木漏れ日
きらり、と眩い陽光が、葉の隙間を抜けて差し込んでいます。
照らされた地面は暖かな琥珀に輝き、まるでそこに宝石が埋まっているかのよう。
細い光線が何本も並び、ほのかに薄暗い空間に流れているその様は、幻想的の一言です。
葉の隙間から差し込むその光を、木漏れ日と言うのだと、幼い頃に学んだ記憶を甦らせました。
自然は、皆等しく長生きです。
太陽や月は語るまでもありませんが、大地や風、樹や川も、その時の差こそあれ、手を加えない限り、人族の一生のうちに消えてしまう物は、ほとんどありません。
それもそのはず。
植物は皆、千年の長きさえも生きる、かの長命種エルフ族の隣人。植物に限らず、自然と共に生きるエルフ族の皆様の寿命すら越える生をおくるのが、偉大なる自然の真実なのですから。
これは、そんな自然のひとつの姿なのでしょう。
頭上から降りそそぐ光の鮮光を、そっと一筋、手に乗せてみると、その温かさが全身へと行き渡るように感じました。
長きを生きる巨樹の葉と、世界の始まりより世を照らす太陽の光。
英知と光輝が綺麗に重なり、そうして出来る一つの姿。
風に揺れる葉と共に、その位置を右へ左へと移しながら。
それでも消えない光の筋は、まさに天からの贈り物。
私の歌う聖歌にも、この贈り物と同じものを――と、そう思ってしまっても、仕方の無いほどの美しさでした。




