4章 不安 一粒のクッキー
「それでは、夕方ごろに帰りますので、それまでゆっくりしててください」
ガチャと扉を開き、リティアは外へ出て行く。今日は、街で祭りがある。リティアはその祭りの運営があるので外出した。彼女は俺のことも誘ったが、俺は人が多いところは苦手だからといって家にいることにした。
それにしても、今日はとても過ごしやすい天気だ。太陽は出ていて、涼しい風が吹いている。
「天気いいし、どこか行こうかな。」
リティアには、行かないといってしまったが、少しの金を持ち、街へ出かけることにした。
やはり外に出たのは正解だった。家の中では少し熱気がこもっているような気がしたが、外ではそんなことは無かった。
本当は人混みは好きではないが、
「林檎あめー、林檎飴はいりませんかー?」
「美味しくて冷たいお茶いかがですかー?」
街では、個性豊かな可愛い服を着た売り子さんたちが、物を売っていた。
「あの、お茶一つください。」
「まいどーッ!!」
売り子さんがトテトテと歩きながらお茶を持ってくる。その姿はまるで人形みたいだった。
渡されたお茶は桃のような香りを放つ上品なものだった。それもひんやりと冷えていて、とても美味しくて、気づいた時にはカップの中には一滴も残っていなかった。
俺は、人混みから抜けたところの小さな広場へ向かった。中心には噴水があり、乾きめのこの空気を潤してくれていた。噴水の周りには、ベンチが並んでおり、そこには、見覚えのある少女が、小さな男の子と女の子と話しているのに気がついた。
「おねぇちゃん、これ、ぼくのお店で作ってるんだよ!たべてたべて!」
「ん!!美味しい!!」
「そぉ?よかったあ!」
「また、お店にも来てね!!」
そう言って、子供達は走り去っていく。
「リティア、今の子供達は?」
俺は、ベンチに座っていた少女の隣に座り、声をかけると、
「あ、ユートさん、いたんですか!」
「こんなに天気がいいからちょっと外に出たくてな。」
「あの子供達は私のおじさまが営まれているお店の子供達で、今私にお菓子を届けてくれたんですよ。」
差し出した袋には果実クッキーという、わかりやすい商品名が書いてあった。リティアが差し出してきたので、口の中へと入れると、口いっぱいに、美味しさが広がった。中にはドライフルーツが入っておりいかにも果実クッキーという感じがした。
「美味いな、」
「口にあってよかったです。まぁ私が作ってくれたわけではないんですけどね」そう言ってリティアは舌を出して微笑んだ。
「ふぅ、疲れた。」
家に着いた俺は、日もすっかり沈んで薄暗い自室で、ベッドに思い切り倒れこむ。
「………。」
そういえばリティアが家にいない。
もう日は暮れているのに、夕方には帰るといった少女は未だに帰ってこない。
「遅いな、リティア…」
何か嫌な予感がする。そうして俺は家の扉を開け、全速力で街へと向かった。
はいどうも、艶姫です。
今回の「絶望と勇気と決心と 逆転物語」縮めて「リバスト」はいかがでしたでしょうか。
今回は夏祭りです!!夏休みも近づいており、うちの近所の夏祭り、誰と行こうかなーと楽しみにしています。え?彼女?そこらへんは察してください笑。私女性と話さないです笑。
さて、後半からは物語が急展開します。次回、侑斗に起こるさらなる異変。
次回もお楽しみに!!!おやすみなさい。