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都子ちゃんは晶君を嫁にしたい~女子力高い幼馴染が本当の女の子になっちゃった件~  作者: 雲雀湯@てんびん2026年アニメ化決定
番外編

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都子ちゃんと晶君はお買い物デートに挑戦したい


 夏休みも中頃のその日、あたしと晶は駅前までデートに出かけていた。


 デート。


 そう、晶と付き合い始めてからの初めてのデートなのだ。

 デートって行っても、ただの買い物なんだけどね。


 しかし、ただのデートと思うなかれ!

 なんと晶は男の子のままなのだ!


 ……男の娘になって貰ってはいるけれど。



「うぅ……さすがにこの恰好で外に出るの恥ずかしいよぅ」

「大丈夫! ちゃんと似合ってるから! 可愛いから!」

「そんないい笑顔で言われても、嬉しくないよ!」

「えぇ~、そう?」

「そんなもんなの!」



 ぷりぷりと、頬を可愛らしく膨らませながら抗議する。

 今日はショートボブのウィッグをつけて、夏らしい日焼けを気にしてか7分袖の水色のトップスに白のレースのロングスカート。


 腕も足も、もっと晒したほうが可愛いとは思うのだけれど、それは晶が嫌がった。


『ボク男だよ?! もしその……色々見えたりしたらどうするのさ!』


 それはもう、半ば泣き落としや強迫に近いお願いをしても首を縦に振らなかった。

 ていうか、そんな子供の様に駄々をこねるおばさんなんて見たくもなかった。

 おばさんってうちのお母さんと同い年だよね?!


 ともかく、それだけ恥ずかしいらしい。

 女の子になってる時は、別に気にせず着てくれるのにねー?


 なんでも骨格? それが、男と女で明らかに違うから、見る人が見れば一発でわかるからだとか。


 う~ん、どっちにしても可愛いし、似合ってると思うんだよね~。


 そんな事を思いながらにやにやと晶を見る。



「そ、そんな顔しても騙されないからね!」

「へ?」



 あらら、なんか知らないけどそっぽ向かれちゃった。

 だけどしっかりと手はぎゅうっと握っている。


 うむ、可愛い。

 あたしの()可愛い!


 みんなに(あたしの嫁)がこんなにも可愛いって自慢して回りたい!


 思わず顔がにやにやしちゃう。

 晶はそんなあたしを見て大きくため息。



「ほんと、惚れた方が負けだよね」

「ん? あきら何か言った?」

「べっつにー!」



 そんなわけで、やってきたのは駅前のショッピングモール。


 今日は買いたいものがあったのだ。


「本屋?」

「そそ。真琴ちゃんにお勧めしてもらった本が面白くて」


 だから続きが気になって買いに来たのだ。

 くぅ、見事布教に引っかかっちゃった感じ。

 でも面白い、ちょっと悔しい! わかるかなぁ?


「みやこちゃん、すっかり部長と仲良くなってるね」

「え、そう? んー、そうだね、真琴ちゃんとは親友だね」

「……いつの間にか名前で呼んでるし」

「ん?」


 あれ、なんか拗ねたような顔だ。

 もしかして……


「やきもち?」

「べ、べつに!」

「あれ、違った?」

「大体部長は女の子……だ……し……?」


 そして今の晶も、見た目は完全に女の子だった。


 ……


 え、えーと。


「あ、あんまり悩むと禿るよ?」

「悩ませてるの、みやこちゃんだよ!」


 怒られてしまった。


 だけどそんな顔も可愛いと思ってしまうくらい、あたしも晶にやられてしまっている。

 悩ましいのはこっちも同じなんだぞぅ!



 そういうわけで、一旦ここで別れて目当てのものを探しに行くことにした。

 晶も晶で欲しい本があるらしい。


 あたしはラノベコーナーとコミックスコーナーをうろちょろ。


 色とりどりの絵が目に飛び込んでくるのは、見ているだけでも楽しい。


 あ、今度これ買おうかな?

 その前に知ってるかどうか真琴ちゃんに聞いてみるのも……いや、一度くらいあたしの方から良いものを紹介したいってのも。


 ううーん、悩ましい!


