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ルテンの剣  作者: 刺身
第一章 『冒険の始まり』
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第十一話『生気のないメイドと胡散臭い老人の頼み』

第十一話『生気のないメイドと胡散臭い老人の頼み』


その頃、ノアが去って行った後のレイルスの屋敷にて…


「ご主人様、紅茶を持ってまいりました…」


生気のない表情で奥の部屋に置かれた蝋燭の明かりを頼りに地下の階段を下りるメイドの女性、ノアの姉である。

ソフィア。主人であるレイルスの部屋をノックし入れという低い返事で許可を得て彼の怪しげな部屋に入る。

蝋燭の明かりで辺りが照らされ広い部屋に複数の大きな機械が複数並んでいて床にはコードがいくつも散らかっていた。そのうちいくつかの機械の中には大きなガラスのケースの中に薄い水色の液体が入っていて何人かの人が入っているのが見える…。


もう見慣れたものであったがただその場にそれが置いてあるだけであって私はそれがどういったものかに関しては何を思うという事はない。

ただ今は定期にこうして紅茶と菓子を持っていくという指示をこなす。


「そこへ置け」


部屋中心に置かれた長テーブルの上に様々な資料を広げ、近くの椅子に座っている男性は腕と腕を組んでこちらを振り返り、資料の置かれていない位置に置くよう顎でしゃくった。ソフィアは無言のまま、その指示された位置にカップを置く。するとご主人様の目がこちらへ向いてるのがわかった。

細身で小柄な体で今は貴族服ではなく研究者が着るような白衣、薄くなった白髪の髪に銀縁の眼鏡から光る瞳、そして厳格な表情をこちらに向けている。

本来笑顔を振りまき、気品のある服を着て弟のノアに接していた彼であったが私とだけ接するときはこの姿であった。

すると不意にわなわなと肩を震わせ椅子から立ち上がるとご主人様は私の頬を拳で殴った。


「なぜお前は弟のノアと同じように笑顔を見せない!なぜ求められなければ返事をしない…!

どうか言ったらどうだ!?」


「申し訳ありません」


かなり鈍い音をしたが顔の位置は全く変化なく頬に拳がめり込んだだけであった。

拳を降ろしたレイルスは狼狽し、こけた頬と目のクマが際立った。


「もういい、下がれ。」


私はそのまま求められた返事をすると彼の拳から血が出ているのに気付いたがご主人様の命令が出るまで何をすべきかは分からない。

そのままご主人様の目を見て次の指示を待っていると戻って事前に言われたことをするよう指示が出されたので私は持ち場へ戻り再び指示通りに動くとする。



開いた部屋を見つけるとスミスと名乗った老人は船乗りに何か話し、ノア達を部屋に招き入れた。

俺、始終ノアが船にはしゃいでうるさかったがカエサルはこの胡散臭いじいさんに対して目のない目でじっと見ていた。

ヴェルという男から別れてからかなり時間がたっていたのか、窓から夕陽が差しこの老人に当たる。


明らかに何かの権力を持っているのは確かだ。ここは様子を見てみるか…


「おじいさんありがとう!」


「な~に、お嬢さんも何か事情があったんじゃろう。」


「ボクは実際女性ではないんだ、男性でもないらしいけど…」


くそう、あのバカ俺が喋れないというのにぺらぺらと…!

だがあいつなりに今まで起きたことについては触れてないな


ノアから自分の体についての話を聞いたじいさんは何か確認を取るかのようにノアをじっと見ると頷き、何か納得がいったようだ。

その上で俺から見たら明らかにオーバーなリアクションを取った。


「おお!何という事じゃ!それはすまないことをしたのう…ノア、その剣カエサルという意思をもった者ものといい何か事情があるのは確かなようじゃ」


「なぜ私の正体を…!」


「やけにその少年がその剣に向かってカエサルというのでな、まあ本当に喋るのか試してみたという訳じゃ」


上手く乗せてきやがった…!ならここは単刀直入にいくしかない


「何が目的っすかねえ…?私たちに手をかそうだなんて。こっちはうちのバカがぺらぺら喋ったんっすからそっちも素性、少なくとも目的だけでも教えてもらわないと釣り合いませんよねえ、それにお父さんって設定はかなり無理があると思うんすけど」


