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祝福よ、ただ届け
彼女の祈りが、届きますように。
願い込めた希望が、訪れますように。
私たちの聖歌が、届きますように。
優しさと自愛を込めた歌が、聞こえますように。
無表情では伝わらない。
黙しているだけでは伝わらない。
立ち止まり見つめるのでは伝わらない。
微笑みを浮かべて初めて、相手はこちらを見てくれる。
言葉を投げかけて初めて、相手はこちらに気付いてくれる。
手を握り、抱きしめて初めて、相手はこちらの温もりを感じてくれる。
笑顔を満たし、はっきりと言葉を告げ、抱擁をしてようやく。
私たちの祝福は届くのです。
ティティの赤色の瞳は、今日も力強く瞬いています。
彼女はその瞳で、祝福をおくるべき方を見つけてくれます。
私は彼女の横で、やわらかく微笑むことにしています。
それはまだ、彼女にはできないことですから。
昼前の高き太陽に向かって、私とティティは今日もひとつ、願いを告げます。
誰よりも高きにあるその輝きならば、きっと、届けてくれると思うから。
「――祝福が、届きますように」