 む、このポップの煽り文句にもびびっと来るものが……


 …………


 ……




  ◇  ◇  ◇  ◇




 は!


 思いっきり立ち読みしてしまった!

 最近真琴ちゃんに色んな種類の作品をお勧めされて、守備範囲が広くなってる気がする。


 晶はどこだろ?

 怒ってなきゃいいけど……



「そんな場所にいたってことは欲求不満なんだろう? 俺に付き合えよ」

「あの、ボクは別に……ッ」



 ……


 ははぁん、ナンパですな。

 うんうん可愛いもんね、その子。


 男の娘だけど!


 って、目を離した隙に何されてんの?!

 可愛いんだから危機感もってよね!


 いやでも男の状態だし……ぐぎぎぎ、あー、もう!


「ちょっ――」

「やめろ、困っているだろう?」

「なんだよ、テメェ!」

「――ッ?!」


 思わず晶の目の前に飛び出そうとしたその時、爽やかなイケメンさんがナンパ野郎に割って入っていた。


 沢村君だった。

 え、なにあれカッコいい。


 惚れちゃダメだぞ、晶!


「確かにあまりよろしくないエリアだが、人それぞれだろう?」

「いでででででで、離せって!」

「このまま去るんならな」

「――チッ!」


 そのまま晶を掴もうとしていた手を捻りあげた沢村君は、ナンパ野郎を退散させていた。

 あまりに鮮やかな手管で、あたしは見惚れてしまっていた。

 おかげで出るタイミングを逃してしまった。


「あんた大丈夫か?」

「ん、うん(こくこく)」

「このあたりの売り場はその……あまり宜しくないところだからな。気をつけて……ああ、悪いものが売っているっていうわけじゃない。俺も最近面白いものと出会ったというかその……はは、どうでもいいな。じゃ、俺はこれで」


 そして沢村君は、まるで言い訳するかのように早口で捲くし立てて去っていった。

 先ほどのナンパ野郎を追い払った態度と違って、余裕の無さが際立った感じだ。


 一体どうしたのだろう?


 それよりも、1人になった晶を放っておけない。

 またナンパされたら困るもんね。


「あきら!」

「みやこちゃん」

「大丈夫?」

「見てたんだ?」


 あはは、と笑って誤魔化す。

 ところでさっきのナンパ野郎も沢村君も、ここがあまりよろしくないとこ……って……


 はっはあぁん! なるほどね!


 そうかそうだったのか。

 あたりに陳列されている本を見て、あたしは納得した。


「あきらも男の()だったんだねぇ」

「ちょ、みやこちゃん!」


 そう、ここは世の紳士達がお世話になるちょっとエッチなコーナーだったのだ。


 うんうん、晶も女の子に興味があったんだねぇ。

 なんだかあたし感激しちゃったよ。


 実を言うと、一向にあたしとその、あまりそういうことをしたがる空気を出さないというか、まぁそれはあたしがちょっと照れてなかなかその、えっとなんだ、あれだ!

 ともかく、晶が女の子やってる時間も長いことがあって、そういう事に興味があることに安堵している部分があるのだ。


 我ながらなんだかその、色々めんどくさい奴である。


「違うから、みやこちゃん勘違いしてるから」

「大丈夫だよ、あきら。男の子ってそういうもんだってわかってるから!」

「そうじゃなくて!」

「……そんな可愛い顔して心は狼さんなんだねぇ」

「みやこちゃん!」

「え、興味ないの?」

「そ、そりゃあボクだって男だし……」

「隠さなくてもいいじゃん」

「も、もぅいいよ!」

「あ、待ってよあきら!」


 うぅぅ、と唸り声を上げる晶も可愛らしい。


 それにしても、晶もそういうことあたしと色々したいのかな?


 ……


 あ、だめだ。晶で頭の中が馬鹿になっていく。


 今度はあたしが顔を真っ赤にしながら、ひらひら翻る白いレースのスカートを追った。










『沢村君がNTRモノの紳士漫画を凝視しているのを見入っちゃってたとか、みやこちゃんに言えるわけないよ!』


 そんな晶の呟きは、都子に聞かれることはなかった。


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