112話 騒動の終わりとはじまり
次回はお久しぶりの人物設定です
『なるほどな』
で、あれから数日、またも王城に呼ばれた。と言っても、今度はシェルター姿でヘレナさんに運んで貰って、王の執務室である。んで、今、王様が報告を受けた後って訳。
『このような方法があったとはな。地球での常識に捉われ過ぎたか』
『時限式なのも野放しになった原因とも言えます』
「そういえば、件の人物は?」
『当然、死罪である・・・・・・と言いたい所ではあるのだがな』
ふぅ~と溜息をつく王様。そのため息のつき方は重い。
『犯罪ではあるが、重犯罪じゃないんだよなあ』
あっ・・・ああ、なんとなく分かった。要するに件の人物はあくまで資金を稼ぐ役目であった故に、それ以外は何の罪も犯してないのだ。何より、人死にが出ていない上に、同じように大穴に賭けた奴は潤って、財布の紐が緩むから店を回る事で経済を回してくれる。う~ん、確かにコレの罪の度合いはどれぐらいか?って聞かれると難しいな、コレ。
「無罪放免・・・とはいかないですよねえ?」
『当然であるな』
まあ、被害も全く無かった訳ではない。それに例の組織に協力していたのは変わりはない。しかも、唐突に調子を落としてた馬を飼う牧場が信用を落としたりしている。他の大陸ならともかく、歓楽大陸で考えると結構な損害である。本来は獲得出来るはずだった賞金や牧場としての信頼がホントに大きいからな。幸い、聞いた所、破産した所は無いが、被害者ならぬ、被害牧場は多いらしい。本命や対抗馬って事は大きな牧場だろうしな。うん、コレ、無罪放免は無理無理無理だわ。
「う~ん、本人はどうなんです?」
『死罪にならないなら、どんな事でもするだそうだ』
『とは言え、どのような罰を与えるかでな・・・』
ヘレナさんと王様が同時に天を仰ぐ。賭博系統で働かせるのは当然駄目だろう。スキルを封印してあるとはいえ、不正に関わった人間だしな。かと言って、飲食店系統で働かせるのも何か違う。かと言って、鉱山奴隷も重犯罪では無いので何か違う。となると、ふむ?
「じゃあ、こういうのはどうです?」
自分の提案に沿って、罰は執行された。まあ、うん、やる事がやる事だけにめっちゃアレだけど、まあ、頑張れば無罪放免は早い・・・んじゃないかな?多分。
『あ~』
後日、件の人物を見に行った際の女性陣の第一声がこの納得の一言である。何してるかって言うと・・・
『付与終わりました!1時間後の出立でお願いします!』
警備兵や馬に時限式のスキル付与を行う奉仕活動である。勿論、いざという時の為に、魔道具や契約でガッチガチに束縛済み・指が確認・監視済みである。
『よし、聞いたな、時間合わせ!出立まで解散!』
まあ、本人は結構気弱な方で貴族の組織に目を付けられて、付与とターゲッティング以外では戦闘能力は低いため、文字通りの武力と権力で脅されていたらしい。まあ、儲かると分かった頃は、ほんの少し調子に乗ってはいたようではあるが。
「件の本人は気弱ではあったが、スキル自体は鍛えていたらしいから、将来的に指に迎えるかもしれないとヘレナさんが言ってたな」
ちなみに、指になるには体力鍛錬は不可避なので、暇な時間は体力づくりで少しだけ何でもすると言った事に後悔してるとかしてないとか。
「さて、それじゃあ、向かおうか」
『はい!』
向かった先は自分達、地球組の言う所アーケード街と呼ばれる所だ。特に目的は無いがウィンドウショッピングもたまには良いよねとなったのだ。うん、でね、こうね、自分も女性陣もね、もう流石に何も無いやろと思ってたのよね。だから、オートマタのケイを元に戻して、フードのポケットにシェルターを入れて、適当にショッピングしていたんだ。
『助けてください!』
いやあ・・・・・・ライトノベルではお約束の街の中で追いかけられる美人な女の子に助けを求められるのって本当にあるんだなあ・・・・・・そして、トラブルの始まりもお約束なんだろうなあ。
100話超えて、ようやく異世界トラブルのテンプレが発生したってマジ?ってなるお話。ホント、長かったなあ(遠い目
現ステータス
NAME
シロウ・カミヤ
SKILL
安全シェルター LV 10
健康的な体 LV MAX
投石 LV 1
鑑定 LV MAX
鍛冶 LV 7
念動 LV 4