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怒り

キラリ視点です

腰を抜かした暴力集団は情けない声を上げながら暗闇の彼方へ走って行ってしまった。


「…キラリ大丈夫?」

「…う、うん。平気。慣れてるから…」


じっ…と暴力集団が走って行った方向を見つめるターニャ。

髪の毛に隠れて表情は見えない。


「帰ろっか。」

「うん。帰ったら治療魔法かけてあげる。」

「ありがと」


ニコッと笑顔を見せて手を繋ぐターニャ。

でも、その瞳の奥にはドロリと何か黒いものがうごめいていた気がする。

…怒ってるのかな。

心なしかいつもより握る手の力が強い気がする。


「ねぇターニャ…もしかして怒ってる?」

「…当たり前じゃん。ご主人傷つけられたんだよ?あるまじき行為だよ。」


いつもの明るい声はそこに無く…地を這うような低い声で喋るターニャ。

…ああ、やっぱり怒ってる。


私のことで怒ってる…


「ふふっ…」

「なんで笑ってるの?」

「だって、私のことで怒ってくれてるんだもん…嬉しくて…」


キョトンと真ん丸の瞳で私を見つめるターニャ。訳がわからないという顔をしている。


「…私、落ちこぼれで友達一人もいなくて…毎日いじめられてたから。先生にも見て見ぬ振りされて…。だからこんな風に私のことで怒ってくれる人なんていなかったからさ…」


私は一人だった。味方なんて誰もいなかった。

皆敵。いじめられてるのを知っていて見て見ぬ振りをした傍観者、私を見捨てた先生、私をいじめて遊んでた人…皆、皆敵だったのだ。


ふいに腰のあたりがぎゅっと締まる。


「…キラリは一人じゃない。二人で一人…ターニャとキラリで一人…だよ?」


グリグリと頭を私のお腹に押し付けながら洗脳するように話す。


「そうだね。私とターニャで一人だもんね。」


押し付けられる頭をそっと撫でた。

ターニャおこだね。

すごくおこだね。


暴力集団がこの後どうなったかは誰も知らない…

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