92話 浮遊大陸の新たな可能性
「ふむ」
さて、国に情報を売って数日、またも金が増えたので、もう、後の滞在期間は観光でいいやと現在、街を出て散策中である。もしくは、散歩と言う名の現実逃避とも言う。
「いざ、本物の浮遊大陸に来ると、色々見るところあるなあ」
空の流れは速いが、どうやら、大陸自体に特殊な結界が張られているらしく、内部は普通に歩ける。まあ、そうでなければ国が成立するわけないしね。
「ですが、地上とは違う面も見せてくれますね」
そう言ったユウナさんが持っている草がまさにそれである。と言うか、ぶっちゃけてしまえばただの薬草ではあるのだが・・・鑑定結果がこちらである。
薬草【浮遊大陸】:地上の土壌とは違う土壌で育てられた薬草。地上の物とは違い苦みより甘みが増している。 等級:C
「「これが現役時代にあれば・・・・・・・・・」」
レインさんとリィルさんが打ちひしがれている。うん、甘さとか強調されている部分は冗談抜きで本当だった。向こうのが食うにも値しないなら、こちらは多少は苦みは感じるがチューインガムである。どちらを口に含みたいか?と言われると、言うまでもないだろう。
「とりあえず、今ある薬草畑2つの内の1つは潰して、こちらを量産しよう」
んで、更に更に・・・・・・コレである。
天空リンゴ:天を走る土壌で作られたリンゴ。その甘さは文字通り天上の味わいである。 等級:B
確かに道具や武器防具はこの大陸の機密ではあるようだが、農作物や薬草類は育てたり、採集したりすれば秘密とまではいかないようだ。むしろ、薬草から作られる旧ポーションがあれほど凄まじい不味さになるのが不思議がられていたと言うから、うん、まあ、浮遊大陸に来なかった冒険者はご愁傷様である。
「確かに美味いな、コレ」
「でも、これ、アレですよね」
「うん、まあ、言ったらなんだけど・・・・・・」
自分の言葉に頷くユウナさんとメイさん。そして他の地球組の女性陣が頷き、せ~のと言う感じで次の言葉を紡ぎ出す。
『地球のちょっとお高いブランド物のリンゴ』
コレである。こう言ったらなんだが、自分の故郷の地球、食に関してはファンタジー世界超えすぎじゃない?いや、風呂とトイレもだが、うん。
「あれ?待てよ?この2つに共通するのって・・・・・・いや、まさか、そんな単純な訳・・・」
思いついたら即行動は良い言葉なんだけど、この予想は外れてくれてるといいな!あれ?もしかして、フラグ建てた?
「で、どうです?」
考えを実行してから、数日の間、街の外にある森に籠った。とある実験を行う為でその結果が今日、メイさんの口から発表される日である。
「結論から言います。カミヤさんの懸念通りですね、コレ」
「出来ちゃったか~」
「出来ちゃいましたね~」
「「あっはっはっはっ!」」
今すぐ、数日前の自分の頭をハンマーでぶん殴って記憶を失わせたいぞ、チクショウ!何をしたかと言うと、この大陸の土で生育が早い薬草を種から育ててみたのだ。勿論だが使った種はまずいポーションの奴である。その結果は・・・
「うわあ・・・・・・流すギルドや国によっては大争奪戦になりますよ、コレ」
ユウナさんの言う通りのままである。そう、出来てしまったのだ。プランターで浮遊大陸産の薬草が。つまり、この大陸の土があれば、甘いポーションが作れるかもしれないと言う情報だ。きっと、激震が走るだろう。
「国のお偉方ももしかしたら、気付いてないかもしれない。まさしく、浮遊するお宝船になっちゃったかあ」
オウカさんの言う通りである。まあ、そう言う訳で、秘密にするか、流すかになるが、流す場合は冒険者が殺到してきかねない。う~ん?
「いや、待てよ。もしかして・・・・・・むしろ、殺到した方が好都合なのでは?」
自分の考えを話すと、全員納得してくれた。よし、じゃあ、さっそくあの人に話すとするか!
流石に様々な物は隠せても土や薬草や育ててる物などは隠せませんよねとなると言うお話。そして、まずいポーション恐るべしと言うお話。
現ステータス
NAME
シロウ・カミヤ
SKILL
安全シェルター LV 9
健康的な体 LV MAX
投石 LV 1
鑑定 LV MAX
鍛冶 LV 7
念動 LV 4