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111話 謎を解くカギは牧場に

「競馬・・・ですか?」


「ええ」


あれから数日、ヘレナさんを応接間に通しての王族からの依頼がコレである。まあ、この会話だと何かは分かり難いが次の言葉で氷解するだろう。


「王が作った公営のギャンブル場なのですが、最近、やたらと万馬券を手に入れる者が現れまして・・・」


「偶然と言うのは?」


「万馬券を手に入れるのが、5度目でもですか?」


なるほど。話によると、件の人物は外から来た市民で、今日までで他のギャンブルでは弱いのだが、金が無くなると万馬券を当てるらしい。ふ~む?流石に回数を聞くと偶然とは思えないな。と言うか、そいつが賭けたレースに限り波乱が5度も起きたなら、偶然ではない。


「怪しい様子は?」


「私も含め、指が交代で監視したが、当日は全く怪しい行動の様子はなかった」


彼女はその道のプロだ。ならば、ギャンブルが行われる競馬場で何かした訳ではないのだろう。となると・・・


「競馬場以外での目撃情報は?」


「放牧牧場での目撃がされている。だが、勿論、公営である以上は不正は許されない為、関係者以外は立ち入りは遠くからの見学のみに限られている」


ふ~む?となると、その時何かしてるんだろうな。


「件の人物はその万馬券得る前は毎回来ている?」


「ええ。その為、何かしてると思ったんだけど見てるだけなのよ」


だが、怪しいのは変わりない。けど、証拠がない。ふ~む、そうなると、何かしらのスキルではあるんだろうな。ん?待てよ?


「国王の指からの依頼って事は例の組織に関係している?」


「と言うより、スポンサーの一人であった可能性が高いのよ」


あ~、口は出さないけど金を出してたってとこかな?で、スポンサーする必要が無くなったと言う事は・・・


「逃げないんですか、そいつ?」


「正確には逃げる資金が今は無いんでしょうね」


なるほど。とすると、次に来る時は逃亡資金の調達の為って事か。では、今ある情報を纏めようか。


「少し纏めます。まず件の人物が万馬券当てた金は今まで、先日崩壊した組織の運営資金に使われていた。金が無くなったのは金遣いが荒い訳ではない」


「ですね」


「指としてはそいつを監禁、もしくは衛兵を使って拘留は?」


「証拠が無いんですよね。理由もなくはまずいです」


「まあ、そうか。となると、何かしらの万馬券を確実に得れる証明があれば良し?」


「ですね。それによって行動が変わります」


ふ~む。まず、万馬券は本当に運である。それは俺達の世界、地球であればがつく。この世界ならスキルや魔法も考えられるが、公営なだけであり、厳重に関係者ではない人は隔離しているという情報がすでにある。


「何かしらの細工がされたとすれば、遠目とは言え、一般市民も入れる放牧牧場?」


「監視していましたが、本当に見てるだけで去っていくから・・・・・・見た目何もしていないのでは捕縛までいけません」


「リィルさん、レインさん、エルフや魔人族に見るだけでドーピングする魔法は?」


「「無い」」


ああ、言い忘れてたが、女性陣全員も応接間に居て貰っている。例外として、オウカさんとメイさんだけは作業場で丸太の加工をしてもらっている。さて、こうなるとまず確定するのが・・・


「件の人物は転生者か・・・」


場に居る全員が頷く。となると、チートスキルの可能性が高いが、見ているだけと言うのがなんとも怪しい。神様の監視を抜けたとすれば、あの時あったチートスキル一覧の組み合わせだろう。あるいは転生後にスキルを組み合わせて・・・かな?


「見るだけ・・・か・・・」


まずここでターゲッティングスキルが考えられる。まずこれは確定だろう。これを使って、何らかのスキルを万馬券対象の馬に付与したに違いない。


「ターゲッテイングはまず確定だろう、見てるだけとするならね。組み合わせとして考えられるのは活性する魔法辺りかな?」


「だが、それだと、レース前に消えてしまうぞ?」


確かにそうなるが、なんとなく分かってきた。と言うか、万馬券が出た状況を合わせると、コレしかないっていうのがまたなあ。


「おそらく、時限式であったと思われます」


「続けて」


「まずはターゲッティングと鑑定能力辺りでお目当ての馬を探します。おそらく、件の人物は何回かに分けてきている、違いますか?」


「ええ。それでも馬に近づかなかったから放置されていたわ。なんて、迂闊・・・」


やはりか。何日かに分けて様子見という名のレースに出る馬の調子を見に来た。そして・・・


「レース前日に時限式を仕込めばいい。侵入する必要もないし、レース中にスキルが発動したとすれば、検査に引っかからなかったのは納得がいく。ついでに言えば、対抗馬にも仕込むことも可能だろう。例えば、スピードとスタミナのダウン・・・とかね」


「なるほど」


「ですが、自分は2つ、策を提供出来ます、お聞きに?」


頷く彼女を見ると、自分の策を披露する。1つ目は却下されたが、2つ目は採用された。後はこちらの狙い通りにそいつが動いてくれるのを待つだけだな。




「じゃあ、各自準備お願いします」


頷く女性陣、そして、自分もシェルターの操縦に戻る。さて、自分達の現在位置だが、レース場である。しかも、スタート地点の柵の内側。サイズはミクロサイズになっている。そして、指の方々は例の人物の監視をお願いしている。


「まあ、やる事は簡単なんだけどね」


そうすると、レース開始の軽快なファンファーレが鳴る。


「鑑定!」


自分だけでなく全員が鑑定する。すると、本命や対抗馬の鑑定結果に直前まで無かったスタミナ低下が付与されている。それを確認すると・・・


「ヘレナさん!」


『任せて!』


通信の魔石を使い、ヘレナさんも動く。何をしてもらうかと言うと、例の人物にスキル封印の魔道具を付けてもらうのだ。ここまで言えば、察しの良い人は気付くだろう。


「律動!」


ゲートの範囲に律動を取ったレインさんが発動させる。確認・・・よし、各馬のスタミナ低下に大穴馬のバフも消えてる。後はレース終了まで待てばいいって訳だ。言うまでないが波乱もなく、本命と対抗がワンツーフィニッシュしたのは、まあ、当然であろう。ついでに言うと、犯人はその場で崩れ落ちてあっさりと確保されたそうな。


こういう時に便利な律動。こういうシーンの為に出しましたよと言うお話。今後も出番あるのかもしれません


現ステータス


NAME


シロウ・カミヤ



SKILL


安全シェルター LV 10


健康的な体 LV MAX


投石 LV 1


鑑定 LV MAX


鍛冶 LV 7


念動 LV 4

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