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いっちゃん(第一部)  作者: Thomas C. Knitter


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9/11

第六話 「いっちゃん、国民学校に入る」

皆様、おはようございます。

昭和19年4月。

いよいよ「いっちゃん」が国民学校の一年生になりました。

憧れのピカピカの一年生……ですが、世の中は戦争の影が色濃くなり、食糧事情も厳しくなっていきます。

そんな中、六人姉妹をからかう近所の「ガキ大将」が出現。

いっちゃんを守るために立ち上がったのは、やはり頼れる、あのお姉ちゃんでした。


『サイタ サイタ、サクラガ サイタ・・・』


福山に来てから二年が過ぎた昭和19年4月、私は福山東国民学校の1年生になった。

明姉は5年生、伝姉は3年生になった。


私は、やっと憧れの1年生になったが、食糧は統制によって、どんどん少なくなってきて、ひもじい思いをすることが増えていた。

末っ子の香代子に至っては母の栄養不足で乳があまり出ず、かなり痩せていた。

近所のガキ大将が、


「や〜い、や〜い、アキ、ツタ、イツ、チサ、ミキ、カヨ、み〜んなやせっぽちのオンボロ上山〜」


と六姉妹の容姿をからかった。

そんな時には、伝姉が


「なにぃ、お前の方がよっぽど、クソガキじゃろが!」


と言って反撃してくれた。

普段は家族のことを面白おかしくしゃべる伝姉だが、こういう時は頼りになる。


「やっぱり伝姉は家族思いなんじゃ」


と私が言うと


「当たり前じゃ。うちはいっつも家族のことを思うとる」


と伝姉。


「それにしては、いっつもうちをからかうよねぇ?」

「そりゃ、いっちゃんがかわいいけぇよ。……顔はへちゃじゃけど」

「何言うんね。うちとおんなじ顔して」

「いいや、うちは、いっちゃんとは違うで。 見て、このべっぴんさん」

「もう〜! 伝姉は、すぐそんなこと言う〜。」


でも、そんな伝姉が私は大好きだった。


(つづく)

第六話をお読みいただき、ありがとうございました。

「やせっぽちのオンボロ上山〜」なんて、今なら泣いてしまいそうな言葉ですが、伝姉の威勢のいい反撃には胸がすく思いです。

「うちとおんなじ顔して」と言い返すいっちゃんと、どこまでもマイペースな伝姉。 喧嘩をしながらも、そこには確かな姉妹の愛がありました。


明日もお楽しみに。


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