愛を祝う
お久しぶりの『神官』です。
特別何かしらの祝い事があったわけではありませんが……。
それでも、愛情とは、素晴らしいものだと思います。
「天の神々に誓う。必ず、お前を、世界で一番幸せにしてみせると。……だから、俺の妻になってくれ!」
温かな夕方の陽光が、きらきらと窓から差し込み、そしてそのひと組の愛し合う二人を、照らしたように見えました。
感極まったように、口元を片手で押さえていた女性は、それでもしっかりと頷きます。
その瞳から零れた涙が、喜びのものであることは、きっと私の隣で驚いていたティティでも、分かったことでしょう。
――愛情とは、なんと尊いものか。
なんと優しく、美しく、鮮やかなものか。
この《アクティース教》の神殿の中、告げられ叶った思いに、しばらくの間、拍手の音が止むことはありませんでした。
私たち神官のみならず、訪れていた方々も一様に手を打ち鳴らし、祝辞をおくりました。
お二人は、本当に嬉しそうな笑顔を浮かべていました。
「エルピスさま。わたしも、いつか……いつか、愛する方に出会えるのでしょうか?」
喜ばしい一件が静まった後、ティティが私にそう尋ねました。
私は深くうなずき、答えました。
「えぇ、きっと。ティティも、素敵な方と巡り会えますよ」
私の答えに、はにかむように笑ったティティの笑顔を、私はきっとその時が訪れるまで、忘れないでしょう。
――その愛に、祝福を。




