「いっちゃん(第一部)」完結記念 解説
この物語は、母の幼少期の話を元にしています。
空襲を見た際に「わぁ、きれい。花火みたい」と言ったというのも、実際に母が口にした言葉です。
「ほんまにそう思うたんじゃけぇ」と、後になってもそう言っていました。
ですから、作中に出てくる台詞の多くは、母から聞いた話に沿っています。
ただ、母も耳が遠くなり、記憶も少しずつ曖昧になってきて、昔のことを思い出せない部分も増えてきました。
そのため、母が途切れ途切れに語ってくれた記憶をもとに、足りない部分は私の想像で補いながら、この「いっちゃん」という物語を書いています。
そんなふうにして出来上がった文章ですが、母は読むたびに、同じところで笑い、同じところで泣きます。そして「いっちゃんの話はおもしれぇ」と言って、何度も読んでくれます。
戦争は、あってはならないものだと思っています。ただ、大きな言葉で語るよりも、実際に起こった出来事を通して感じてもらうことで、伝わることもあるのではないか。そんな思いもあって、この物語を世に出すことにしました。
投稿するにあたって母に「小説サイトに出してもええ?」と聞くと、「みんなに知ってもらいたいけぇ、ぜひ出してくれ」と言ってくれました。
決して小説家らしい文章ではないかもしれませんが、その時その時の感情だけは、きちんと伝わるように書いたつもりです。
この物語が、読んでくださった方の心に、何かひとつでも残るものになれば幸いです。
「いっちゃん」の物語は、これからも続きます。またお読みいただければ嬉しいです。
令和八年三月三一日
※Thomas C. Knitter(トーマス・C・ニッター)
こと、新田孝幸
※名前の由来について
高校時代に来ていたアメリカ人の先生が、日本人の名前は難しいからと、みんなにニックネームをつけてくれました。
そのとき私につけてもらったのが「トム」です。
Cは(Chronicle / Creative)、knitter(編み手)は新田をもじったもので、「物語を編む人」という意味を込めています。




