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英雄王の娘  作者: 猫にゃんにゃん
始まりの話
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プロローグ


注! 度々文章を推敲し直しているため、前回と比べて多少違うということがあるかと思いますが、内容自体に大きな変更点はありません。

 東西に長く伸びるローヴァス大陸。その東西南北それぞれの端には一つずつの大国と、取り囲むように個々の特色豊かな小国達が存在していた。しかしその一方大陸中央はいまだ未開の地で、鬱蒼とした熱帯雨林が広がっている。

 

 この世界は創世神により今から約20億年前に創られた。他の世界より比較的新しいこの世界は、好奇心の強い神とその使徒によってありとあらゆる手を加えられることによって、億を超えるほどの種の生物が、生まれ、形を変え、繁栄し、または絶滅しながら急速に変化してゆく。そして自ら過去現在問わず様々な知識を得て全知全能にし、その行く末さえ手中に収めたいと願う欲深き生物が生まれたことで彼らは手を止める。神はそれが持つ限りなき可能性に心惹かれ、自らが手を加えずにどのように生きてゆくのか見守ろうと心に決めて、傍観することにしたのだった。



 


 


 しかしある時、彼らにも予想外の出来事が起こる。この世界では到底あり得ない強大な力が突然生まれたのだ。急いでその原因を究明してみると、どうやら他の世界で生を重ねるはずだったある魂が、強い負の力を発しながら死したために変質し、時空を曲げてこちら側に来てしまったらしい。確かに稀にそういったことが起きることも有るらしいが、他の世界にまで影響を及ぼす前に管理する神たちが普通対処するので、はっきり言って向こうの者達の責任である。このことは後できっちり弁明してもらわねばと思う傍ら、はてさてこちらとしてもきちんと対処しなければならない。


 しかしながら神たちは困窮した。実はそれぞれの創世神が生み出した『創造物』が内包している力は全く別の物のため干渉するのが難しく、時空を曲げて世界を超えられるほどの魂を取り去るのは容易なことではなかったからだ。無論そうは言ってもその気になればいつでもできるのだが、その場合世界に与える影響は小さくでは済まないのだ。最悪の場合、この世界に住む総ての生物が死滅する可能性すらあった。

 

 そこで神たちはある決断をする。この対処をこの世界に住む人間たちに託すことにしたのだ。彼らならばその無限の可能性を駆使してこの苦境を乗り越えることができるかもしれない。そしてこの危機を乗り越えることで新たな進化を遂げ、自分たちが想像も出来なかった未知なるものへと変貌してくれるかもしれない。そんな望みと僅かな期待に懸けたのである。それから神たちはせめて自分たちにできることはと考え、ひとつの人間の魂に可能な限りの才能と加護を与え世に送り出す。これこそが後に英雄王と称えられる人物の魂だった。

 

 結果から言えばその試みは成功した。神たちによって力を与えられた人物を中心に力を合わせ、激闘の末にその魂(世では魔王と呼ばれた)を見事倒したのだ。これにより世界の危機は潰えて平穏が戻ったのだ。




 数年後、英雄王の国ルスティカーナ王国に王女が生まれる。それは大変に可愛らしく神々しいまでの美貌を持った女子だった。そしてこの吉報に王国の皆が歓喜しお祝いした。また神たちも唯一直接話せる英雄王に祝いの言葉と品を贈った。


 しかし、喜びもつかの間、その子供にとても不思議なことが次々判明した。なんと、人としてはまずありえないほどに膨大な魔力を持ち、全ての属性魔法の上級適性を持っていたのだ。さらに神が視たところほかにも多彩な才能を有していることが分かった。


 このことを知った英雄王たちはまず彼女が膨大な魔力を暴走させることを危惧し、そしてこの秘密を多くの人々が知ることでその命が危険にさらされる可能性があることを考えた。一方神たちとしても、自分らが与えた訳でもなく世界全体に影響を及ぼしうる力を持った幼子に興味を引かれた。そこで彼らは英雄王たちに彼女が成長するまでの間面倒を見ることを提案したのである。


 当然王たちは初めこの提案に異を唱えたが、自分たちの手ではどうにも出来ない事態も生じ、その無力さからそれが最善であると考えを改める。


 そして彼女が1歳の誕生日を迎える晩、神に彼女の身柄を預けて世の混乱を抑えるため、この世界で生きていたことを証明するすべてを封印して貰ったのだった。


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