ほんの気持ちです。
テロリストの居場所は合衆国政府が調べて通知してきてる。
ブロンクスの地下1キロに居るんだってさ。
だから今回も俺はキャリングケースを2つ引きずってる。
そこまで深いとコンバットアーマーが転送出来ないようだ。
この場でコンバットアーマーを転送装着すればいいのに俺がせっかくいるんだからと言って今はゴスロリの服で俺の横に居る。
「ここで君と一旦お別れだけどひとりで大丈夫かい」
『ご心配には及びませんマスター、自衛手段は幾らでも御座います。何ならこの街全部焼け野原にしておきますがいかが致しましょう』
「空で待機しといて」
『畏まりました』
俺のタクシーはそう言うと静かに空に浮かんでいって消えた。
「おい鈴木」
「何ですかサキさん」
「少し肩慣らしして来るからここで待ってろ、これ護身用の銃、引き金引きっぱなしで良いから。お前を襲ってきた奴に銃口向けておけば敵かどうかは銃が判断してくれるから気楽にな」
俺は壁を背にしてビームがでる拳銃を見る。
いきなりハードな事になっちゃったよ。
行き交う人をサキさんから渡されたサングラス越しに見る。
誰が何を所持してるかが個人単位で表示される。
歩く速度や方向でこの先何をしようとしてるのか予想されたデータも出てる。
ビクビクしながらサキさんを待ってると人の悲鳴が聞こえてきた。
俺はキャリングケースを護るようにして周りを見渡す。
パトカーが数台サキさんがいった方に走っていく。
サキさんはコンバットアーマーを付けていない。
不安がよぎるがサキさんの生命反応の色はグリーン、バッチリだ。
救急車が数台来た。
サキさんが警官と笑いながら話し込んでいるのが見えた。
肩慣らしは終わったようだ。
ギャングのアジトをこの後幾つか壊滅させて行くんだって。
サービスなんだそうだ、やっぱり脅し取ったお金って結構大きいんじゃないのかな。
アメリカ合衆国を敵にしちゃったんじゃないのかな、俺。