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思い思われて
大切な人たちに、ただただ感謝を――。
思い、思われて。
だから、私たちはただ、私たちとして、全ての生者を祝福できるのでしょう。
もし、本当に私たちが一方的に祝福をおくるだけであったとしたら。
――それだけでは、この《アクティース教》はここまで長く、存在していなかったのかもしれません。
いくつもの言葉に、いくどもの笑顔。
いくたびもの祝福と、そして返されるもの。
言葉、お礼、笑顔、抱擁……。
そう、そうなのです。
私たちもまた、祝福されているのです。
おくった祝福が、いつの日か。
必ず、私たちの元へと返ってきているのです。
――それは、なんと素敵なことでしょう!
今なら、はっきりと分かります。
きっと、本当は幼い頃から知っていたこと。
言葉も、笑顔も、祝福も。
必ず廻り返るのです。
全ては繋がっているのです。
そうして……誰しもが、祝福をおくっているのです。
ならば、負けてはいられません。
我ら《アクティース教》こそ、誰よりも祝福をおくる者であるために。
さぁ、今宵も聖歌を歌いましょう。
〝全ての生者に、祝福を〟




