29話 ちょっとしたシェルター防衛力強化の話
「う~む」
あれから数日、自分達は再びダンジョンに挑んでいた。というか、ダンジョン内で実験をしていた。
「コレはまた、色々考えられますね」
シェルターを一旦ダンジョン外に出し、リンさんの作ってくれた昼食を食べながら、リィルさんとレインさんと相談する。
「私が使える弓と剣は、弓はまあ使える、剣は駄目だな」
リィルさんの言う通り、剣はホントに近くまで寄ってこないと使えたもんではなかった。こう、イメージとしてはシェルターから剣先だけがにゅっと出る、アレだ、ウニみたいな感じ?まあ、リーチ的に無理もないんだけどね。
剣を出したまま体当たりも考えたが、衝撃で腕も武器も折れかねない気がするので、提案してないし、リィルさん本人も分かっているようだ。
「私が使える弓と槍は両方有用ですかね?」
レインさんが使う槍は近接に関してはほぼ無敵と言っても良い。中庭から攻撃すればほぼ全方位に向けて攻撃できる。ちなみに弓はもう有用と分かってるので省略だ。中庭から撃つもよし、窓から撃つもよし、万能すぎるわ。
「魔法は基本バインド系が良いかもしれませんね」
リンさんがそう言いながら、食後の紅茶を持ってきてくれる。うむ、落ち着く。バインド系の良い所は範囲が広い、視界に居れば止められる点だ。また、麻痺とは違い、魔法により縛るので状態異常ではない為、様々な敵に通るのが良い。
例え抵抗されても、一瞬だけ敵が硬直するというのも良い点だろう。どれだけ抵抗力や筋力が高くても通じるというのが更に良い。
「斧とメイスは駄目だったな、投げる消耗品扱いなら良いけど・・・」
「先の方だけがニュッと出て、モンスター達もビクリ!としていましたからね、ククッ!」
いや、アレは外用の医療用ドローンの目から見てシュールだった。シェルターよりでかい斧の先がニュッと出て、メイスに至っては先の部分がニョキッ!と出て、もうレインさんが思い出し笑いするほどシュールであった、うん。
「意外だったのは格闘でしたね」
そう、所謂、格闘用手甲や爪を付けての打撃の場合、シェルターの窓の構成上キックは無理だが、パンチの場合、1メートル範囲内に見えない打撃が発生していた。
敵も何が起きたか分からず、そのまま殴られていた。流石に全員専門ではないがマスターであったレインさんの打撃はオークの顔が見せられないよ!な顔になっていた。意外とマスター時代の鬱憤を・・・・・・イエ、ナンデモアリマセン。
「とりあえず、結果として、基本的には弓。近接時は槍と手甲付けた打撃でいいですね」
「「「賛成」」」
さて、そうなると少し欲しい物が出てくる。こういう時は・・・
「で、うちって訳かい」
武装と言えば、ロンさんの鍛冶ギルドに相談である。
「ふむ、確かにそういう風に使う気なら、アレは役に立つかもしれねえな。ちぃと待ってろ、持ってくる」
そう言うと、ロンさんは扉から出ていき、奥の部屋の方からそれを数人使って持ってきてくれる。
「待たせたな、こいつが注文の品に近いバリスタだ」
バリスタ、要するに大型の射出兵器と言えば大砲除けばコレを指す人が多いだろう。中世の城などによくある備え付け型の大型のボウガンである。
「いくらになります?」
「いや、金は要らねえな。元々王都に搬入したバリスタのテスト用がこれでな。処分したいが、どう処分したものやらで埃被ってたんだ。そうさな、メンテナンス込みで金1でどうだ?」
「買った!」
即金で購入の意欲を示す。ついでに角度を向けるバネの状態などを見るが問題なしなので、むしろ、金1は安いかもしれないと思った。
「そういや、ちょい、少し前にあった自由市で変わったもん手に入れたぞ」
お金を確認したロンさんは運ばれたバリスタを弟子達に工房方面に持って行かせ、調整を命じると思い出したようにこう言った。
「こいつだ」
あれ?これって・・・・・・?
見えないパンチはこう、波動拳みたいなイメージですね。こちらは殴ってる感触ありますけど、相手は空気の塊で殴られてるイメージです。
現ステータス
NAME
シロウ・カミヤ
SKILL
安全シェルター LV 4
健康的な体 LV MAX
投石 LV 1
鑑定 LV MAX
鍛冶 LV 5