ライオン太郎
僕は肉食の女の子が好きです。
むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがおりました。
おじいさんは山に芝刈りに、おばあさんは川に洗濯に行きました。
おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな桃がどんぶらこどんぶらこと流れてきました。
おばあさんが桃を持ち帰り、中を割ってみると、中からライオンの顔をした男の子が産まれてきました。
二人はその子にライオン太郎と名前を付けて、大切に育てました。
ライオン太郎は、大人になると鬼退治に出掛けました。
おばあさんはライオン太郎にきび団子を渡しました。
「…………ジュルリ……」
ライオン太郎が舌舐めずりをしました。とても美味しそうなきび団子を今すぐに食べたい気持ちを抑え、ライオン太郎は二人に別れを告げて旅立ちました。
「…………しかし美味そうなきび団子だ……」
ライオン太郎はお腹が空きました。
振り返ると、おじいさんとおばあさんが家の前で手を振ってくれています。
「…………ジュルリ……」
ライオン太郎は我慢が出来ず、代わりにおじいさんとおばあさんを食べてしまいました。
「あまり美味しくない」
ライオン太郎の口には合いませんでした。
「桃太郎さん、桃太郎さん。御腰に着けたきび団子、一つ私に下さいな。鬼ヶ島へお供致しましょう」
腹ごなしを終えたライオン太郎が鬼ヶ島へ向かっていると、とても勇敢そうな白い犬がライオン太郎に話し掛けてきました。
「…………ジュルリ……」
ライオン太郎は舌舐めずりをしました。
そしてきび団子を一つ手渡してこう言いました。
「お供はいらない。代わりにお前を食べる」
「!?」
犬はライオン太郎に食べられてしまいました。
「うん、まあまあ美味い」
ライオン太郎はそこそこ満足しました。
「桃太郎さん、桃太郎さん。御腰に着けたきび団子、一つ私に下さいな。鬼ヶ島へお供致しましょう」
昼飯を終えたライオン太郎が鬼ヶ島へ向かっていると、とても聡明そうなキジがライオン太郎に話し掛けてきました。
「…………ジュルリ……!」
ライオン太郎は舌舐めずりをしました。
そしてきび団子を一つ手渡してこう言いました。
「お供はいらない。代わりにお前を食べる」
「!?」
キジはライオン太郎に食べられてしまいました。
「うん、結構美味しい」
ライオン太郎は大満足しました。
「桃太郎さん、桃太郎さん。御腰に着けたきび団子、一つ私に下さいな。鬼ヶ島へお供致しましょう」
おやつを終えたライオン太郎が鬼ヶ島へ向かっていると、とても狡猾そうなサルがライオン太郎に話し掛けてきました。
「…………ジュルリ……」
ライオン太郎は舌舐めずりをしました。
そしてきび団子を一つ手渡してこう言いました。
「お供はいらない。代わりにお前を食べる」
「!?」
サルはライオン太郎に食べられてしまいました。
「……不味い」
ライオン太郎は食べたことを後悔しました。
おやつその二を終えたライオン太郎は、ついに鬼ヶ島へと辿り着きました。
「ウガー!」
鬼がライオン太郎目掛けて襲ってきます!
「…………ジュルリ……」
ライオン太郎は舌舐めずりをしました。
そしてきび団子を一つ手渡してこう言いました。
「これをやるからお前を食わせろ」
「!?」
ライオン太郎は鬼を食べてしまいました。
「……うっぷ! 不味すぎる!!」
ライオン太郎は吐き気を催しました。
鬼退治を終えたライオン太郎は、村人から奪った鬼の財宝を見つけました。金銀小判がザックザクです。
「…………ジュルリ……」
ライオン太郎は舌舐めずりをしました。
そして金銀小判を食べてしまいました。
「……無味無臭!!」
ライオン太郎は金銀小判の重さでその場から動けなくなりました。
「人食いライオン太郎が居ると聞いてやって来ました!」
通報を受けた役所の人間がハンターを連れて鬼ヶ島に現れました。
「しまった、動けんぞ……!!」
ライオン太郎はその場で撃たれ倒れました。
役所の人間がライオン太郎を引き摺ろうとしますが、ビクともしません。
「仕方ない、この場で解体するか」
そしてライオン太郎のお腹を開けてみると、中から金銀小判がザックザクと出て来ました。
「…………ジュルリ……」
次の日、テレビに『役所の人間による横領事件』が報道されましたとさ…………