44/61
冷水
まるで、星辰の煌きのように。
さっと目覚める、冷たい心地。
暑さが目立ってきたこの頃の、確かな癒しのその一つ。
はっとさせられる、途端の瞬き。
静かに浸透し行く、次なる感覚。
柔らかに沁み込む、結果の笑み。
更にと望み留まる、涼やかな心。
全てを洗い流してしまう、流水ほどの威力はなくとも。
心身を清める聖水にも、決して劣らぬ清浄の水。
冷たいだけでは終わらぬ心地。
心地だけでも終わらぬ癒し。
星辰の煌きで闇を祓い。
清浄の癒しで心を護る。
「まるで、月光のようですね!」
そう言って笑ったティティの考えは、実に的を得ています。
月光ほど、遠く降りそそぐものではなくとも。
清らかで冷たいその水は、すぐ傍で癒しをくれるのです。
――私たちも、そう在り続けていきましょう。
生者を尊び祝福する、《アクティース教》の神官として。
永久にも続く祝福の、そのおくり手の、一人として。
――全ての生者に、祝福を。




