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20話 実はとんでもないダンジョンドロップ武器

10000PV超えました、ありがとうございます!

「マジですか?」


「だって、その証拠を提出してますし?」


翌日、その成果をいつもの防音室で見せに行った上で説明もした後の第一声がこちらである。うん、まあ、気持ちは分かる。

だって、こんなのを捨て値でほとんどの市場で売っていたから無理もないという奴だ。それは、こちら。



熟練のグリップ:かっては使い手が居た短剣のグリップ。その使い勝手は熟練の名の通り、手に馴染むであろう。等級:B


上質な銅板:質が良い銅を溶かして出来た板。柔らかいながらも硬いので様々な物を作る事が出来る。オリジナルレシピ。等級:A


上質な鉄板:質が良い鉄を溶かして出来た板。硬いが様々な物に作り替える事が出来る。。オリジナルレシピ。等級:A



「おぉ、もう」


うん、頭抱えてる。めっちゃ抱えてる。そりゃそうだ。まさか、ダンジョン産のドロップ武器からこんなん取れるなんて思わないし、元の鑑定結果も・・・



歪な銅の短剣:壊れかけの銅の短剣。少しでも無理すれば壊れてしまうだろう。等級:G


歪な鉄の短剣:壊れかけの鉄の短剣。少しでも無理すれば壊れてしまうだろう。等級:G



ランクがF以下のもはやゴミの中のゴミと言われるGランクだから、誰も試さなかったし、捨てたり、武器に困ってる冒険者に押し付けたりしたんだろう。その押し付けられ先もボッロボロの武器からこんなん取れるなんて思いもしないだろう。

で、そんな武器からまさかの大改造クラスのアフター素材が出てきたら、そら、頭抱えますって話ですよね。


「どういう事なんです、これ?」


「説明した事項を考えた上で、自分の予想ですけど」


「拝聴しましょう」


「ダンジョンは魔物が住みます。冒険者の強さ関わらず、魔物が必ずザコとは限りません。また、ザコがいつまでもザコという認識はよほど慢心した奴以外は居ないはずです」


「ですね」


「また、ダンジョンには罠があります。それで命を落としたとしても想像は難くない」


ここまで言えば、配送ギルドと言えども、ギルドマスターであるレインさんも気づいたようだ。


「モンスターの攻撃や罠で死亡した冒険者の捜索過程で、依頼された冒険者が武器や防具を持ち帰るという事例は少ない。何故か?」


「それよりも()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ですね」


そう、持ち帰るとすればそちらだ。遺体の場合は防具も持ち帰るだろうが、武器はほぼ回収されないだろう。大抵壊れてるだろうし、あるいは見つからなかったりね。防具も欠損状態が多いんじゃないだろうか?

そうして残された武器防具を素人の物、熟練者の物関わらず、ダンジョンはゴミに認識し、同時にリサイクル品として出す。こんな感じだろうか?


「あえて、お金に関しては触れない方が良いかと」


「そうします」


まあ、武器防具に関してはそういう事で考えると、ダンジョンにてドロップするお金に関してはその、レインさんの目が虚ろになりつつある事でお察し頂きたい。やめろ、聞くな、触るな!である。でも、報告書作らなければいけないんだろうな、南無。


「で、どうします、これ?」


「そうですね、少し話し合いが必要ですが、おそらく可決するものと考え、カミヤさん、貴方に依頼があります」


「はい?」




「あ~、なるほど、こういう完成を見越したのか。流石だな」


目の前には一本のショートソードがある。一見は普通のショートソードなのだが、鑑定結果がこちら!



熟練の銅のショートソード:手に馴染み、切れ味も通常の物を上回るハンドメイドショートソード。オリジナルレシピ。等級:C



材料は熟練のグリップはレインさんが用意してくれたショートソードの物。それと上質な銅板数枚を使ったインゴットから出来た刃。これ等を使い完成したのがコレという訳である。

が、ランクについては低くなってしまった。この辺り、鍛冶レベルが低いからか、鍛冶セットが初心者のままだからだろう。だが・・・・・・


「予想、いや予定通りの結果とも言えるな」


そりゃそうだ、鍛冶レベルもコツコツ上がっているとは言え、自分は鍛冶を極めてすらいない。言うなればひよっこだ。が、この結果は最良とも言えるのだ。さて、配送ギルドに行こうかな。