「だからバカって言わないでよ!ひのきの棒と同じくらいの殺傷能力しかなさそうなオンボロ剣のくせに!」


「ひのきの棒よりは重いし鈍器として使えるわ!…というかなんでよりによって、ひのきの棒っすかね」


俺がこのアホを嗜めるとじいさんは後者の質問に腹を立てたのかそれを怒った後急に声のトーンを変えた。


「ワシだってなあ、若く見られたいんじゃわい!悪いか!ひのき棒!

…ワシは救ってもらいたい少女がいてのう。

アイスバーグにおるんじゃが丁度主らがいくところじゃろ?…、それで丁度いいと思ってのう

その少女かわいそうなことに外に一度も出たことがなくてずっと本を読んでいては外の世界に憧れを抱いておるのだが、周りの環境がそれを許さなくてのう…、いつしか少女を最後に見たときには半分目が死んでおったわい…

もう半分は外への希望が残っているんじゃろうなあ…、ワシは主らにそやつを外の世界へ連れ立ってほしいんじゃ。

このままじゃとあの子はいつ気がおかしくなってもおかしくはない」


「だってさひのき棒、あれ?ひのきの棒だったっけ…、でもその子本当に可哀そう…」


俺はそのノアの話を受け流し、そのじいさんの頼みに対し応答した。


「アンタとその人の関係はどうなのかは分からないがこれから俺たちがどう行動してその案件を解決するかあんたじゃなくてなぜ私たちがしなくてはならないのか、それを聞きたい。

でなければ…」


明らかにどういった事情なのかは見当もつかないし、この老人に対し疑問が募るばかりであるという事を言おうとした時だった。


「ボクは…その子を助けたい!」


何を言ってるんだ?まだこの案件について全く分かっていないんだぞ、それにこの老人が信じるかどうかに値も

するかもわかっていない!…迂闊だ!と言おうとしたがノアは続ける


「カエサル、会ってから振り回してごめんね…でもボクは女の子に間違えられることも多いし実際に男でないけどボクはあの憧れた碧眼の勇者に出てくる勇者みたいな男になりたいんだ!

もしボク達がその女の子を助けられるのなら、ボクは助けたい!

辛い思いをしている女の子を助けない勇者は…いや男は、男でもなんでもない!

カエサル、お願い手を貸して!」


「…。」


俺はつい黙ってしまった。言ってることは無茶苦茶であるし、明らかに子供のわがままだ。

だがこのノアのその子への感情が高ぶり涙ぐんだ目は今まで出会った所有者の中で誰よりもまっすぐで今まで見せてきた緩い雰囲気とは全く違うはっきりとした決意が見られた。


「分かった、力貸してやるっすよ…貸してやりますよ!

アンタの悪運としぶとさは今までので分かってるんで多少何があっても行けるでしょうしね。

ただまず私たちが何をするかだけを教えてくれないっすか?」


「じゃあ、おぬしら目をつぶれい!そしたら気が付いた先で窓から見える月とは反対方向の塔へと行き最上部へと侵入するのじゃ!

カエサル、お前の力があれば行けるはずじゃ、それじゃあいくぞ!目をつぶれい!」


「な、なぜ私の…!それに!?」


力を知っているのか?そして唐突に言われたことが理解できないとまた俺は言おうとしたがさえぎられてしまった。

急に視界が光に包まれたからだ!

まだ全く意味の分からない状態で俺は意識が飛ぶのを感じた。





読んでくださりありがとうございます!

おかげさまで初投稿から1か月が経ちました!


感想、誤字指摘等がございましたらよろしくお願いいたします。


では、次回の更新は3日前後を予定しております。

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