88話 浮遊大陸での買い物と安心
「ふ~む」
とりあえず、街へのと言うか、この国への入国は入場証で済む。また、未来的な都市の為か、幼女形態でもあまり驚かれないのが幸いして、街の観光はすんなり済んでいる。
「どうしました?」
「こう言っちゃあなんだけど、普通の品物だね」
レインさんの言葉に、この街で買った武器防具、道具などを机の上に広げる。幸い、外貨でもオッケーの店が多く、現物を買えたのだが・・・
「確かにですねえ。てっきりビームサーベルとかあると思ったましたよ」
ユウナさんがうんうんと頷く。うん、自分もそう思った。もしかして、回った店が悪かったのかな?と思い、食堂等も回ったがこの大陸の出身と思われる冒険者や兵士がそういう武器を護身に持っている様子もない。では、見回りの兵士が装備してるか?と言われるとそうでもない。う~ん?色々謎な都市だなあ。
「単に身内だけでしか売ってないだけか?いや、こちらに注目させる事で売ろうとしない?」
と、自分が手に取ったのはライターである。そう、魔力が無くても火が着くライター。所謂オイルライターである。これは確かにファンタジー世界にとっては革命である。この大陸に商売にやって来た商人もまずはこちらに注目するであろう。なにせ、珍しさで売れるし、実用品でもあるからだ。
「魔力無しで火が着く、精製されたオイルはここでしか売っていない。これが外に少しづつ出て行かせた結果、金はどんどん集まる」
だが、同時に欠点もあった。あっ、あ~!そういう事か。だから、あのバカみたいにデカい飛行船が必要になったのか。
「ああ、だからか。だから、この大陸には文化を感じなかったのか」
『あっ!』
つまり、ここの未来都市の技術や物の大半は隠匿されていると言う事だ。だが、手札を見せぬと言う訳にもいかないから、ここでしか手に入らず、珍しい物であるライターが商人達に解禁され、その商人達からの情報の下、店売りも外とあまり変わらない品物を置いているだけと言う訳だ。
「だから、自分達は街でも売られてる物でも違和感を持ったんだ。だってそうだろ?ここと言う大陸を感じさせる文化が無いのだから」
正確には最低限の文化しか来訪者には見せていないが正確になるだろうか?広める気が無いと言うかそんな感じがする。となると、あの超巨大船を国家が傾きかねない金額で買い取ったのも納得がいく。
「となると、あの巨大船は第2の浮遊大陸にする気か。もうちょい正確に言うなら文化を吸収する媒体と言うべきかな?」
「ああ、なるほど、そういう・・・」
自分の言葉にレインさんが頷き、続いて他のメンバーも頷く。つまり、ある意味、あのカジノ船オーナーのやり方とは違う意味での一方通行的な交流の場を作ろうと言う訳だ。
「浮遊大陸があれほど金に執着しなかったのと、一括払いにしたのはそう言う訳だったんですね」
あれも金額は予想通りかは分からないが宣伝だったのだ。浮遊大陸が大量資金を出して買い取ったカジノ船。それが飛行船になり、各地を回ると更に宣伝したら?そう・・・
「そう、珍しさから、あらゆる所から人が集まる、いや、集めるが正確かな?浮遊船なんだから」
「強制では無い所がまた、法の抜け道っぽくなってますねえ」
自分の言葉に対する、ユキさんの言葉に全員が苦笑気味に頷く。ある意味、ほっとしたと言う事もあるだろう。黒い所もあるが、何処かとの戦争に使われると言う事ではないからね。手に入れたのは本意じゃないけど、売った身としてはとりあえずは安心したと言うのがあるからね。
「まだ完全に安心とはいかないがね、うん?」
庭の空が揺れてるって事は配送ギルドの端の方で一見寝てるだけの幼女シェルターが誰かに起こされてるって事かな?なんだろ?とりあえず、女性陣とは解散して、自分は操縦席に向かうのだった。
ある意味では調べたいけど調べれなくて、大まかな内容さえ分かればひとまず安心できる事ってありますよねと言うお話。まあ、勿論、トラブルなんかない!と言うはずもありませんです、ハイ。
現ステータス
NAME
シロウ・カミヤ
SKILL
安全シェルター LV 9
健康的な体 LV MAX
投石 LV 1
鑑定 LV MAX
鍛冶 LV 7
念動 LV1