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ルテンの剣  作者: 刺身
第一章 『冒険の始まり』
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第十二話(最終話前半)『アイスバーグ城』

第十二話(最終話前半)『アイスバーグ城』


あの子はカエサルと出会う前までのボクと同じだ。

ボクは物心ついたときからカエサルと出会うまで一度も外へ出たことはなかった。

そんなボクにとってご主人様の話や何度も読んだ碧眼の勇者のお話がボクにとっての外の世界を知ることのできるものだったんだ。

初めて外に出た時の感動は今も忘れられない。

まだボクは外に出てほとんど時間はなかったけれど外に出てからボクはまだ自分の知らないことがたくさんあるのに気が付いたんだ。

その子も同じように外の世界を本で知って憧れを抱いてる。

確かにその少女を放っておくことはさっきカエサルの言った通りの理由で救いたいと思う。

でもそれ以上にボクはその子の思いを叶えてあげたいんだ。



ノアは気が付き、目を開けると壁や床が石のレンガででできた小さな部屋にいるのに気が付いた。円形の部屋で丁度目の前にガラスの無い窓が見え、視線を床に向けるとその付近に下の方につながる階段が見えた。

他には何も置いていない。


「ノア、気が付いたっすか?…あのくそじじい、いきなり転移魔法なんか使いやがって…」


体を起こそうとするともう聞き慣れたいつものカエサルの悪態が聞こえる。体を完全に起こすと顔に光が辺り、目の上に手をかざすと見事に白い光を放つ、綺麗な満月が見えた。


「転移魔法…?」


寝ぼけた声でカエサルの言ったことをオウム返しして立ち上がり辺りの壁を触ってみる。

すると下の方からガシャガシャというレイルス家の倉庫で聞いたことのある嫌な音。


『おい!上で大きな物音がしたぞ!まさか、予告した当日の日に来るとは』


『もう来たというのか?紅狐!このアイスバーグ城に足を踏み入れるとは万死に値する!

見つけ次第殺してでも捕まえろ!』


「アイスバーグ城?…紅狐?どういう事なんだろ?」


「紅狐については知らないっすけど、多分じいさんが転移魔法で私たちをアイスバーグ城まで飛ばしたんでしょう。」


「転移、魔法…!?、ってことは!アイスバーグの人たちが使う魔法なんだね!

 わあ!すごいよ…!ホントにこんなことができるんなんてさ!!」


ボクはご主人様から聞いていたアイスバーグの魔法というものを経験したんだ!

さっきまでイーストから出た船に乗っていたっていうのに気が付いたらいつの間にか向かおうとしてた、アイスバーグにしかも王国の城らしき場所まで来るなんてさ!


そう目を輝かせて興奮するノアにカエサルは冷静に、ノアに落ち着くように言った後憎まれ口をたたきながらこう言った。


「まあ、魔法何てあんた変身で経験してるじゃないですか何をいまさら…っていうより、もう騎士の方がここまで上がってくるんじゃないですかねえ

…さてノアどうします?」


「え?」


ノアは辺りを見回すとやはり円形に囲まれた石のレンガの中に大きくそのまま外に出れそうな窓と下へと続く階段しかここから外へつながってる物はない…

地下水道から出た時みたいに鳥がいてそれを見てハーピーに変身できればこの窓から外へ飛べる…!

と思っているとその心を見透かしたかのように


「今、ここら辺に鳥がいればそれを見てまた変身できるとか思ってませんか?」


「!?」


「図星っすね、ですがそこが見なくても可能なんですよ、お客さん…!

一度変身したものならその最初に変身した時ほどの魔力は使いませんし体への負担が減りませんし、その変身した時の感覚さえ覚えてれば今のあなたの魔力だと5分間の制限時間の間だけ今まで変身したものになれます。

ただ、その時間が過ぎると強制的に解除されてその後同じく5分変身できなくなる欠点がありますけどね。

ただノア、最後にあなたの決意が聞きたい。

ですが一度暴走してしまった場合すぐに変身した場合心に不安や迷いがあればまた再び暴走してしまいます。

今度は元に戻れたりとかいう保証ってかハーピー状態なら事故って死ぬっていう確率もかなり高いですし、元の状態に戻れるってことはないって考えてください。

その上であなたは変身するのですか?」


「ボクは…」


ボクはハーピーになって暴走したことを断片的だが思い出した。ご主人様に捨てられ、命を狙われ、帰る家もない…だが、外に出てそんなボクに対してヴェル兄さんに助けてもらった。

今度はボクがその子を助けてあげたい外にはそんな人もいるし何よりハーピーに変身した時目の前に広がった地平線、その風景!

ボクはその素晴らしさを知ってほしい!そしてボク自身もそれをもっと知りたいんだ!


「迷う事なんて何もないよ!」


「ふ…、聞いた私がバカでしたよ…さあ、強くあんときの感覚を思い出してください。あなたの気持ちに俺自身が応えるっすから」


カエサルは少し笑って緊張をほぐした後強い声でそう言った。

そしてボクは目を閉じ、ハーピーになって感じたあの素晴らしい解放感とともになる際に感じた体の浮く感覚を意識した。

体が浮き、そして離れていく地面、その感覚を思い出したとたん服は羽毛に代わり手も羽に包まれ体が一気に軽くなった!

そして窓から身を乗り出すとあの時自分の部屋から飛び出したあの時よりもさらに強く壁を蹴り両手を広げ外へ向かい一気に上空へと飛び出した!


読んでくださりありがとうございます!

最終話、前半部を投稿させていただきました!

いきなり最終回とタイトルに表記しましたが何章か分ける予定です。


※ややこしい表現を避けるため最初の話を序章と表記しましたがプロローグと変更させていただきます。


次回はやっとこの物語におけるヒロインが登場します!お楽しみに!(遅


最後に最終話後半の更新は4日後前後を予定しております。

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