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109話 久々の外出は歓楽大陸で 前編

「こんなもんかな?」


『おぉ~、カミヤさんがもう一人居る』


女性陣の言うもう一人の自分はオートマタのケイである。シェルター同様、設定弄れるから、こうしたと言う訳である。なんで、こうしたのかと言うと、まあ、簡単である。


「絶対情報出回ってるだろうからね。なら、逆にそれを利用してやろう」


女性陣が頷くのを見て操縦席に入る。さて、行動開始と言う事で、オートマタ用の操縦席に入っていくのだった。さてと・・・


「よし、先ずは外に出るか」


女性陣はそれぞれシェルター内部の作業や仕事に向かってもらう。ギルドでは設定上、自分が外に出てもシェルターはアイテム扱いなので問題無いと報告してあるからね。そう、そういうモノだと報告してあるからね。と言うか、こう報告しないと色々面倒なのは目に見えてたからなあ。


「向こうでも一度試したけど、うん、これならいけるな」


こちらの操縦はステータス画面で一応は出来るが、繊細な動きは無理なので、繊細な動きをする場合は地球で言う所、モーションキャプチャーのような装置を利用する。と言うか、最初は思考を読む水晶みたいなので操作を行おうと思ったのだが、神様から止められたのだ。理由?パニックになると、動きにボロが出るからだ。言われてみれば確かに・・・である。実際にこうして、やってみると分かるが思考のみでの動きだと、本当に思う通りにと言うのは無理があるだろう。


「マイクのオンオフは思考で出来るようにしてあるから、今はオンと」


この辺、向こうで練習してきたので慣れたものである。モニターは全周囲系。なんか某メカ物を思い出すが、まあ、そういう仕様にしたのは自分だ。ロマンだからね、仕方ないね。流石に歩く・走るのは足を動かせばいいだけにしてある。いや、延々と操縦室をぐるぐる走るのって間抜けじゃん?さて、じゃあ、シェルターの外に出よう。久々の外だ!って言うと心が痛いのなんでだろうな・・・・・・


「よし、じゃあ、行動開始だ」


すでに浮遊大陸配送ギルドには 自分自らが 外に出るとだけ話してある。まずは車形態にしておいたシェルターを拾い、ローブの下にある肩ポシェットに仕舞う。更に出しておいた手甲と具足を付ける。更に、麻袋を持って完了と。う~ん、この世界に適応したような自分を浮遊大陸の宿の一室で借りた姿見の鏡で見ると複雑だなあ。


「じゃ、行きますか」


あれ?そういえば、こんな風にとは言え、外出するの久々すぎるのでは?と思った自分が少し悲しくなったが、うん、まあ、気にしない方向で。




「ふむ」


一先ず、歓楽都市の配送ギルドを目指しているのだが、まあ、うん。長らく、監視系の視線に敏感になったのか、自分のレベルが上がったのかは分からないがいくつかの視線を感じている。どうも手を出しあぐねているのが半分、どうしようか迷ってるのが半分。なんだ、このちぐはぐ集団?と言いたい。巡回してる衛視さんに言おうにも上手い事観光客使って隠れてるからタチが悪い。


「さて、入るか」


配送ギルドを見つけると、中に入る。ぼちぼち、他のギルドの施設にも行ってみても良いかもしれないなあ。商人ギルドとか。とは言え、まあ、メインはこっちなので、入会は検討するに留まるだろうけど。


「すいません、こちらのギルドは初めてなので、ギルド証で出来る範囲で依頼を見たいのですが・・・」


「ギルド証を確認致します・・・・・・しばらくお待ちください」


さて、ギルドに入ったら、監視の目がいくつか減ったな。おそらく、入れないんだろう。まあ、依頼を見回らず、並ぶでもなく自分に向けて見てるだけとか怪しさ爆発だしね。待ち構えるぐらいはしてるだろうけど。


「お待たせいたしました。こちらが依頼票になります」


「ありがとうございます。こちらに来るのは初めてなのですが、あちらの席を使っても?」


「はい、どうぞ、ご自由に。次の方、どうぞ~」


さて、わざと窓際にあるテーブルに座るのを確認すると、操作切り替えでAIに【依頼票を適当に見る事】だけを指示しつつ、一旦、食堂の方に行く。ステータス画面で見ている物を見れるので、確認しつつだけどね。


