第三話『変身』
ルテンの剣
第三話『変身』
「…さん、…嬢さん!」
ちょろちょろと水が流れる音とともに少し高い小気味のよい男性の声が聞こえる。
誰かいるのかな、と思いノアは目を開けると薄暗の中光る宝石…いやこれは!?
「け、け剣が浮いてる!!」
「良かった、気が付いたようっすね。」
「てか、しゃべったぁ!!」
さっきの剣で間違えない!特徴のある青い宝石、しかし今は暗闇を照らすようにちかちか光っている。
「いや、危なかった一か八かでしたねえ。しかも私の力に耐える人がいたとは、普通の人ならアイスバーグの民のようによほど魔力を保持してない限り、大抵死んじゃうんですけどね。」
魔力?大抵死ぬ?何のことを言ってるか分からないけれど今は何が起こったのかこの変てこな剣に聞かなくては…!
「あの、変てこな剣さん!」
「いや、変てこな剣って名前じゃないです。失礼な。
ってか最初に礼を欲しいものですね、あなたの命救ったんっすから」
「え?なんかしたの?あ、その前にボクはノア!君の名前教えてよ!」
「本当礼儀がなってないっすね…これでも私何千年もの歴史を歩んできたものなのですが…
でも自分から名を名乗るのはいいことですね、私の名前はカエサル。
そしてここ重要!あなたの思いに応えて私の力を授け命を救った恩人っす。それで私が授けた力っつーのは」
カエサルの声は不思議なことに頭に直接響く、よく口がないのにしゃべるもんだなあ、と思いながら聞いている
とノアは自分の聞きたかったことを思い出した。
「ねえねえ、カエサル!ボクさっきまで倉庫にいたんだけど、ここどこ?
もしかして地下水道?あ、分かった!カエサルがここまで運んでくれたんでしょ!」
「おい、人の話は最後まで聞けってエサの待てねえイヌか、ってんすよ。
ちがうんす、ノア嬢さんがその力でここまで来たんすよ。」
「へえ、すごいねえ!でどうやったの!?」
「おお、話のノリがいい女子は嫌いじゃねえ。実は嬢さん、あんたスライムってか液状化してえなって思いませんした?」
「ええとどうだったかなぁ、なんか熱で倒れたような気はしたけど…」
少し記憶を整理してみるとすごい熱が出た後、体がだんだん溶けていく感じがしてそれと同時に周りにいた騎士が驚きの表情を浮かべていたのを思い出した。
「あ!周りの騎士の人たちが驚いてたけどあの時にボク、スライムになってたってこと!?」
「ええ、まあ、スライムというよりは水に近いもんですけど」
「ぷるぷる、ボク悪いスライムじゃないよ!…、えへへごめん言ってみたかっただけ続けて」
ノアはふにゃっと笑った。
「で、私の力は想いに合わせてイメージした姿に変身させられるんすよ、ただ本人の顔立ちとかは変わらないので多分彼らにとっては人型のスライムに見えたでしょうね。
これだけならただの出来のいいコスプレになっちゃうんすけど、持ち主の想いが強ければさらにそのイメージしたものの力を使えるんす、例えばさっきみたいに人型のスライムってだけでなく体の形を自由に変化させ、排水口に落っこちてここまで至ったこととか。」
「ああ、よくわかんないけれど、ボクはスライムに変身して落っこちたんだね!」
「はい、物覚えが悪そうなので簡単に言うとイメージしたものになりきれるご都合主義的な魔法の剣と考えていただければ」
「むう、なんかバカにされた気がする!」
しかしカエサルの言うことが本当だったらボクはすごいものを盗んだことになってるのかもしれない。
「あ、ノア嬢さん!これからど…?」
再びカエサルが話しかけてきた途中であったが、先ほどから気になっていたことを指摘する。
「カエサル、ボク女の子じゃないよ!」
「だから人の話を最後まで…って、え!?おま、野郎なん!?」
浮いていた剣は人でいうずっこけだろうか、地面にそのまま落下してぶつかると地面を引きずりながらこっち
から少し距離を置いた。
「私の力をつかえるのは成人に至っていない少女だけなのに!!」
「ええとね、実際の話男でもないんだけど…てか何その条件。」
読んでくださりありがとうございます!
今回は第三話を投稿させていただきました。
第三話では新しい主要な登場キャラ、カエサルが登場しました。
見た目が剣で毒をよく吐くキャラですが割と他にも登場するキャラの中では見た目に反し常識人な方の人です。
物語の序盤において危なっかしいノアの子守り役という役割を担っています。
変身に関してですが、まだここでは説明が不十分な点もあり追々物語が進むにつれ解説が入る予定です。
ここでですが前回お話した登場キャラについての解説を入れたいなと思います。
ノア・レイルス
15歳 身長160cm
容姿に関しては肩にかかる位の金髪に少し近い明るい色の茶色でまっすぐな髪に淡い青い瞳と中立的な顔で小柄な体形です。
性別は次回本人から少しばかり説明がありますが不明というか詳しくわかっておりません。
ですが本人は碧眼の勇者に憧れて自称男としています。
レイルス家の中で唯一少年の使用人です。
性格は基本無邪気で活発な子ですが使用人としての仕事ではミスが多かったり精神的に未熟だったりという面があります。
ソフィア・レイルス
18歳 身長163㎝
髪はノアと同じ色で腰までかかる長いストレートな髪にグレー色の瞳と整っている顔ですが表情がすぐ顔に出る弟のノアとは対照的に全く表情の変化がなく感情表現をほとんどしないため何を考えてるか分かりにくい雰囲気です。
ノアと同じ使用人のメイドとして働いていますが対照的に言われた仕事を確実にこなしますがノアが姉に思っているイメージとは違い言われた仕事のみしかこなさないので主人からはあまりよく思われていません。
カエサル
刃渡り60㎝程、重さ1㎏弱
柄に青い宝石がはめ込まれた茶色に近く錆びたオンボロの剣で刃こぼれしていて相手を斬ることはできません。
基本意識はあるときはその柄の宝石が微かに青く光っているためこちらが本体であると思われます。
この剣自体はノアに使われる前は眠りについていたようですが自分で浮いて勝手に移動したり相手の脳に直接響くテレパシーのようなものを使って会話できたりします。
基本的な性格や喋り方から皮肉気味で毒をよく吐き、あまり印象は良くないですがもしもの時は融通はかなり効く性格です。
描写は上手くできませんでしたが変身した際にその剣が持ち主に吸い込まれる形で変身しその変身後の姿の体の一部に必ずカエサルの本体である宝石が付いています。
今回は後がきがかなり長くなってしまいましたが登場人物に対してイメージが膨らみましたら幸いです。
物語に対しての感想や質問、誤字脱字等などがございましたらお願いします。
最後に次回の更新は2,3日後を予定しております。




