105話 食材大陸からの甘い依頼 前編
次回はちょっと食材大陸の愉快なモンスターデータまとめです。本編に出るのも出ないのも含めてw
「うん、もう一度お願い出来ますか????」
『うむ。他大陸から来た貴殿にとっては信じ難いのも分かる。ちなみに、儂も出来る限りは本音として内々で済ませたいんじゃよ』
うん、自分も女性陣も街の領主であるグインさんの言葉に困惑している。いや、もっと正確に言おう、困惑しかなかった。いや、なんでってさあ?
「ウェディングケーキを 獲って 来て欲しいと言われました?」
『うむ、 獲って 来て欲しいんじゃ』
・・・・・・ここでのミソは秘境の店とかで取り置きを取って来るではない。獲って来るである。もう一度言う、獲って来るである!いや、ホントどういう事かって言うと・・・
「ケーキレオン・・・・・・しかも、その希少種である、ウェディングレオンの討伐…ですか?・・・・・・とりあえず、こんな魔物創造した何らかの存在殴りたい」
『うむ。儂も同感なんじゃがのう。例年ならば、専用のパーティに任せるんじゃが・・・』
なんでも、このケーキレオン種、女性の前にしか現れないそうである。ユニコーンか何かかな?更に自分より低レベルでなければいけない。ケーキレオンは30と高いから囮はいくらでも居るが、希少種であるウェディングレオンはなんと驚きの10である。まあ、ここまで言えば分かるよね。
「うっかりレベルが上がってしまった・・・と」
『人間じゃからなあ』
そう言えば、神々から説明されていた事だが、この世界では魔物を倒す、自分よりレベル高い人間と訓練する、知識を蓄えるなどでレベルが上がる。今回、一番皮肉なのは囮にして捕獲人員だったという事だ。厄介な要因とはスポーツ選手で言う所1日のブランクは数日の鍛錬で取り戻せる。コレである。まあ、要するに体を鈍らせない、勘を鈍らせないようにしていたら・・・・・・まあ、そういう事だ。
「冒険者として正しいけど、役目を考えると間違ってしまったって訳か」
『じゃのう。お受けいただけるかな?』
依頼としてはシェルターにはレベルの概念がない、鑑定で見えるレベルは0。そして、中に居る人の気配は見えない。なので、もしかしたらとの事である。まあ、所属の調査隊が鑑定して分かった事らしいがね。で、数日以内に食材大陸の王都で行われる結婚式の為に獲って来て欲しいらしい。まあ、王都、つまりはそういう関係で頼まれたとの事だ。この世知辛いのは中間管理職の悲哀かね。う~ん?
「どう確保すればいいんです?」
聞いてアレだが、すっごい嫌な予感しかしない。だって、プリンの例もあるし・・・・・・
『おお、そうじゃったな。うむ、気を強くして聞いてくれ。まず、ウェディングレオンは死ぬほど弱い。その気になれば幼女の年齢の腕力でも死ぬ』
「はい?」
自分も女性陣も思わず絶句である。10レベルであっても、なんだその耐久力?ってなるよ、どういう事だ?
『ただし、こっちがムカつくほど頭が良いのだ。自分より弱い、且つ女性の前にしか現れない知能。その上、自分の背にあるケーキが目当てと分かっておるから盾にしつつ持久戦で挑んでくるんじゃ』
うっわあ・・・・・・クソモンスター。ただ、出現さえすれば奴の知覚外、おおよそ10メートル外から優秀な遠距離攻撃持ちがシューッ!すれば討伐できるそうだ。ただ、その時まで奴を囮役が引き付け、嬲られてるように思わせなければならない為、専門の捕獲者がうっかりレベルを上げてしまったのはまずかったらしい。
「バフ掛けると逃げるとありますね?」
『うむ、この大陸の食材バフにも反応しよるんじゃ』
実は、囮役の娘さん、もう嫌になってレベル上げた説有力になってない????バフ無しで囮の為に自分の勘とわずかな訓練の経験だけで避け続けろって無茶振りにも程があるし、その為の訓練でさぞ地獄見たんだろうなあ。
「討伐方法はいくらか考え付くけど、国の選任になる気はないから、何かしらの方法考えないとなあ。データあります?」
『まあ、そうじゃよなあ。データはすぐに持ってこさせよう、おい』
彼の言葉に近衛兵っぽい人が敬礼すると出ていった。遠距離攻撃でシューッ!ってことは一撃で即死させる必要があるんだな。ふむ?って、アレ?
