17.5話 ゴブリン退治の待機中のお話
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さて、コレは兵士達を待ってる間の出来事だ。その期間実に1週間。まあ、最寄りの宿場街まで2~3日なのだが、兵士をかき集めて、大きな街からも援軍を呼んで、準備も万端にするには期間が必要だったのだろう。
貴族達が嫌がるのは予想範囲内だったが、儲けの機会もありそうな商人達も拒否したのは意外だった。聞けば・・・
「儲けが少ないかあ」
ゴブリン素材はロード、キングクラスでもあまり利益が出ないらしい。むしろ、装備している鎧や武器の方が儲けが出るぐらいで、討伐報奨金も低いらしい。
だが、まあ、自分にとってはドラゴンより最大警戒対象だしね、仕方ないね。むしろ、この低さは新米が関わらない様にする為では?という見方まである。
「で、コレ」
自分の目の前には監視を受け持つ代わりに頂いたゴブリン達が持ってた棍棒全部。とりあえずは金になる牙や爪を剝いでいる商人達からこんなんでいいのか?と言われたが、金はあんま困ってないし。ぶっちゃけ、異世界的な知的好奇心が優先です。
で、棍棒がずらりと並んでいる中、自分の頭は?で埋め尽くされている。コレ、鑑定結果なのだが・・・
ゴブリンの棍棒:ゴブリン達が持つ棍棒。とても硬い木で出来ている。 等級:F
鑑定レべル4でもコレである。簡易すぎない?と言うか、この硬い木っての何の木?いや、素材が人気無いぐらいだから、もしかして、この棍棒ってそこら辺に打ち捨てられてたり?
う~ん、どうすればいいんだ、これ?
「とりあえず、削る、切るでお試しってとこかな?」
通販機能で彫刻刀と切れ味が良い鉈とのこぎりを買う。ついでなので、便利な日曜道具セットもお高めの奴を買っておく。
「まずは彫刻刀で・・・」
うむ、想像通り深く彫ろうとするとやばい。と言うか、刃が通らない。通るのは表面だけだ。無理。その表面もある程度削ると途中で刃が通らなくなってしまう。う~ん、硬い。
こうなると、少なくとも地球知識の木では無いね、コレ。もしかすると、ダンジョン産か特殊な加工してるのかもしれないなあ。
「んじゃ、次はのこぎりは折れそうだし、鉈かな?」
ついでに、日曜道具箱からハンマーを取り出す。薪割りの要領で割っていくが、途中で止まる。硬っ?!力入れて、ようやく進むぐらいってどんだけ?!
「おぉ、もう・・・」
正直に告白する。真っ二つにするのに休憩も入れて40分弱かかった。ついでに言えば、1本切るのに鉄製の鉈、しかも日本製を2本使いつぶした。持ち手の部分が柔らかく、殴打する部分が硬い事から、何かしらの処理が入っているのは確実だろう。固定する道具も買って、奮闘したぐらいだから、間違いない。
て言うか、コレが価値が無いとは一体?いや、むしろ、コレはある程度の価格で冒険者ギルド、あるいは武器屋が買い取っても良いぐらいだ。見た目、本当にただの木の棍棒だからだろうか?
「良く考えたら、鉄の盾と打ち合っても壊れないもんな・・・・・あれ?もしかして?」
棍棒に注意が行き過ぎてたけど、ロードの剣と鎧も謎の硬さを誇っているかもしれないって事?普通の鎧や剣とは別物だったかもって事なのか?あちゃ、鑑定だけでもしておくべきだったな。
「でも、コレ・・・」
多分、誰も気づいてないよなあ。ロードについてはロードに与えられる特別製の武器と鎧って事でスルーされてると思う。棍棒は多分、討伐後は燃やされたりしてるんだろうな。
見た感じ、処理は特殊でも木と変わらんからなあ。なお、少し後に割った棍棒を庭の炉の火入れに使ったらあっさり燃えた。この事を兵士を率いている人に伝えたら、凄い勢いで膝から崩れ落ちたのも後の話である、うん。サブ武器として優秀な物を、今まで価値が無い物として捨ててたんだろうからなあ、南無。
ゴブリンの棍棒って大抵ファンタジー漫画世界でも鉄の鎧凹ませたり、鉄の盾と互角に打ち合ったりしますからね、不思議、不思議。むしろ、サブ武器としては最適すぎるというお話です。これだけ硬いならぶん投げて脳震盪とか起こせそうですよね。
現ステータス
NAME
シロウ・カミヤ
SKILL
安全シェルター LV 3
健康的な体 LV MAX
投石 LV 1
鑑定 LV 4
鍛冶 LV 3




