98話 お仕事ワアイ!楽しいなあ(なお、ヤケクソ)
「買い出し・・・ですか?」
「ええ、お願いできますか?」
あれから数日、先ず依頼が来たのは協会のライさんから。オウフ、いきなり基本からぶっこんで来たなあ。
「やはり、気まずい?」
「と言うか、向こうの冒険者ギルドにはもう地元冒険者しか入ってないそうで」
「うわぁ・・・」
別に歓迎しない訳でもないし、問題があった訳ではない。ただ、外と中がまだ上手い具合に折り合いを付けれないと言った所かね。ついでに言うと、冒険者協会の評判がある意味幸い、ある意味災いしたって事かね。外からの冒険者はこっちの都市に移住する気満々と。魔法もあるから、箱モノはあっという間に作れるんだろう。事実、今居る協会都市とでも言おうか、ライさんが建設を指揮している都市は地上と同じような感じで作られており、馴染みが深い。すでに建物も数軒建っており、都市としてはまだだが、建物と道に関しては数日で完成するだろう。
「すでにテントで近くに泊まってる人達も居ますもんね」
「こちらの都市が出来上がれば少しづつ、歩み寄りの施策は出来るでしょうけど・・・今は無理ですね」
そらな。と言う事で、買い出しのリストを見る。主に食料か。建造材要らない建築とか、地球の人が見たら卒倒もんだよな、コレ。んで、次に多いのが鉄鉱石か。うん、建築の補助の為のアレ作るためかな?最後に木材と。
「ホント、人にとって必要なもん(食料)だけが足りない代わりに建築だけはそれほど量が要らないと言う異世界」
「この点に関してだけは異世界恐るべきと思いましたね。元手となる建築資材がほぼいらないなんて腰が抜けると思いました」
自分の言葉に頷くライさんの言葉に全員が頷く。簡単に言えば、災害で建物が全壊しても、魔法を使える人間さえ居れば、その場で復興が完了するって言えば分かりやすいだろう。いや、マジで重機もいらないってんだから、その凄まじさは分かろうと言うものだ。最優先である人命がそのまま復興の速度に繋がるってのは凄すぎるわ。
「あれ?待てよ、ライさん。あのですね?」
自分はちょっと思い出した事を提案する。ちなみにライさんに頭下げられた。さて、やりますか。
「どうですか、レインさん?」
「いけますね」
現在地、食堂。と言えば、答えに行きつく人は多いだろう。
「食料の保管。私達や農場の分を避けてればいけると思います」
そう、買い出しした食料の保管である。鉄鉱石や木材はすぐ使うから良いが、食料が問題である。勿論、転生者である協会員がアイテムボックス機能で保管すると言うのが普通なのだが、今はそれが普通ではないのである。ちょっとした嫌がらせに食料を持った協会員が拉致とかされかねないのである。勿論、向こうのお偉いさんも監視を強化するだろうが、溝が出来てしまっている今、確実な安全とは言えない。そこで、こちらにあるリィルさんのマジックバッグや大型冷蔵庫で保管しようと言う訳である。ついでに買い出しも自分が行い、協会員はまず、街に集中する事にしたのだ。まずは街、ホントに重要。ここの完成がまんま安全の全てに繋がるからね。
「向こうの冒険者ギルドと連絡は?」
「完了しています。何度も使える手ではないのですけどね」
自分の言葉に対するレインさんの言う通りである。自分の事は向こうでも知られているので、もしかしたら妨害を受けるかもしれない。なので、先ずは当面の物資をギルドを介して購入してもらい、自分が受け取り、こちらに運ぶと言う形にしたのである。流石にギルドの行動まで妨害はしないはず・・・・・・ちょっと不安になって来たけど、うん。
「よし、向かおう」
幸いと言うべきか買い取った都市は王都に当たる都市と、自分が居た都市の中間にあると言うのが利点である。形態を車に変えて飛ばせば、2~3時間程度でどちらにも着く。と言うか、ライさんと相談して思ったんだが、勿体ない立地多すぎるんだよね。今回、全力で且つ、特急で支援、救援を即時に行える良い立地を他に買われる前に札束ビンタしたけど、鉱山に農業に適した土地にも、未来都市みたいなの建ててるのが実に勿体ない。いや、マジで。
「まあ、まずはお仕事に集中しようかね」
「はい!」
操縦席でレインさんと雑談しながら、ゴルさんが居る冒険者ギルドがある方の街に向かうのだった。王都は、うん、今はまだいいかな?って・・・
「確かに受け取りました、こちら代金です」
『確かに』
冒険者ギルドの2階の大部屋で物資を女性陣と共に運び込む。運び込むと言うか、近づいて中に入れていっているだけなんだが、なんか、どういう訳か、外から中へ物を入れる時はあまり重さを感じないのが助かるね。まあ、作業が大変なのは選別もしてるからだけどね。食料は食堂についてる窓から、木材や鉱石は中庭の方から手を出して入れていっている。そして、レインさんがライさんから預かったお金を庭から見える机の上に置いていく。
「外の様子はどうです?」
重い鉱石と木材をマジックバッグに詰めつつ、ゴルさんに聞く。そして、ゴルさんの呆れたポーズ。つまり、そういう事だ。まあ、それは予想出来てたからね、だからこその2階での取引である。まずは1階で大抵の有象無象は排除される。国家や貴族と言えど、アポも許可も無しにズカズカ踏み込めばギルドといらん軋轢を作る。となれば、そういう奴等の狙いはギルドを出た後である。交渉にせよ、そういう行動に出るにせよ、今は安全と言う事である。
「では、そこから失礼が良いようですね」
『そうですね』
「では、失礼します」
自分がそう言うと同時に、下から何人かが動く靴音が聞こえる。分かりやすいが、まあ、それを見事回避して見せよう。何をするって?ドローンを外に出して空からの逃亡である。いつまで経っても、ギルド正面入り口からは出てこないよ、残念!
「ああ、案の定居ますね。まあ、空なんか気にしてませんけど」
「居るねえ。上からだと配置丸分かりだな」
レインさんの言葉に自分もうんうんと頷く。念の為、戻る前に人数を数えてみる。バラバラではあるが5~10グループだろうか?交渉しに来たと言うより、恫喝目的が中心と言った所だろうか?どう考えても、交渉しに来ましたと言う格好ではない。モンスター退治しにきましたと言えば分かるだろうか?目的は帰還妨害、もしくは自分が傘下に入るまで交渉と言う名の監禁狙いかな、多分。よし、戻るとしよう。
まあ、いつの時代も暴走する奴は居るよねと言うお話。そいつに触発されていらん事する奴も後を絶たないと言うお話。
現ステータス
NAME
シロウ・カミヤ
SKILL
安全シェルター LV 9
健康的な体 LV MAX
投石 LV 1
鑑定 LV MAX
鍛冶 LV 7
念動 LV 4