精霊光輝
今日は昼から、とある村に行き、村人の方々に祝福をおくります。
あの村へ行く小さな出張には、一つ、素晴らしい思い出があります。
半年前、私は今日この後することと同じように、村へと出張に行きました。
村に行くまでに、特に何かがあったわけではありません。
村の中でも、全力を以って祝福をおくり、無事にやり遂げました。
事があったのは、村から帰る、その帰り道です。
森の奥にある小さなその村へと続く道は、そこそこ深い森の中を通る、一本の細い土道。
迷う心配をしなくていいその森を、行きと同様順調に歩いている時でした。
視界の端にチラリと何かがよぎったのに気づき、ふと立ち止まって横を見ると、そこにはなんと、淡く緑色に光る、拳ほどの光の球――緑の下級精霊様がいたのです。
驚いて立ち止まった私はそこで、とても素晴らしい時間を体験しました。
一体と思っていた精霊様が、他にも色とりどりの光をまとって、私の前に現れてくださったのです。
命の輝きと直結する、淡くも強き光の舞。
鮮やかな色を宙に描き、柔らかに踊るその姿。
天から降りそそぐ陽光と木漏れ日に照らされた、幻想的な一時。
もし、もう一度。
あの光景を見ることが出来るなら。
私は今度こそ、呆けずに感謝の言葉を伝える、と強く決意しているのです。




