更に充実させる意味でも、過去は忘れて、サクサクやりたい事やらせてもらおうかね。
商業ギルドがごまかしていた件は色々ありますが、自分らの不利にならない程度はちゃんと税金とか納めていましたが、今回の件、しかも、ギルドが困る案件を解決した上に王剣証を持つ人物に脅迫暴力を晒していたら、そら、王様自ら来て断罪しますよって話になります、うん。
現ステータス
NAME
シロウ・カミヤ
SKILL
安全シェルター LV 5
健康的な体 LV MAX
投石 LV 1
鑑定 LV MAX
鍛冶 LV 5