純白の羽
穢れのない、真っ白な羽。
それが、蒼穹に澄んだ空から、舞い落ちてきたのです。
遠い天空の頭上から、一瞬影が届いた、瞬間でした。
ふと見上げた晴れた空に、きらりと反射するものがあったのです。
太陽光の眩しさに手をかざしながらも、何だろう、と好奇心が勝りました。
その何かの色が、青に良く映える白だと気付いたのは、少し後。
反射する煌きが落ち着いたその頃には、形が目視できました。
羽、という呟きが、不思議と風にのり辺りに響いた時。
純白のそれが、私の両手へと納まったのです。
陽光の温かさとは異なるぬくもりを宿した、その白き羽。
それが、単に空を舞う鳥たちのものでないと気付いたのは、羽全体に薄い魔力を感じ取ったからでした。
明らかに高い魔力をもつ者が落としたもの。
その事実に、私は大いなる可能性を感じました。
この世界には、実に多様な種族が生き、暮らしています。
人族にとっては十分老人と呼べる時を生きた私でも、まだまだ、見たことの無い種族がたくさんいるのです。
純白の翼で天を舞い、高き魔力を宿す者。
いつの日か、この羽の持ち主に出逢えますように、と願いをかけて。
この記録と共に、大切に保管しておくことにします。




