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名探偵の回顧録  作者: 西季幽司
第一章「名探偵の死」
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あおり運転①

 北城千穂について調べてみた。

 北城千穂、六十七歳。二十六歳の時に、一度、結婚しているが、家庭内暴力が原因で離婚している。前夫との間に子供はいない。

 三十五歳の時に、バツイチ同士だった北城郁郎と再婚、七歳上だった郁郎には、前妻との間に二人の子供がいた。子供は前妻が引取っている。郁郎と千穂との間に子供はいない。

 郁郎は都内の食品会社に勤務していた。定年を迎え、第二の人生をスタートさせてから間もない頃に、病死している。今のマンションは前妻と結婚している時に、ローンで購入したものだ。前妻は一人っ子で離婚後に子供を連れて、実家に戻った。

 郁郎は子供たちの養育費を毎月、きちんと支払っていた。養育費に住宅ローンを抱え、千穂との生活は決して楽なものではなかったはずだが、退職金で住宅ローンを完済している。

 郁郎が病死してから、千穂は一人暮らしだ。

 ごく普通の主婦である千穂と暴力団の構成員だった村田との間には、当然、接点は見当たらなかった。

 運動靴を履いた目撃者が千穂であると言う推理も、運動靴のサイズが靴跡から26.5センチと推定されており、小柄な千穂のものにしては大き過ぎた。

 千穂以外の第三者が犯行現場にいたのだ。

「誰かを庇っているのでしょうか?」

 北城千穂は何かを目撃したはずだ。だが、それを話そうとしない。吉田の問いに竹村は「だとしたら誰を庇っているのかだ。言っては悪いが、孤独な老人だ。身近にそんな人間がいるとは思えないのだけどな」と竹村が答えた。

「本当に村田が犯人なのでしょうか?」

「ううむ・・・」と竹村が首をひねった。

「村田が犯人だとすると、事件後に、犯行現場から被害者の携帯電話を使って警察に通報したことになります。何故なのでしょうね?」

「一刻も早く被害者を見つけてもらいたかったからだろう」

「何故、一刻も早く被害者を見つけてもらいたかったのでしょうか?」

「それは、アリバイ作りの為・・・ではないな」

 村田の事件当時のアリバイは、家で寝ていたと言うものだった。アリバイを準備してあって、一刻も早く被害者を見つけて欲しかったとは思えない。

「現場に目撃者がいたのだとするなら、その人物が通報したのかもしれませんね?」

「録音が残っているはずだ。村田の声と照合してみるか」

「手配します」

「頼むよ、ヨッシー君。吉田だけに、終わりよければすべて()()()

「あらら、駄洒落ですか。竹村さんだけに、身の()()()()を知らなくちゃ」

「おっと、駄洒落返しかい! ダメだね~身の丈にかけたのか? 全然、意味が通っていないぞ。俺の方が断然、センスが良い」

「もう良いです。そろそろ出ましょう」

 今日も聞き込みだ。山本が聞き込んで回った蔦マンションの周囲を調べ直す予定だった。現地で木村が待っているはずだ。

 蔦マンションで待ち合わせをしてあった。

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