第十話『胡散臭い老人』
第十話『胡散臭い老人』
「すごいね!ねね!あれがお店ってやつなのかな!あっちには船があるよ!本物は初めて見た!!でかいねえ!」
「わ、うるさ!周りの人が見てるんで落ち着けこのバカ、しかし思ったより小さい町っすねえ、それよりも先に船着き場で券を買いに行きましょう」
「バカって酷いよお…」
カエサル曰く港は小さいらしく見た感じ宿屋とお土産屋と書かれたお店、そしてすぐ先に大きな倉庫があってそれと船着き場が隣接していた。
その船着場から首都行きらしい馬車へ乗る人達が数人の人たちが大きな声で独り言を喋ってはしゃいでいる顔立ちから少女か服から少年か見分けのつかない子供、ノアを横目ですれ違いざまにちらっと見ていた。
そのなかで一人の地味なローブと古びた帽子をかぶった白髪の老人が立ち止まりその子をまじまじと見る。
「ふぉっふぉっふぉ、あの女の子…、可愛いのう…じゃなかった、迷子なのかな?しかしあの容姿どこかで見たことがあるはてさて何となく放っとけない、道でも聞かれるまで後をついていこう
いやこれはストーカーではあるまい!フェミニストとしてのワシのやらざる負えん使命じゃ!
こうしてはおれんぞ…!」
その老人は左目に眼帯をつけていて残った右目を細めると何かぶつぶつ独り言を言い、馬車へ乗ろうとしている。
人たちの集団から外れる。
「田舎から来たような子もそうだけど、それよりあのさっきからあそこ爺さん危なそうじゃね?」
「あの、いやらしい表情ヤベえなあ、これは騎士か警備兵を呼ぶしか…。」
「うるさいわい!…ワシは親切心からモノを言ってるのじゃクソガキども、黙っておれい!」
折角その子供を気にかけていたのにその寛大な心を理解しない青二才どもに一喝するとスト、いや観察…違うのう…それじゃ聞こえが悪い、心配になって、既に距離は離れたがその子の後をつけることにした。
「ええ!お兄さん!ボクアイスバーグ行きたいんだけど!」
今これから出港しようとしているアイスバーグの船の前にダダをこねるように隣で鳴く海鳥と同じくらいの声の高さで声を張り上げる声がした。
その声の主である男女の区別がつかない子供がいる。
ノアである。
ノアは船乗りの青年に乗るのを制止されていた。
「ダメですよ!ちゃんと手続しないと、それに君船に乗るにはお金が必要だよ。
キミのご両親、親はいるのかい?」
「ええとボクの親はいなくて代わりに」
「しっ!バカ!それを言ったら正体がばれるだろうが!それについさっき国内への船がついたばかりで次の出港まで数日かかるとは…。
やっぱ複数ある首都に近い港でもここが一番寂れてるっスねえ、しかも実はノアは金を持っていなかったという始末。これはどうすれば…」
「あ、またバカって言った!カエサルのいじわる!ボクすねてやる!」
「ああ、なんか他に誰もいないのに声が聞こえたような…、まあ確かにこれからアイスバーグ行きの船は出航するんだけれどもキミは手続きした書類を持ち合わせていないからねえ、乗せるわけにはいかないんだよ。
さあ、分かったら帰ってもらえるかい?そろそろ船が出港する時間なんだ。みんなを待たせてる」
ノア達はやっと船着き場についてさて船に乗ろうかと思ったその矢先出鼻をくじかれてしまった。
ボク自身アイスバーグの手続きは勿論していなかったけれど、部屋から出る際お金を持ってきてなかった。
というよりもまず外出ることなんてなかったからご主人様にお金なんてもらったことなかったんだよね。
でもどうしようこのまま待ってたら騎士の人に捕まっちゃうかもしれないしまだヴェルお兄さんの追手の人たちが来るかもしれない…困ったなあ。
って思ったその瞬間だった
「待てい!そこの若僧!」
しわがれた声であったがその声には芯があり、思わず振り向くとそこには細身のこげ茶色の古びたローブを着た。
老人がキセルを吹きながらこちらをゆっくり歩いてきた。
髪はくしゃくしゃとした長い白髪と同じく白の無精髭、左目には眼帯をつけもう片方の右目は淡い青色の瞳でキ
ッと青年をにらんでいた。
「これを」
「む?…、これは!?」
そのままノアを通り過ぎると船員の青年の前に立ち一枚の紙を渡す。
それを渡された彼は目を見開きその内容をじっと読んでいた。
何を渡されたのかな…?とじっとその紙を見ていると不意にその老人と目が合った
…?どこかで見たことがある気がする?
知り合いかな?それにしてもこんなお客さん見たことないし、外に出たこともなかったから通りすがりでちらと見たわけでもなさそうなのになあ。
ノアはその老人に何か引っかかるものを感じてじっと見つめているとその老人が耳打ちしてきた。
「ワシはスミスという頭のイカれた老人じゃ、そこの嬢ちゃんそなたの旅を手伝おう、名前は何と申す?」
「ボクはノアだよ!…ただボクは女の子じゃなくて男の子ね!」
「ふぉっふぉっふぉ、これは面白いのう男の子に憧れてるのかのう?…まあ、今は茶化してる場合じゃないな
…、ここはワシに任せてくれんか?ただこれからすることに文句は言わんでおいてくれよ?」
老人はたくわえた髭をさすると口を歪ませ笑いかけた。そして目線を船乗りの青年に向けると穏やかにだが有無を言わせぬ口調でこう嘘を告げた。
「この子はワシの娘じゃ!それにその紙切れはワシら二人のアイスバーグ国への入国許可状に匹敵するものじゃ。
これで文句はあるまい、さっさとここで押し問答せんで乗らせてくれないかのう?
ほかの乗客の目が痛いんでな」
今回11回目の連載投稿ですがやっと10話目を投稿することができました!
最近忙しく、更新するのが遅れて申し訳ありません><
次回の更新は同じく3日後前後を予定しております。




