116話 歓楽大陸のアホな事件 後編
『御協力ありがとうございました・・・・・・』
はい、こちら、翌日、グラーさんの隣に居る衛視隊の隊長さんで人間男性のガルンさんの疲れ切った労いのお言葉です。
「あ~、はい。なんとなく察しました。やはり、自分の予想は合ってて、あっさり捕えれたと?」
『はい。完全に盲点でしたが、捕らえた時の虚しさときたら・・・・・・HAHAHA!』
『おい、ガルン。しっかりしろ!正気に戻れ!まだ、報告終わってないぞ!』
さて、こんな風に捕らえる側が疲れるような取引とは何だったかと言うと・・・・・・エロ本である。もうちょい正確に言うなら、地球の世界のエロ本や同人誌の販売を生業としていた転生者の捕り物である。あっ!ってなった人が多いだろう。そう、これはアレである、日本の昔ながらの宿に泊まってる人がこっそりエロ本を自販機で買ってるっていう。んで、異世界と言うか日本のエロ本や同人誌である、クオリティが高い。こちらの世界にはエルフや亜人種、人間でもかなり美人は多い。まあ、しかし、そこは、うん、男の悲しいサガであろう。
『完全に品物が盲点でした』
ふぅ~と溜息を吐くガルンさん。そらそうだ、コレ、完全に盲点だよねと言う奴である。兵器とか禁制品とか必死に探してる所を現物は本でしたと言うオチ。しかも、害はないと来た。おそらくだが、袋に包まれたソレを密輸と言うか、評判を聞いた商人達に売り出していたのは転生者だろう。そして、自分と同じ通販の能力を持っている。んで、限定的ながら、本は売れると踏んで特化型を選択、目論見通り、金に困らなくなった。否、困らなくなりすぎたって所か。
「下手人と言って良いか、売人はどうなります?」
『そこがなあ・・・・・・』
う~ん?という顔をする2人。まず、大前提として、犯罪では無いという点がある。金を稼ぎ過ぎたのは商人、つまり、転売側で、売った本人はかなり安め、つまり日本円感覚で売っていたそうである。安く仕入れて高く売るを更に転売側が酷くしたと言う事で、罪に問われるなら、商人達の方であると言う事だ。そして、その罪も別に重犯罪ではない、軽犯罪レベルだっていう。
「まあ、本人もまさかこっちに来てまで高額転売の目に合うとは思ってなかっただろうしね」
『あ~』
地球側の女性陣達もうんうんと頷く。オウカさんの例もある為、余計にだ。とは言え、何か犯罪を起こしたではなく、突然稼ぎ始めただけである。まあ、あまりに高いぼったくりは逮捕ぐらいは出来るだろうが、うん、まあ、アレだ。
「これ、中央に誰が報告します?」
『・・・・・・・・・』
沈黙するよねー!としか言いようがない。原因がエロ本でしたなんて、どう報告したらいいのやらってなる。うん、件の事件はクッソ真面目な文章でエロ本を高額転売してた商人が原因でしたとか、エロ本を顕現させる転生者とかクソ真面目な文で書かねばならん訳だ。自分が担当の文官なら御免被るわ、こんな報告書を読むの?ってなるわ。
『『報告書書くので配送してもらえません?』』
デスヨネ--------!!!
『なるほどなあ』
はい、なんかすっかり顔パスになってる王城の謁見室です。報告書を通して時に爆笑したりしてるが、なんか急にクッソ真面目な顔になりましたね、王様。
『カミヤ殿、こいつは今、向こうかな?』
「ですね。やっぱり、要ります?」
『要る。こいつは我々が一番今必要と思ってる物を出せる転生者だ』
あれま、分かってらっしゃる。自分も件の転生者に会わせてもらい、色々聞いたが眩暈がしたほどだ。いや、事件の事ではなくてね?何がって・・・
『儲かるからと出していたのがエロ本ではあったが、この世界の言語に翻訳された地球の本。そして、そいつの能力は本全般に関係する。我が指!』
『はっ!早急に指の構成員を向かわせます!』
ヘレナさんが足早に謁見の間を出ていく。つまり、地球の本がこちらの言葉に翻訳されていたと言う事が重要なのである。ここまで言えば分かると思うが、彼は最先端の教育の促進の可能性を秘めた存在と言う事である。つまり、地球の教科書や様々な専門書を対価、つまりお金さえ払えば、買えると言う事である。これが如何に凄い事かこの世界に1週間も住めば、分かると思う。教育が難しいのだ。モンスターが現れる問題は結界石で解決はするが、どうしても、教育を提供する学校と言う名のめっちゃ高いコストの解決が難しい。そこに・・・・・・
「まあ、めっちゃ便利ですよね、教材本」
『こっちに来てかなり経つけど、日本の義務教育、異世界軽く超えてるって思ったね。後、専門学校の練度おかしい』
『それな』
シェルター内部の自分を含む地球組、思わずシンクロ。この世界の教育レベルが極端に低い訳ではない。それなりに金を出せるなら高等教育レベルはある。まあ、問題があるというのが明白と言うか、この世界を考えれば、ああ・・・なるほど・・・となる問題である。
「教える人、そら少ないわな」
これだ。学院と言う名の学校は一応ある。教員もそれなりに居る。しかし、安定した教育を施す教員が居ない。つまり、何かしらの事故で亡くなる要素が多すぎるのだ。何でって?
「良い教員とは国にとっては即戦力だもん」
『それな・・・うちも一応、学院に留まれるのは留まらせるんだが、有事になると必要になる訳で、100%の安全はどうしても・・・な』
ふぅと溜息をつく王様のこの哀愁である。そう、そんな所に、あの能力者である。そら確保急ぐわ。本は現物である、これが重要なのだ。つまり、参考書、マジ最強、コレである。ちなみに、エロ本も夜の生活には最強の参考資料である。この辺が超売れた理由だろう。
「この世界の文字に翻訳されてるのもでかい。後は口頭で教えるのが居れば教育の場が成立する」
『日本って怖い。いや、元出身だけどさ』
うん、自分もそう思う。まあ、何はともあれ、事件は解決したんだ、ヨシッ!なお、この後、かなりの期間を要するが、歓楽大陸が別名として、教育機関大陸となるのは未来の話である。
エロ本能力者が教育を救う。そんな事件があっても・・・・・・いや、よくねえわ(素
現ステータス
NAME
シロウ・カミヤ
SKILL
安全シェルター LV 10
健康的な体 LV MAX
投石 LV 1
鑑定 LV MAX
鍛冶 LV 7
念動 LV 4