第8話 女王かぐや
潮騒の村を離れ、かぐやという人物に会うために月竹村へと向かう桃太郎と命。
しかし、その足取りは重かった。
命 ねぇ、桃太郎さん。
桃太郎 なんです命。
命 月竹村ってまだー?
桃太郎 さぁ。どうでしょうね?
命 浦島さんたちとバイバイして何日かたつけど、もしかして・・・迷った?
桃太郎 っぐ・・・そんなことはありません!
命 あ、その顔!やっぱり迷ったんだー!
桃太郎 地図ではこの辺のはずなんですが・・・っ!命、目をつむって!
命 えっ!どうしたの?
桃太郎 見てはいけません!
命 ・・・きゃあ!!
桃太郎 これは・・・鬼の生首、しかもこんなに・・・。
村人 あんたら、よそから来たのかい?びっくりしただろう。
桃太郎 あなたは?
村人 すぐそこにある月竹村の者だよ。
そこにある鬼の首は全部かぐや様がやったのさ。
桃太郎 これを一人で!かぐやという方はいったい何者なんですか。
村人 鬼より怖い方だよ。
桃太郎 どこに行けば会えるのですか?
村人 村の中央にある大きな屋敷が、かぐや様のお屋敷さ。
あんたらかぐや様に会う気かい?
桃太郎 えぇ。
村人 それなら、せいぜい気をつけるこったな。
命 ねぇ、桃太郎さんどうしよう。なんか怖いよ~。
桃太郎 かといって、引き返すわけにもいきませんしね。
とりあえず、行くだけ行ってみましょう。
かぐや屋敷前
桃太郎 ここが、村の人が教えてくれた屋敷ですね。
どなたかいらっしゃいませんか!?
召使 はい。
桃太郎 突然の訪問失礼いたします。私、桃太郎と言います。
命 命だよ!
桃太郎 実は、かぐやという方にお尋ねしたいことが・・・
召使 あぁ、挑戦ですね。
お子様連れの方は珍しいですが、どうぞこちらへ。
桃太郎 えっ?いえ私は・・・
召使 ささ、どうぞどうぞ。
進められるまま家の中へ
命 すごーい広いお家だね!それに、壁中金ぴかだ!
桃太郎 本当ですね・・・。
命 どうしたの桃太郎さん。難しそうな顔して。
桃太郎 さっきの方が言っていた挑戦とはどういうことでしょう?
召使 お待たせいたしました桃太郎様。かぐや様の元へご案内いたします。
かぐやの間
召使 こちらでございます。かぐや様!次の挑戦者をお連れしました。
桃太郎 挑戦者?
かぐや ご苦労。そなたはもう下がっていいわ。
召使 はい。
召使下がる
かぐや 旅の方、遠くからよく参られた。妾はかぐや。
この月竹村の長です。
命 なんか、思ってたより優しそうな人だね。
桃太郎 えぇ、これなら話も聞いてもらえそうです。
あの、かぐやさん・・・
かぐや そなたたちに一つ言っておきましょう。
妾の許可なくこの屋敷で喋ってはならぬ?空気が淀むので。
桃太郎 はい?
かぐや 聞こえなかったのかしら?顔だけではなく、耳まで悪いようね。
命 な、何このお姉さん。
かぐや そこの童。
命 命の事?
かぐや 名前など、どうだっていい。そなたもそう。
童だからとて、妾は甘やかしたりしない。
あぁ、そなたたちのせいで貴重な時間が無駄になったわ。
えー・・桃太郎。そなたには今から妾と、
桃太郎 ちょっと待ってください!
挑戦って!いったいなんですか!私はただ・・
かぐやの鉄扇が桃太郎のほほをかすめる
桃太郎 ・・・っ!!
命 桃太郎さん!
かぐや 何度も言いました。勝手にしゃべらないでと・・
もういいわ。口で言ってもわからないなら、体に教えてあげる。
かぐや、両手の鉄扇を広げ、臨戦態勢にはいる
命 桃太郎さん。
桃太郎 命は下がって。よくわかりませんが、戦うしかないようです。