「お待ちしておりました」


手続きを終えると、レインさんはすぐに降りてきた。後、またあいつかとか聞こえるけど無視。だが、そのざわめきはレインさんに続いて降りて来た二人を見て更に大きくなる。


「噂は聞いておるぞ、カミヤ殿。王都鍛冶ギルドマスターのロンである」


「初めまして、いえ、顔を合わせるのは2度目ですが、名乗る事に関しては初めましてですね。グラン近衛兵長、グリムと申します」


オウフ、超大物2名。鍛冶ギルドマスターは男のドワーフ、近衛兵長を名乗る騎士は門で会った騎士の男性。ざわめきが多くなる中、騎士に厳重に守られた部屋へ。

鑑定すると、防音、警報、魔法遮断の結界まで張ってあった。流石に今回もシェルター内でという訳にもいかんしね。


「では、カミヤさん」


「はい。鑑定も一緒にどうぞ」


レインさんに促され、例のショートソードを出す。更に、作る際に使用した素材も一緒に出しておく。あ、レインさん以外の2人が硬直した。


「ララララ、ランクAの銅と鉄素材じゃと?!」


「しかも、オリジナルレシピ?!」


まあ、そこら辺は驚くよね。でも、冷静に経緯を考えるとそれほど珍しくない物になるんだよな、コレ。事実、経緯を説明していく内に2人は冷静さを取り戻した。


「なるほどのう、盲点、いや、盲点過ぎたわい、のう?グリム殿?」


「ええ。ダンジョンのドロップはダンジョン特有と考えていた。いえ、考えすぎたが故の視野の狭さですか」


まあ、そりゃそうである。視点を変えれば、ゴミに注目しろと言うようなもんだ。しかも、どう見ても戦闘数回で壊れるような鑑定結果である。

誰だって、こりゃ役に立たんなと刃部分が折れたり無くなったりしたら捨てるし、使えるとしても歪な刃の武器なんて注目もせんわな。


「しかし、Aランク素材で何故等級が落ちているのでしょう?」


うん、聞かれると思ってた。コレは簡単だ。


「ちょっと見て貰えますか?」


そう言って、作ったショートソ-ドを解体していく。そうして刃部分、グリップ部分と離れた物を置く。そうすると鑑定結果が…



熟練のグリップ:かっては使い手が居た剣のグリップ。その使い勝手は熟練の名の通り、手に馴染むであろう。等級:B


銅のショート刃:質が良い銅を溶かして出来た刃。しかし、打ち手の腕が未熟な為、等級は大幅落ちている。オリジナルレシピ。等級:D



「こ、これは・・・」


ロンさんが刃の方を取り、難しい顔をする。そりゃ、そうなるよね。Cランク言えば安くても鉄貨が視野に入る世界だ。分解するとこうなるのは驚きしかないだろう。


「これを見て分かると思いますけど、柄が品質を上げているんですね」


「待ってください、それなら、元になるダンジョン産の武器の品質がGなのはおかしくありませんか?少なくとも、G以上はあるのでは?」


そうだ。普通ならそうなる、しかし、そうなってしまう理由を自分は予測出来ている。


「これは予測になりますが、レインさんと相談の上で高確率でそうであるとなった事なのですが、おそらく欠損している、交じりあっているが原因ではないかと」


欠損、交じり合いは金属が脆くなる元だ。まして、武器として、または芸術品として鑑定されたなら、そりゃ、ゴミ評価という事だ。

すると、ロンさんがどんどん微妙な顔になっていく。あ、気が付いたかな?


「て、つまり、カミヤ殿よォ、こいつァ・・・」


「どうされたのです、ロン殿?」


「簡単じゃよ、グリム殿。こいつは広めるにはデメリットがでかすぎる。同時にメリットもでけえけどな」


そう、このグリップは見ての通りDランクの刃をCに押し上げる力はある。だが、逆に言えば、鑑定をごまかせる能力がある。これは厄介だ。

事実、同じ説明を受けたであろうグリムさんが非常に難しい顔をしている。やり方次第では武器による詐欺が横行する恐れがあるから無理もない。


「なるほど、有用であると同時に扱いも難しくありますね」


どういう事かと言うと、コレが広まると例えば、見習いの刃をつけた低ランク刃にグリップをつけただけの粗悪な武器が出回る恐れがある。いや、恐れではなく確定と言っても良いだろう。

が、同時に、この製法を使えば、腕の良い鍛冶師が国宝級の武器を作れるかもしれないのである。国としても鍛冶ギルドとしても難しい扱いとなるだろう。


「あ~、それと非常に言いにくいんですが、このグリップの事です」


コレ、滅茶苦茶言いにくいんだよなあ。でも、情報出してお金貰うかもだし、言わないといかんよな。


「うん?これか?」


ロンさんが持ち上げたグリップを見て頷く。


「ええ、それ、自分はレインさんにダンジョン産のショートソード20本用意してもらったんですけど・・・」


この20本の解体中に最も多く出たもう一本のグリップを取り出す。


「鑑定してみてください」


そう言われた二人は鑑定したのか、目を見開く。そして、こちらを見たので、自分も頷くしかない。どういう事かと言うと・・・



素人のグリップ:かっては使い手が居た短剣のグリップ。その使い勝手は未だ馴染まず。等級:F



あ~、うん。つまり、そういう事である。うん、どういう事かと言うと、コレ、要するに()()()である。素材的な意味で、刃もグリップもどんなのが当たるかは全く分からないとも言う。

あ、2人共+レインさんも頭抱えた。まあ、そうなるよね。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だからね。どう、情報を流してから、どう理由付けて買取するにせよ、悩むよな、コレ。

ちなみに、20本中に素人の柄が15本だった。つまり運が良くてもそういう事である、うん。


「つまり、完全にランダムって事ですね。自分は運がある意味良かったのではないかと」


「「「おぉ、もう・・・」」」


後日、とんでもない量のお金が秘密裏に渡されたのは言うまでもない。口止め料も入ってるんだろうな、コレ。

ダンジョンドロップ品の再利用。そら、お金沢山払って、口止めしますよねと言うお話。ダンジョンでお宝が出るって、普通はこんな感じかな?と言うお話でもあります。


現ステータス


NAME


シロウ・カミヤ



SKILL


安全シェルター LV 3


健康的な体 LV MAX


投石 LV 1


鑑定 LV MAX


鍛冶 LV 3

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