鳴歌
チチチチ、とさえずるその歌が、今日もこの耳に届きます。
温かい午後の、陽光の下。
ふと庭へと向いた、足の赴くままに。
涼しげな木陰へと歩んで身をおき、深呼吸を一つ。
そうして、耳を澄ませば。
いつも、可愛らしい歌声が、聞こえてくるのです。
「こんにちは、小鳥さん」
見上げた樹の枝に、そう声をかけると。
――チチチッ。
そう返してくれる、小鳥たち。
時には、私の肩へと降り立ち、その羽を休めるようにくつろいで下さることもあります。
ふわふわとした白い羽は、触れればとてもやわらかで。
つんつんと手をつついてくるくちばしは、けれど優しくて。
円らな瞳が重なるように瞬く様は、とても愛らしくて。
つい、よしよしと、その小さな頭を撫でてしまいます。
そうして共に穏やかな時間を過ごした後、私が去る時には、いつも。
澄んだ鳴き声で、とても素敵な歌を歌ってくれるのです。
それは、静かな小川のせせらぎに似て、涼しく。
また、綺麗に降り注ぐ月の光に似て、美しく。
そっと、私の心を、癒してくれます。
今日もまた、優しい小鳥たちに、感謝を。
あなたたちにも、祝福を――。




