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引きこもり勇者がダンジョンマスターになったら  作者: ニンニク07
第六章  冒険者編
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魔王軍三公爵

 帝国領南部、ブルゼ地方、最大都市アルミ


 かつて帝国が滅ぼした小国ブルゼ王国の王都があった街アルミに、第三魔王ルキフグスは本拠地を置いていた。


 十年前から、日本の四国ほどの面積を持つブルゼ地方を占領しているルキフグスは、この地に住んでいた五十万もの人間達を皆殺しにすると、モンスタースポットで生み出した魔物のための国作りを開始した。


 そして、今、人間にとって代わり魔物が蔓延る都市の王城に、魔王ルキフグスは自身の忠実な配下である三人幹部達を招集していた。


「ルキフグス様、三公爵ここに参陣致しました!」

「うむ、良く来た」


 玉座に腰かけるルキフグスの前には、三人の上級悪魔が頭を垂れていた。


「良い顔を上げろ!」

「「「はっ」」」


 ルキフグスが顔を上げることを許すと、三人は顔上げ、自身の主の尊顔を拝した。


「ウィハッハッーー!! それで、ルキフグス様今回はどういった要件で?」


 一番最初に大声を上げて尋ねたのは、三人の中で最も体の大きい悪魔、撃滅卿のベリアルだ。


「ベリアルあんた声が大きい、うるさいからもっと小さく喋って!」


 そのベリアルを注意するのは、赤いドレスと金髪縦ロールが特徴的な少女、殲滅卿のガアプだ。


「相変わらずだな、お前達は、アザゼル此度の招集の説明をしてやれ!」

「はっ、我が主!」


 ルキフグスは愉快そうに笑うと、参列していていた最後の一人に立つことを許した。この執事服を着ている壮年の男こそ、ルキフグスの最側近である撲滅卿のアザゼルだ。


 アザゼル、ガアプ、ベリアル、この三人こそ、魔王級の実力を持つルキフグス自慢臣下で、三公爵と呼ばれる者達だ。


「さて、二人とも知っているかもしれないが、現在我が領地を奪い取ろうと、国境付近に多数の人間共が集まっている。その数およそ二十万。今日の招集はこの虫けら共への対処についてだ」


 ベリアルとガアプは何も言わない。二人とも状況が分かっているからだ。


「アザゼルよ、我が方の戦力は?」

「はっ! 我が軍の兵数はおよそ十万ほど、そのほとんどが下位の魔物なので、質の面ではほぼ互角と思います」

「聞いての通りだ諸君! 我々は通常戦力では敵の半分にも満たない、この状況をどう打開する?」


 質問を投げかけられたベリアルとガアプは、主に対して、人が悪いと思った。何故なら答えはすでに出ているからだ。


「我々が赴いて敵を粉砕すれば問題ないでしょう」

「ああ、その通りだ」


 自身が思っているのと同じ答えが返ってきてルキフグスはニヤリと笑った。


「正解だ! アザゼル、具体的な指示をくれてやれ!」

「はっ! 敵は軍を三つに分けて、三方向からここアルミを目指すようです。ですので、我々も三つに分かれます。ベリアルは渓谷から来る敵を、ガアプは草原から来る敵を、そして私は湿地帯から来る敵を相手にしますが、問題は?」


 それで、問題ないと二人が頷いたので、アザゼルはガアプに注意事項を述べた。


「それとガアプ、貴公が相手にする軍の中に例の技術で作られた兵器を所持している者達が多数おる。故にこれを渡しておく、使い方は知っているだろう?」


 アザゼルは、ガアプに銀色のメダルのようなものを渡した。


「ふっ、ついにこれを使う時が来たか!」


 受け取ったガアプは感慨深いものを感じながら、ポケットにしまった。一通りの説明が終わったのを確認したルキフグスはアザゼルに促した。


「アザゼル、そろそろ行かなければまずいだろう?」

「はっ! ではこれより、出立いたします」


 アザゼルは一礼すると、背を向けてその場を退席しようとした。敵が来るまでまだ多少の時間があるというのに、アザゼルがどこに行くのか気になったベリアルが尋ねた。


「おい!アザゼル、戦はまだだろう? どこへ行くつもりだ!」

「貴公らと違って執事には山ほど仕事があるのだよ」


 アザゼルは面倒くさそうな顔で、そう言い残し、一足先に退出して、そのままアルミの街を出て行った。 


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