外伝 終 カミヤ・シロウの場合
自分の名前は神屋 志郎。この世界に転生した転生者である。こちらに持ってきたのは安全シェルターと言う向こうで作り上げた能力といくつかの汎用スキル。コレのお陰で嫁さんを沢山持てて、子供達も沢山出来た。コレで、もう人生悔い無しで後は穏やかに第2の人生を過ごして終える。
「・・・筈だったんだよなあ」
いやね、息子達が成長して、シェルター出してるのは自分だけど、運営任せて、更に数十年、普通ならね、年老いるんですよ、自分も妻達も。そんで生涯終えると思ってたんですよ?
「歳とってねえ?!」
『え?今更?』
ちょっ!奥様方、気づいてたんすか、気づいてたんなら言ってくださいよ?!えええええ?どういう事ォ?!
「私はアストレア様に聞いた後、他の人も聞きに来たと言うので、てっきり、誰か話してるかと・・・」
「私もあまりに来ないものだから、誰かが話して解決したのかと思ってたわ」
順にリンさんが言うと妻達全員が頷き、アストレア様も続く。あ~、多人数を奥さんに持った場合のある意味の弊害か。
「それでも若い状態が続くなら気づくと思うんですけど?」
グハァッ!レインさん、ドが付くほどの正論である。そうだよ、誰かに聞けよ、過去の自分!
「そ、それはさておき、コレ、どういう事なんです?」
「あ~、皆さんにも説明しましたが、再度説明しましょう。まず、ここはカミヤさんのスキルの中です」
うん、まあ、そうね。それは当たり前なので全員が頷く。
「しかしですね、転生する前のあの時、まず神々から祝福受けましたよね?」
「え?あ、もしかして?!」
そう、思い出す。よく考えると、神々が総出で転生を見送るって祝福受けるようなもんじゃん?!気づけよ、過去の自分!
「あの時付与されたのは超絶倫の他に不老もありました。この時点では、まだそれだけです」
なるほどなるほど、人類の夢である不老不死ではないのか。そっかー・・・・・・
「不老は初耳なのですが?!」
自分ビックリ、奥様方もビックリである。ちなみに超絶倫については何となくそうじゃないかなと思っていたらしい、解せぬ・・・
「そりゃ、あんなに一杯チートあるのにほぼ取らなかったら、そういう祝福を与えてもおかしくないと思いません?」
そうかな?そうかも・・・・・・
「で、次に計画が一気に進んだお手柄ですね。この時点で最高神様と悪魔神様により、シェルターは神域に認定された訳です」
「神域?」
天国とかそういうのじゃないよね、どういう事だろ?
「そうですね、日本で分かり易く言うなら高天原や黄泉平坂のような場所でしょうか?この二つ、天国であり地獄でもありますが、そう呼ばれませんよね?何故だと思います?」
確かにこの2つは伝承でもそういう場所なのに天国、地獄と言われない、なんでだ?
「あ、もしかして、主が居る世界だからそのままの意味?」
「はい、メイさんの言う通りです。例えば高天原なら前世の私、天照大神が居る領域となります」
ああ、そういう事ね。
「つまり、この場合、更なる神の祝福を受けた自分の領域って事に?」
「ですね。そこまでなら、神域の主が私達いずれかの子供に継承されて、輪廻転生の元へ・・・だったんですが。私と結婚しましたよね?」
「あっ!」
アストレア様の返答にこういう事に強いメイさんが声を上げる。
「神域にて、神を娶ったという事ですね!」
「あっ!」
あああああああ!そういう事か!人間が神になったと言う伝承は多く聞く。そして、その中でも神々に【祝福】され、最高神どころか悪魔の最高神にも【祝福】されて、公然の秘密ではあるが、2人の【娘】も同然の女神を自分の神域となる場所で【娶った】人間。しかも、神域にて女神を妻にしたら、そら、世界も神域に住まう神様認定しますわ。そら、歳取らないはずだわ・・・
「子供達とは別の時間を歩んでしまうのか」
「いえ、そうはなりませんよ?」
「え?」
「え?」
思わずアストレア様と見つめ合う。え?こういうのって子供達との別離がお約束と思ってたんだけど?
「え?ああ、なるほど。気づいてた訳ではなかったんですから。あ~」
え?何?アストレア様がなんかうんうんと頷いたと思ったら、こっちを見てくる。え?俺、何かやっちゃいました?系か?え?
「子供達に運営、任せましたよね?後、最近はお世話になった方々をシェルター内に招待しましたよね?」
あ、うん、最近になって転生して初めての街のマスターであり、引退間近のオランジェさんや鍛冶ギルドのロンさんなど、信用出来る人をシェルター内に部屋を用意して招待していた。あっ・・・
「も、もしかしてですね?」
「ええ、もしかしなくても、頑張りましょうね、貴方の国で♪」
ややややややや、やっちまったぁああああああああ?!どういうことかって、言うなれば、このシェルター内を自分の国、要するに神の国にしてしまったという事である。子供達にも招待した人達にも、神と同格の命を与えてしまったと言うか、祝福してしまったという事である。言うなれば、神域の住人にしてしまったので、そのお別れは無いが、うん、その、なんだ・・・・・・
「やっちまったぁあああああああああああああああああああああああああああああああ!」
自分の叫びに妻達は苦笑し、その後、事情を話し回ったら、苦笑され、知ってた!されるのだった。え?俺ってそんなに案外うっかりさんと知られてるの?え~~~~~~?引きこもり人生はまだまだ先という事である。トホホホホ・・・・・・
カミヤ君の戦いはこれからだ!と言うお話。お話としてはこれで終わりですが、次回の裏話でこちらは〆と言う事になります、御声援ありがとうございました!