神界での日常 4
「ふう~ん。そうなんだ。それより、セレーナ?」
「なに?」
「ひょっとして僕が部屋に来る前、家族の事とか考えてた?」
「!?」
「やっぱり?なんか目がウルウルしてたんだよね。僕たちには家族がいないからよくわからないけど、寂しいこととかない?」
「……ううん、みんな優しくしてくれるし楽しいこといっぱいあるもん。でもたまにお父様たちのことを考えるとちょっと暗い気持ちになる。おかしいよね……」
「そんなことないよ」
「…え?」
シエータはときどき見せるとても優しい笑顔をしながら、私の頭をなでていた。
「そんなことない。僕たちは今までたくさんの生き物を見てきたけど、生き物たちにとって家族って存在はとても特別なものだって思った。特に人間はね、愛ってものがあるぶん複雑なんだよ」
「そうなの?」
「そう。だから僕たちはね、せめて家族の代わりを務めるために、君を守らなきゃいけないと思うんだ。」
「…?守る?」
「うん。セレーナの名前にダイヤモンドっていう宝石の名前が入ってる理由知ってる?」
「ううん」
「それはね、君が生まれたときお祝いとしてその宝石をセレーナの守護宝石とすることで、宝石の力が加護となって守ってくれるようにしたからなんだ。君がつけてる腕輪と首飾りは特に僕があげたものだから、加護が強いはずだよ。君のお父さんはそのことを示すために名前に入れたんだ」
「……えーと」
うーん。つまり…
「よくわからないけど、シエータがずっと守ってくれてるってこと?」
「そう。まあその時は家族代わりになるなんて思ってなかったけどね。でも我ながらいいプレゼントしたと思ってるよ。…ただ、できればセレーナをその寂しさからも、孤独からも守ってあげたいんだ。だから辛くなったらすぐに言ってね」
「ありがとう、シエータ。でも大丈夫。ここにはみんながいるから。だから辛くなんてないし、幸せだよ」
「そうか。それなら良かった。それじゃあお休み」
シエータはそう言ってもう一度私の頭を優しくなでると、そっとベッドから降りて私の部屋から出て行った。