「どうでした」


「ふふっ、感度良好でしたと言うべきでしょうか」


入ってきたのはレインさん、その手には浮遊大陸で手に入れた通信の魔石が握られている。と言う事は成功したみたいだな。


「ギルドマスターはなんて?」


「直ぐに映像魔石で照合してくださるそうです。この大陸は歓楽と名が付くだけであり何かと物騒ですからね」


要するに監視カメラ替わりかな、これは?配送ギルドならば、猶更必要だろう。しかし、ふむ、プロっぽい動作をしているのが居る気がする。しかし、なんだ、これ?プロが集中してるのは自分の方じゃなくないか?どっちかと言うと見てるのは・・・・・・


「向こうから連絡が来ました、繋げますね」


『レイン殿、照合が済みました。ちょっと、こちらでは判断付かない相手が居ました』


「お疲れ様です。隣に旦那様も居ますので、報告と共に紹介もお願いしますね」


『事の次第は聞いております、初めまして、カミヤさん、歓楽大陸港町配送ギルドのギルドマスターのチェインと申します』


魔石の映像に映るチェインさんは人間の女性。大体20代だろうか?こう、中間管理職なOLさんな感じがする人である。苦労人かどうかは分からないが、自分に関わった以上はそういう運命かも。心の中で謝っておこう。


「初めまして、カミヤです。判断付かないとは、その道のプロっぽい人ですかね?」


『お分かりになるので?』


「今までの事もあって結構そういう視線とかに慣れてますから。ただ、そいつが監視してるのが俺達ではなく、監視してるのは他っぽいんですよね?」


そう、違和感を感じたのはそこである。ギルドマスターが難を示すと言う事はそれなりの勢力だろうと言う事は予想出来るのだが、なんで、対象が自分でなく、監視してる奴やねんと言う疑念は次の言葉で納得出来た。と言うか、した。


『この歓楽大陸中央国の諜報部隊です』


あ~、そういう事ね。完全ではないが、疑問の霧が晴れたようになった。つまりは・・・


「この国の上層部は味方と見ていいんですかね、この状態だと?」


『そうですね』


「ですね」


チェインさんとレインさんも頷く。どういう事かと言うと、国が自分を監視するのではなく、自分を監視している者達を監視している。つまり、何かしらの問題ある奴、あるいは組織か貴族辺りが動いている可能性が高いと言う事である。そして、監視対象の狙いは自分と。まあ、問題はどう動くか分からないし、向こうも手を出してこないので手を出しあぐねているという所だろう。


「となると、事情を聞くにはチェインさんに中継を頼んだ方が良いのか?」


「いえ、それも危険かと、今回は旦那様の人形が良い感じに囮になってますが、ギルマスが行動すると目立ちますから」


むむ、そうなると、その諜報部隊と接触したいところだが、難しくもある。なんせ、オートマタとはいえ、外見は自分であり、低ランクの人間が諜報部隊に接触するなど怪しい事この上ない。だからと言って、ギルドマスターに取り次いでもらい、部屋を借りるのも悪手だろう。しかし、接触しないとどうにもならんからなあ。いや、待てよ?


「すいません、チェインさん。今からする質問を答えてもらいたいんですけど・・・」


『なんでしょう?』


自分が提案した案を賛成して貰ったので早速行動に入る。まずは操縦席に戻って、AI行動を停止、マニュアル操縦に戻し、適当な配送依頼を受領する為に、依頼票を選び出す。そして、メモに書き込みをするふりをしつつ、窓の外を見る。人間、監視してる対象が何か見ようとするとそっちを見てしまうものだ。ここで今度はAIに【書類を確認する動作】を任せ、同じ操縦室に居るリィルさんに話しかける。


