外伝9 素晴らしき熟成肉
「ワイバーンの肉が?」
「はい、光り輝くというか、熟成しました」
とある日、かなり前の火竜が山で産卵してた時に、ワイバーンを迎撃したのを覚えてるだろうか?その時の肉である。勿論、あの後、ワイバーンをステーキにしたりしたのだが、男性は自分1人、後は女性4人だけだったので、当たり前だが、結構余ってしまったのである。ジャーキーにするとかの意見もあったのだが、リンさんのある言葉で食堂が出来るまでは居間にある冷蔵庫、食堂が出来てからは大型冷蔵庫の片隅で熟成させていたのである。
『ワイバーン肉って、どれぐらいで熟成するんでしょう?』
リンさんのこの言葉にレインさんとリィルさんも答えれなかったのだ。何故か?上等な魔物肉は大抵熟成させる事もなく食えてしまうからである。と言うか、ステーキにするだけ、しかも塩・胡椒を振るだけでも美味すぎるのであっという間に消費されてしまうらしい。実際、この言葉が無ければ、自分達も食い尽くしていたであろう、それぐらい美味なのである。その為、肉を熟成するという言葉がスポーンと抜けてしまってるらしい。で・・・
「毎日鑑定で確認してましたけど、まさか年単位でようやく熟成するとは・・・」
リンさんの言葉に頷く。ちなみに自分でも鑑定すると熟成済みという言葉が出ている。あれから1~1年半ほどだろうか?ワイバーンでコレだから、ドラゴン肉の場合は完熟するまで何年かかるのやら・・・流石にそこまで待つような客は・・・客は・・・・・・めっちゃ居そうだな!!!実際、自分達も待つ事が出来るだろう。
「とりあえず、しっかりとトリミングして、ステーキにしてみましょう」
ワイバーン肉の熟成肉か、楽しみだなあと思いつつ、自分は他の女性陣を呼びに行くのだった。で・・・・・・
『うっまぁあああああああああああい!』
想像を絶する美味さだったので、配送ギルドを経由して料理ギルドに報告したら、大量の報酬が出たのは言うまでなく、各レストランからしばらくワイバーンやドラゴン肉のメニューが消えたのは言うまでない。また、同時に様々な魔物肉で試され、市場が賑わったのも言うまでない事である。そして、美食家が大絶賛し、王侯貴族御用達の肉になってしまったのも言うまでない事である。なお・・・
「開拓大陸が超特需景気になるとは思わんかったよな・・・・・・・・・これ、自分、悪くないよね?」
めっちゃ後日の話、開拓大陸で本来なら驚異の各種ドラゴンが絶滅寸前まで逝ったと聞くのは預言者ではない自分は予想出来るはずもなかった。うん、まあ、正直な所、そうなる予感はあったけどね。俺、悪くないよね???
まあ、うん、食に関しては人間が求める本能って事で。ドラゴン肉は本当にどうなんだろうな、アレ。完熟目指すなら数十年単位とかありそうで怖い