「こいつ、魔石無いんです?」
『あ~・・・あるにはある。そこは今から持ってくるデータが解明してくれるじゃろう』
と言う訳で、持ってこられたデータで、自分、絶句。回し読みした順に女性陣絶句である。マジかあ・・・何が?って・・・
「魔石破壊しないとケーキがクッソまずくなって、魔石を取り出した場合はケーキが崩れる?なお、魔石と連動しているのか魔石を破壊しないとケーキはドロップしなくなる・・・・・・」
嫌がらせな事この上ない。いや、こういう生態で生まれた故の最後の抵抗だろうか、知らんけど。しかし、こりゃ、確かに厄介だ。囮作戦以外は隙が無い。学者やギルドに国も頭抱えるだろう。
「そういえば、こいつの魔石って高値なんです?」
『クッソ安い。ゴブリンの方がマシまであるのう』
おや?オウカさんの言葉に対するグインさんの言葉は意外だった。確かにレベル10前後と考えれば安いだろうが、レアモンスターらしいのにね。
『まず、魔法とか入れようとするじゃろ?自壊する』
ま、まあ、元がケーキの土台みてえなモンスターだしね。だから、脆いとかなのかな?いや、なんでじゃ?はっ?!つい、心の中とは言え、ツッコミをしてしまった。
『ならば、魔石を武器や防具に付与すればいいと思うじゃろ?どんな鉱石の武器防具もケーキみたいに脆くなるんじゃ』
オウフ、それは辛い・・・・・・何がって、コレ、どう使えばいいの?ってなるよね。ん?使い道がない?待て、待つんだ。この大陸が常識に捕らわれないとすれば・・・いや、まさか・・・いや、でも、それならこの特性に納得がいく。いや、けど、しかし、ん~~~~~?!
「あの、その魔石、いくつか金出すので譲ってもらえません?」
『ああ、いくつかあるが、どうかしたのかね?』
「あ~、先ずは現物を見てからで。多分、無いと思うんですけど、うん、この手の勘は自分でも馬鹿に出来ないので」
魔法を込めるのも駄目と言う事は魔道具の原動力にするのも駄目、武器にも防具にも使えない。一見はこの世界の常識的には全く使えない魔石である。自分が考えついたのはそれ以外の使用方法。流石に外れとは思いたいが、ここに来てからの食の常識外れに感化でもされたかなあ、あり得ると思ってしまう。
「あ~」
ジャラリとシェルターの前に出された魔石を提示された代金でいくつか購入する。そして、シェルター内で見て、うん、まさかが的中するかもしれない事を確認する。シェルター内にも入った事で、どうなるかは分からないが、碌でもない育ち方をするだろうな、この魔石・・・
「とりあえず、数日待ってもらえます?多分、結果は常識外れだと思うので、その覚悟もしておいてください。依頼の方もお受けするのでご心配なく」
『お、おう?』
まあ、うん、とりあえず、領主の館を後にして、自分の予想とその方法を話した女性陣達が納得と共に嫌な顔をした。いや、流石に全部当たるって事は無い・・・・・・と良いなあ・・・
もう、なんか想像ついた人が多いと思いますが、カミヤ君はぁ!ホントにフラグ建てが上手いなあ!(ヤケ
現ステータス
NAME
シロウ・カミヤ
SKILL
安全シェルター LV 9
健康的な体 LV MAX
投石 LV 1
鑑定 LV MAX
鍛冶 LV 7
念動 LV 4