「確認取れました?」


「ああ、こちらと同じく外を見たのは全部で4人。諜報部隊に監視されているのはその内の1人だ」


「じゃあ、写真をお願いしますね」


「心得た」


ここに入ってから長いリィルさんやレインさんもすっかりカメラなどを使えるようになった。なので、全方位が見える操縦室から見えた容疑者の顔を拡大縮小なども出来るデジカメで撮影をお願いしておいたと言う訳だ。


「ちなみに、覚えは?」


「無いね」


となると、リィルさん達がいた大陸には少なくとも来た事が無い、つまりは冒険者ではないこの大陸のどこかの勢力の私兵の可能性が高いか。


「よし、じゃあ、念の為そのデジカメに収めた写真を見ながら人相書きもお願いします。後は手筈通りに」


「承知」


リィルさんが操縦席を出た所で、再び操作をマニュアルにする。そして、思い出したかのような仕草をして、メモ書きを書く。


「すみません、コレを引き受けます。これ、大体持てる量です」


そのメモと一緒に渡す。まあ、実際は内容が違うが、受け取ってもらう。話が行ってる受付嬢なのか、サクサクと作業をしてくれる。その間も視線は強まる。


「それでは、こちらが荷物、こちらが依頼票と割符になります。行ってらっしゃいませ!」


渡されたのは薬草などが入った小箱と確認用の割符。地図は依頼票についており、割符と合わせて確認に使う。アイテムバックと言う名のポシェットに全て入れる。まあ、あまり驚かれないのが配送ギルドで、ササッと外に出る。すると、いくつかの足音が同時に付いて来る。う~ん、プロ故の分かりやすさだな、コレ。


(それじゃ、動きますか)


スッと大通りから曲がり角に曲がると、姿隠しのマントを羽織る。すると、追跡者達は消えた自分を探そうとし、路地の奥へ大半が消えていく。ただ、2人グループの追跡者が留まっていた。なるほど、こいつらが監視対象かな?


『チッ、ド素人共の所為で追跡気づかれたか』


『仕方ない。国の追跡もあるかもしれん。撤退する』


両方人間かな?操作をAIに戻して【待機】させ、中庭に出る。そして、シェルターを動かし、2人が視認出来る位置に立つ。


「まあまあ、ゆっくり話そうじゃん?」


『『?!』』


『停まれ!』


2人が逃げようとする瞬間、自分とリィルさんが念動で足を掴む。律動なんぞ取ってないであろうから、あっさり掴める。まあ、まだまだ浸透してないから猶更である。念の為、特殊能力だ!と思わせるように停まれと言ったけどね。更にそこへ・・・


「レインさん!」


「浄化」


『っ?!』


こんな事は無いだろうか?口を開かないと決めてる人間でも突然の理解出来ない現象に遭遇すると口をあっと言う感じに開けてしまってる事が。まさに今がそれ。お約束の毒を飲んで死なれてもアレなので、神聖魔法の浄化で口の中を浄化する。これまた、自分が考えた使い方である。こういうのって大抵は奥歯に仕込んであるから口の中に浄化をぶち込めばしばらくは自裁出来ないって訳である。まあ、勿論、この方法も一時的な処置だし、放っておくと自裁に成功してしまうだろう。まあ、しかし・・・


『協力感謝する』


国の諜報員が居るんだな、これが。言葉を発した女性が指示すると、男性が何名か来て、2人を拘束、口の奥にあるであろう自裁用の薬を引っ張り出す。勿論歯に仕込む訳だから大量に血が出るが、その出血も素早く回復魔法で直していく。う~ん、手早いというか、この手際の良さがまさに本当のプロだな。


『連れて行け』


『はっ!』


う~ん、聞きたくないけど、これは聞かねばならないだろうな。


「事情は教えてもらえるので?」


『勿論だ』


こうして、またトラブルに巻き込まれていくのね。よよよ。けど、降りかかる火の粉は払わなきゃだしね。ああ、損な性分だ。

オークションの結果や様々なやらかしで有名になりすぎたから仕方ないねと言うお話。まずは事件解決しようぜ、カミヤ君!


現ステータス


NAME


シロウ・カミヤ



SKILL


安全シェルター LV 10


健康的な体 LV MAX


投石 LV 1


鑑定 LV MAX


鍛冶 LV 7


念動 LV 4


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