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引きこもり勇者がダンジョンマスターになったら  作者: ニンニク07
第二章 魔王襲来編
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塔の秘密

「それでは、この塔について現時点で分かっていることをおさらいしよう」 


 塔から脱出した山賊達は、その後、二度の再突入を行った。未だに犠牲者はゼロだが、一階層目のゴブリン達の戦闘で傷つき疲弊した者もいたため、二階層目に進むことはためらっていた。


「現時点で分かっていることは、一度誰かが侵入すると、外部からも一定時間は塔の中に侵入できないこと、そして恐らくその時間と連動して、あの塔の中にいる魔物は復活するということです」


 元々学者志望だったため、山賊達の中で唯一、優れた分析能力を持つ魔法使いのガリが山賊達に自分の考えを報告する。


「また、恐らくですが、あの中にいるゴブリン達の中の特定の一体を倒すと、次の階層に進むことができる扉と外に出ることができる扉が現れると推測します」

「あの部屋は一体何なんだ?」


 山賊の一人がガリに質問する。


「分かりません。ただ、三回目の突入時にあの部屋がどこまで続いているか調べたのですが、ある程度進むと見えない壁のようなものに阻まれて先に進めませんでした。見えない壁の先も草原が続いているのに魔物はいませんでした。恐らく、実際は村くらいの広さの部屋を闇系統の幻術系の魔法で草原のように見せているだけかもしれません」

「外部から見た塔の大きさと、内部の広さが明らかに違うのはどう説明する?」


 その質問が来たかとガリは思ったが、その質問に対する答えを持っていなかったため、分かりませんとしか答えられない。自分達の中で最も博識な男が分からない以上あの塔は危険な建物なのではないかという不安が山賊達の中に芽生え始める。


「そういえば、モンスタースポットはどこかにあったか?噂じゃ、セレンを挟撃するために魔王が建てた前線基地という話だったはずだろう!」


 確かにそうだと、山賊達が騒ぎだす。


「僕も直に見たことはありませんが、魔王が生み出すモンスタースポットというのは、巨大な青い水晶の形をしているそうです。しかし、僕が見た限りあの草原にそんなものはありませんでした。誰かそのようなものを見た人はいませんでしたか?」


 誰かが手を上げるのかと期待したが、山賊は誰一人として手をあげない。


「これは僕の推測ですが、死んだ魔物が光の粒になって消滅したことと、二回目、三回目に数えた魔物の数が同じ九十六体だったことから、あの中で死んだ魔物は一旦ダンジョン内に吸収され時間を置いて復活するのではないでしょうか?」

「それじゃ、魔物の数は増えないじゃないか、魔王は何を考えているんだ」

「魔物の数が変わらないということは、この塔は戦力の増給のために建てられたものではないということです」

「じゃあ、何のために作られたんだよ」


 これを言うか悩んだが、ガリは言うことにする。


「僕達は魔王の前線基地という噂を鵜呑みにしてしまったのではないかと思います。本来ダンジョンというのは魔物を増強する場所ではありません。何かを守るためのものです。強力な魔法道具や財宝を」


 ガリの発言に山賊達が先程感じた不安は消し飛ぶ。アジトにするために来たのに、財宝があるという可能性が生まれたからだ。


「それなら、頑張らないとな」

「ああ、確かに何かを守っている可能性は十分にあるぜ」


 山賊達の士気が向上した。その姿を見て、財宝があるなら多少な危険があっても挑戦すべきだとリーダーのバズも判断を下す。


「よし、あの塔が何階層あるか分からないが、一階のはゴブリン達との戦いは大分慣れた。次の突入では、外部に出ず、上の階層を目指すぞ」


「「「「おう!!」」」」


 山賊達はその後、塔に突入、四回目のゴブリンとの戦闘を短時間で終わらせ、予想通りに現れた二つの扉の前に集合する。


「では、行くぞ」


 未知の場所に進む、これこそが冒険者の本懐だと、バズは久しく忘れていた冒険者魂を思い出していた。だが、彼らはまだ知らない、次の階には山賊達の思いもよらない絶望がいることを。





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