希望
朝日の眩しさと鮮やかさ以上の輝きが、この世にあるとすれば。
人はそれを、〝希望〟と呼ぶのでしょう。
私の名前、エルピスには、希望と言う意味があります。
とある古き言語の言葉であることを、幼い頃、私を育ててくださった方に教えていただきました。
生まれたばかりの赤ん坊の私に、明るい未来を、とそう名づけてくださったそうです。
それはひとえに、その方がこの《アクティース教》の神官であったからこそ、生まれた考えだったのだと、今の私は思います。
私たち《アクティース教》の神官は皆、生きている人々の幸福を願い、聖歌を歌って祝福をおくります。
そこに、子どもも大人も差はありません。
生まれたばかりの赤ん坊も、次の瞬間には眠りにつくであろう老人も、皆、等しく。
今を生きている存在である限り、私たちは祝福します。
生きている今に、幸福があることを願って。
やすらぎが、慈しみが、喜びが、希望が。
あることを、願って。
今日も神殿へと訪れる、様々な今この時を懸命に生きる方々。
この方々へと、希望を届けることが、私の願いです。
聖歌を口ずさむ声は、より遠く、より澄み渡って。
白亜の部屋に煌く燐光を、より一層、輝かせるように。
私が歌うその聖歌が、彼らの希望となりえることを、祈って。
非常に書き辛い物語ですが、感想をいただけると嬉しい……です!